➁ファントム・トライアングル
けん
プロット
【共依存】
①主人公とヒロイン1(詳細はキャラ説明)
・主人公
→陰陽師(詳細は世界観・設定説明)。災いの元凶であるヒロインを除霊しなければならない。しかし、家族の中で冷遇されて来た主人公は、ヒロインから頼られ、それを解決することに存在意義を感じてしまっている。
・ヒロイン1
→疫病神。困ってる人を助けたい。頼ってばかりで早く自分の力で、という想いはあるがつい主人公に頼ってしまう。
②主人公とヒロイン2
・主人公
→陰陽師としての才能がない主人公はヒロイン2と口付けを交わすしかない。別にヒロイン1と恋仲にあるわけではないのだが、強い罪悪感を抱いている。
・ヒロイン2
→主人公の幼馴染。幼少の頃から主人公に惚れている。プロの陰陽師であるヒロイン2は疫病神であるヒロイン1を除霊しなければいけないが、主人公に求められる現在を心地よいと思っており、停滞に努める。
【物語進行】
~基本構造~
・ストーリー展開
祟りに取り憑かれたキャラが事件を起こす→ヒロイン1が相談を受ける→捜査→主人公の力で解決
・心情の変化
お互いがお互いに依存しているという状態から脱却したい→しかし動く事ができない。あるいは、動いたことが原因でさらに拗れていく。
【世界観・設定】
→ベースは現代日本。『祟神』やそれに対応する『陰陽師』が存在する世界観。
・祟神(たたりがみ)
→そこら中に漂っている。基本的に神々に意思はなくこちらの世界には不干渉だ。まれに人間の意思に引っかかり、その魂に憑りつくことがある。憑りついたからといて、人格を乗っ取ったりはできない。ただきっかけとなった感情を増幅させるだけ。
・後遺症
→祟神を祓った後に心身に現れる症状。祟神に取り憑かれていた期間、魂へ根差している度合いによって深刻度が変わる。倦怠感、体調を崩して寝込んでしまう、一定期間の記憶が欠落する、など。この順番で深刻化している。
・陰陽師
→祟神を知覚し、人間に憑りついた祟神を祓う事ができる存在。限られた者しかその存在をしらない。千年の昔から、芦屋家、安部家のように決まった一族のみが特別な力を持つ。
当家に生まれた子供は幼少の頃から特別な訓練を受ける。外界とは遮断され、閉鎖された空間で育つ。やがて陰陽師として国に従事する。
・霊力
→この世ならざるものを知覚するのに必要な力。存在を感知し、祓う際に必要なエネルギー源。
霊力は生まれた瞬間から総量が決まっており、増やしたり減らしたりはできない。育成機関ではただ使い方を学ぶだけ。
主人公はこれが皆無であるため、ヒロイン2から口付けにより受け取っている。
・疫病神
→本人の意志に関わらず祟神を集める存在。周囲の人間にまで被害が及ぶ。元凶となっている災いを祓うことができれば、宿主である人間を助けることはできる。しかし、記憶の欠落は免れず、どれほど失うかは分からない。
【キャラ】
・芦屋 虎宵(あしや こよい)主人公
台詞イメージ:
「……そういう事は言わない方が良いと思うけど」
「うん、僕がやっておくよ」
ツッコミ役。地の文はコミカルより。
ビジュアル:一般的な男子高校生。身長173 体重60 黒髪
性格:引っ込み思案だが頭が切れる。何事も諦観している。
能力:頭が切れる。霊力が皆無であるため芦屋家を破門となったが、扱い方には天賦の際がある。
原因:代々有力な陰陽師を輩出しているも、陰陽師としては不可欠な霊力が皆無であり、幼少の頃から役立たずとして育てられてきた。そのため、何にも期待していない。絶望にも慣れてしまっている。
抱えている問題:自分を頼ってくれたのだから、全霊で応えたい。自分ができることは全て自分でしてしまう。ヒロイン1、ヒロイン2ともに“頼られること”“受け入れてくれること”に強く依存している。
葛藤:音々の中の悪霊を祓うべきか、いやできない。
→①生まれてから疫病神として祟られてい元凶を祓ってしまった場合、音々にどんな後遺症が発現するか分からない(という正当な理由。もちろんこれが嘘というわけではない)。
②今の共依存の関係を続けていたい。そこには、“自分の存在がいらなくなってしまうかもしれない”という想いも思いもある。しかし、それよりも彼女の中から“虎宵の記憶”が消えてしまったら、という極めて自己中心的な想いも含まれている(1巻時点では、虎宵はその事に気が付いていない)。
③ヒロイン2との関係のせいでヒロイン1に対する後ろめたい気持ちがある。しかし、ヒロイン2がただ黙って虎宵を受け入れてくれる現状を、手放せないでいる。
試練:
①事件の解決。
ストーリー進行の根幹であり、音々とをつなぐ糸。
