第7話 リーク·サンダリオ

ルティファに弟子入りして2年、グランは凄まじい強さを身につけていた。

分身は2人も生成できるようになり、念動力も500kgまで持ち上げられるようになり、身体強化の上限もかなり上がり、占術の練度、魔力感知の範囲もかなり広かった。勿論これらを同時発動できる。

そんな中、グランはサンダリオ侯爵家の長男の誕生日パーティに招待された。


馬車の中で

ルイス「珍しいなお前がわざわざパーティに出席するなんて、嫌がると思ったが。」

グラン「ま、まあ、父様に迷惑掛けられませんから!」

ルイス「そうか?」

グラン(本当は違うんだけどね。)


今回、グランがパーティに参加したのは、誕生パーティの主役がリーク·サンダリオだからだ。


リーク·サンダリオ 属性は雷だ。

彼はホプファンの悪役キャラであり、彼が友になりたいと願ったキャラクターなのだ。


グラン(遂に、彼に、リークに会える! まさか入学前に会えると思ってなかった!)


グランは前世、彼の事をとても気に入っていた。

主人公の前に立ちはだかり、毎度の如く邪魔ばかりする、所詮お邪魔キャラでしかないが、物語の終盤彼はラスボスによって強化され主人公の前に立ち塞がる。当時はかなり嫌われていた。

しかし後に公式が出した外伝、[雷の渇望]にて見方が変えられる。

ここには彼の本心が描かれており、彼が物語の中で主人公の事をどう思っていたのかが記されている。この外伝によりリークへの評価は変わり、カルト的な人気を物にした。

これを読んだグランは思った、全てのファンが思ったらもしこうだったらを起こしたいと。

そして彼の友になりたいと。


サンダリオ家のパーティ会場に着く。

会場には多くの人が集まっていた。


グラン(流石に侯爵家だな、子爵家やら男爵家やらが沢山いる。)


やがて、二人の男が会場にやってくる。

サンダリオ家当主、ルーク·サンダリオと

長男リーク·サンダリオだ。


ルーク「ご来場の皆さん!今宵、我が息子リークの6歳の誕生日会に来てくれて感謝する!楽しんでくれ!」


そういう、ルークの隣にはどこかつまらなそうな顔をしたリークが立っていた。


料理をついばみながらグランはリークのところに行く。


グラン(テラスの方に魔力の反応があるな、この大きさ、多分リークのだ。)


長年の鍛錬で鍛えられた感知能力は強かった。


誰もいないテラスにてリークは一人黄昏れていた。

その表情はとてもパーティの主役とは思えない寂しそうな顔だった。


リーク(つまらない、俺と同じような奴は一人もいない。)


彼もまた天才の部類だった。

しかし、彼は年相応に友達が欲しいと思ってもいた。

周りの大人は彼を囃し立て、同年代の子供は近寄ってこない。寂しかった。

親しい家柄どうしの子供が楽しそうに話しているのが羨ましかった。

彼らは互いに対等な力関係だから仲良く会話できる。勿論家の付き合いというのもあるだろうが。数少ない侯爵家の子供の中でも彼は異才だった。

そこに。


グラン「何してんの?」

リーク「ん?誰だお前は。」

グラン「俺はグラン…グラン·デストリカ。よろしく!俺と友達にならねぇか!」


そう言って彼は手を差し伸ばす。


かくして遂に二人は出会った。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る