(仮)

@tenthuku

第1話

目が覚めた…腐った臭いが鼻の奥を刺す。

何も見えない暗闇、ここがどこかもわからない。

状況を理解しようと眼球を動かすも身体は動かない。

ゆっくりと呼吸を繰り返すも臭いが酷く吐き気を覚える。

目が慣れてきた、ぼんやりと光を探す、耳を澄ませる。

横には同じように転がっている人がいる。

ゆっくりと手を伸ばし、指先を触れた。

雪のように冷たく硬い。

恐怖で呼吸が乱れそうになるのを我慢し、起きあがろうと地面に手をつく。

手のひらに鋭い痛みが走った。

無数の針のようなものが突き刺さった。

声を押し殺し血を拭った。

なぜここにいるのかこれが正解なのかわからない。

地面を見つめ目を凝らした。血が滴る。

ここはどこなんだろうか。痛い、臭い、痛い。

起き上がり気がつく、右足首の違和感。

感覚がない。

外から声が聞こえてくる…緊張に汗が垂れる。

痛みに耐えながら元の体勢に戻り耳を覚ませ声を待つ。

途端にバッと光が差す、眩しさに目をしかめ見つめた。

光の中に立つモノは異形だ。

そして一言言い放つ。

【死ね】

意識が途切れた。

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