幼馴染の大物俳優は何故か私に夢中
SEN
第1話 甘えたがりな天才女優
私の名前は
「うーづきっ!」
「きゃっ、いきなり抱きつかないでよ」
「だって三日ぶりの卯月だよ?しっかりと堪能しないと」
それなのに海香は私のことが好きすぎる。仕事でいない日は特に意味もなく連絡してくるし、いざ学校に来たらずっとついて来るし、今みたいに抱きついてくるなんて珍しくない。
「堪能って、ちょっと変態っぽくない?」
「それは卯月が魅力的すぎるのが悪い」
理不尽な物言いをする海香に呆れてため息をつく。机の上で開かれているまっさらな日誌に目を移して、今日の授業内容を書いていく。背中に張り付いている海香が少し邪魔だけど、いつもの事だし放っておく。
「海香ちゃん、委員長困らせたらダメだよ?」
「そーそー。委員長は優しいから強くは言わないけどさ、海香の代わりにノート取ったり、勉強教えてもらったりって散々お世話になっといてまだ甘えるつもりなの?」
「うぐっ、それを言われると引き下がるしかないか……」
海香はクラスメイトの
相変わらず有名人の海香に一切物怖じしない二人に感心しつつ、肩が軽くなった私はスラスラと日誌を書き進めていく。
「委員長もさ、嫌なら嫌ってちゃんと言うんだよ」
「大丈夫だよ。好きでやってることだし」
「ハッハー!相変わらず優しいねー委員長は」
二人はニヤニヤと笑って先に帰ってしまった。海香の方をチラリと見やると、手持ち無沙汰でウロウロと教室を歩き回っていた。本当に甘えたがりの癖に甘え下手なんだから。
「抱きつきたいなら抱きつけば?」
「えっ、いやー……卯月の邪魔になっちゃうし」
「散々甘えといて今更?」
「うぐっ、なんで皆んな私の弱点ついてくるの」
「海香は分かりやすいから。それに海香は仕事で大変なんだし、友達の前でくらい甘えたい時は目一杯甘えなよ」
「……卯月って人をダメにする才能あるよね」
「え?なんて?」
「なんでもなーい」
海香がボソッと何か呟いたのは気になったけど、ゆっくりと私の背中に乗っかった重さとじんわりと伝わる温かさでどうでも良くなってしまった。
結局その日は、下校時間ギリギリまで日誌を書いていた。
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