第2話ロックンロールバンド

 暁の空、歌え、しばらくぶりの理念の思念。

ダンシング、ミューズよ。ダンディな君は、そこにいるか?

僕は朝焼けとともに、河原を歩いて、草の間から現れた猫、そして挨拶をしてくるカラス。

車の音。

静けさの中で、ウォークマンを操り、アシッドなロックンロールを聴いている。

「眠くないかい?」

 僕は答える。

「眠くない」

 それから、アコスティックな調べが、時を越えて、伝わる、西の空の星たち。

 明け行く空は、うろこ雲が流れる。

 おはよう、太陽さん。

 銀河は去って、星を渡る僕は、まだいるよ。

 でも、ロックンロールハート。

 内に秘めた希望と夢が、青いカルマ、そして、虹色の航路。

 渡っていく。

 果てしのない、ロックン&バラード。

 繰りかえしていく、独りの回路

 孤独なささやき。

 あなたの歌は、本物だ。

 ロックンロール。それは、哀しみを知った者も、快楽を求める者も、誠実なそして偽善者すら飲み込んでいく黒い塊。ロックンロールはブラックレザー。あるいは、普通の奥の歪んだミラー。映りこむ、他者。そして、黙り込む文学少女。

 強いとは、弱いということを自覚してから、本物になる。

 本当のロックンロールは、親指を立てる、と僕は思う。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る