コメは、、、。

@tororokonbunokokor

第1話



しっとりと舌に絡み付く食感、鼻に抜けるあまい香り。

 価格的にはびっくりするような値段では無いのだが、この地区のお米はとても美味い。水が良いのか土地が良いのかわからないが、きっと作り手が不断の努力をされている事は確かであろう。

 そもそも米と言うものは、炊き立ては古米でない限り大概は美味しい物だと思う。

 しかし、この米は炊き立てだけではなく、冷や飯になっても糠臭くなく。独特の旨みや甘みが増し。

 お茶をかけてお茶漬けにしても、味噌汁をかけてて猫まんまにしてもいけるのだ。

 この頃、『食味検定師推薦』などと言う文言付きの付加価値米も見受けるが、その幾つかを実際に食べてみたのだが、どうもワタシの嗜好には合わないのだ。

 先日もキロ数千円はすると言う触れ込みのコメを知り合いから3合ほど頂き、小躍りして炊いたのだが、、、。

 雑味がなく、食事の中のバランスが良いとは思うのだが。

ただそれだけなのである。

 ワタシは胃を壊して以来よく噛むことにしている。

 噛むと言う事は米の細胞を破壊し、含有されている澱粉質を唾液によるアミラーゼにより分解し、その米の持つ甘味と澱粉が崩壊される時に放出される澱粉粒子の不純物であるアミノ酸の旨味を唾液中に拡散させるのだ。

 ワタシには米の後味というのだろうか、このアミノ酸の旨味が堪らなく好きなのである。

 食べ心地や米の本質であると定義されている澱粉の味わいを優先されるのであろう検定師の方々とは、かなり異なる食志向となるのであろう。

 喉越しや噛み心地は正直どうでも良く、味蕾細胞をどれだけ刺激してくれるかが判断基準になるのである。

 何かの資料で食味検定師の方の判断基準を読んだことがあるが、米本来の味は澱粉などの炭水化物主体であり、アミノ酸など他の味は雑味になると記述があった。そうなるとワタシが重視する嗜好は彼等の判断基準からすれば、ダメなやつということになるらしい。

 しかしそうなると米は、食事の単なる引き立て役ということにはならないだろうか。そもそも米は主食。食事の主役ではないか、と言う疑問が湧いてくる。

 まあ判断基準を明確にし席次を決めなければならない方々の努力が積み重なって決められた事であるのだろうから、素人のワタシがとやかく言うつもりは無いが。

 米は米、コメそのもの味が重要であって欲しいと強く思うのだ。

 米は米で有り、それ以上でも、それ以下でもないのである。

 近頃の栄養学では炭水化物のカテゴリィを忌避する傾向にあるようだが、米はワタシの源で有り、米の無い人生はあり得ないのだ。

 たとえ米が、「白い悪魔」などと揶揄されてもだ!

 米万歳!

 米ありがとう!

 そして明日も元気に食べさせて。

 いただきます!

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

コメは、、、。 @tororokonbunokokor

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る