第11話後ろの空を見上げたハルの恋

 振り返る。奇妙な形をした、おかしなお菓子。

 犯してはいけない心。

 聖なる、峠を越えたあたりで、ふっと、空を振り返る。

 春模様。

 きざしている、美しいほくろ。

 吸い込まれる。君のその、ブラック、愛、ゆえに、微笑むその口元に添えられたコスモス。

 ハートが、溶ける。空には、時計がある。まるで劇画のダリ。

 超越、健康、美貌そして、野望。

 大きな十字架。小さな青く、うすももいろの、罪。

 ただ笑い。

 転げる、転がる、ダルマになる。

 ころころころ、ハートも転げまわる、ダルマと競争。

 下り坂から上り坂、ハートの道は、ブルーな、吐息、小首をかしげる君の横顔。

 それはピカソ。眠る女、その顔に、カラフルな音が鳴る。

 シャワーのような、ホワイト・ストライプス。ジャック・ジャック・ザクザクいくぜギターリフ。

 後ろを見上げたハルは、帽子を押さえて、風を待つ。

 飛ぶ。

 ぐるぐる回る、黄金とブラック・ハート。

 タイトに決めたスタイリッシュなギター。

 微笑。

 草原でアンプもつながず、風に乗る。

 ギターとドラム、それから、君は誰?

 永遠の乙女が、君と重なる。

 愛してる。その言葉が、真実を持って響くとき、ハートの鍵で扉が開く。

 


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