異次元スポーツ「サイキック」の魅力に取り憑かれたので、廃部寸前ですが全国大会目指して頑張ります

梅雨日和

仲間集め編

プロローグ

 手に汗握る戦いに胸がアツくなったことはないか。

 誰もマネできないような、一瞬のプレーに歓喜したことはないか。


 俺はあるよ。


 あれは夕日が空を赤く染めだした時間帯。 

 知らない男の子の、特に何もない河川敷で放った、たった一回のゴール。

 ゴールと言っていいのかも分からない。きっと彼にとってはただの練習だったのだろう。

 

 だけど、その平凡なシチュエーションでも俺は胸がアツくなり、今思い出しても固唾を飲まずにはいられない。一瞬のはずなのに、スローモーションに見えるあの現象は何だったのか。今でも分からない。


 空中に高く飛び上がったかと思えば、彼のつま先からゴールへ向かって、一直線に作られた凍てつく氷の彫刻。




 それがとてつもなく美しかった――――




 あの一瞬で、俺の心はサイキックに魅了されていて、俺の中で時が止まった気がした。その間もキラキラと夕日を反射する雪の結晶と、彼の眩しいぐらいの充実した顔を見ながら、俺は誓った。



 「俺もサイキックをやりたい」

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