②一人で動こうとする音々を黙って見守る→できない(これがシリーズを通したストーリー進行の根幹となるテーマ)
・季乃 音々(ときの ねね)ヒロイン1
台詞イメージ:
「そうだ、私トイレに行きたかったんだった!」
「はい息吸って~吐いて~よっしいってみよう!」
元気。抜けているところがあり、天然な発言をするたびに虎宵に突っ込まれる。
ビジュアル:整った顔立ち。キレイ系。ボブの茶髪
性格:誰に対しても分け隔てなく優しい。祟りにつかれ、残虐性を露にした人間にも優しく接することができる。自分にも甘い一面がある。「人にも優しくしているから自分にも」という面がなくもない。疫病神の特性ゆえに周囲がギクシャクすることが多々あったが、その中でも善性を保っていた稀有な人格者。夢は警察官。勉強はできる。
原因:優しい祖母に育てられた。疫病神の音々がいようと祟りが寄りつかないほど、祖母は穏やかで優しい心の持ちぬし。しかしそれゆえに甘ちゃん。両親は離婚している。父親は祟りに付かれて乱心。そんな父親に嫌気がさした母親は鬱状態になり、そこに祟りがよりつく。母は施設で引き取られ、祖母に育てられる。
抱えている問題:自分でどうにかせねばと思っていながらに虎宵を頼ってしまう。自分一人で取り組み、もし出来なかったら、と考えると楽な方へ逃げてしまう。
葛藤:自分と同じように“他者に依存してしまう悪癖”を持つ小百合との対比。あの子は特別だから……と結論付けてしまう(1巻では問題を浮き彫りにするにとどめる)。
試練:
①事件の解決→音々の視点では解決していない
②自立する→今巻では達成しない。
・安部 槐(あべの えんじゅ)ヒロイン2
台詞イメージ:
「えんじゅは、こよいがいればそれで良いよ」
「いま、嘘ついたでしょ」
妖艶な雰囲気を漂わせる。フワフワとした話し方とは裏腹に、確信を突くような一言を放つことがある。
ビジュアル:体のラインが出る服を好む。ワイシャツはスカートはかなり丈が短い。薄桃色の髪で肩甲骨の辺りまでの長さ。顔は可愛い系。チャームポイントは唇。
性格:甘え上手で甘えられ上手。落ち込んだり悩んだりすることはなく、今作で唯一共依存の関係を自ら望んでいる。
すでにプロの陰陽師である槐が一般の学校に通う必要はない。現在の高校に通っているのは任務のためだ。破門となった虎宵の監視。一族の秘密を漏らしたりしないか。何か余計な動きをしないかを監視している。もちろん、その場で事件が発生すれば動かなければならない。疫病神の音々の存在は、槐が対応しなければならない筆頭だが、現状の停滞を望んでいる槐は静観している。
原因:生まれた時からエリートとして甘やかされてきた。また、すでに陰陽師の試験を突破し、プロとして活躍している槐はいくつもの祟神を祓っている。どこか達観したように見えるのは、その影響もあるだろう。
年が同じである虎宵とは、幼い頃から育成機関で共に育てられた。周りから悪辣な対応をされる虎宵を気にはしていたが、見て見ぬ振りをしていた槐。今になって、当時の罪滅ぼしをしている。
気がつけば虎宵に恋心を抱いていたが、その理由は自分でも分からない。おそらくはあまりにもか弱い存在に見え、私が助けなければ、という想いに駆られたからだろう。実際、恋心を自覚してから槐は修行に勤しむようになった。
抱えている問題:
一族の中で最も期待されている槐。そのしがらみから抜け出せるとは思っていない。ゆえに音々に対し何かをすることはせず、虎宵と関係を持つに止まっている。また、虎宵と踏み込んだ仲になろうとは思っていない。いずれ終わりが来るのだから、と。
↓
そう思っていたのだが、いざ「虎宵の心が向いてるかもしれない」という場面に遭遇した途端、心の苦しさを抑えられなくなった。そして、「今、虎宵の好意が自分にも向いてるかもしれない。音々に勝てるかもしれない」と思った瞬間、心が強く高鳴った。事件にも介入し、音々に接触するようになるが、それは2巻以降の話。
・笹川 小百合(ささかわ さゆり)
・ロータス=セピア
→今作の事件の渦中にいるキャラ。
虎宵たちが自らの関係を投影する、共依存に陥っている二人。
音々は小百合に自らを重ねる。相手がいなきゃ何もできない。分かっているのに頼ってしまう。にもかかわらず、自分の中には大きな野望がある。小百合は今回の件をきっかけに自らの殻を破るが、音々はできない。
虎宵はセピアに重ねる。頼られることに存在意義を抱いてしまい、いざ相手が独り立ちしようと動きだすと、自分から離れようとする振る舞いに“寂しさ”や“怒り”を抱いてしまう。実際、自立に向かって大きな一歩を踏み出した小百合、それを目にするセピアに同情の念を抱く。そして、自立することができず音々が頼ってきたことに安心感を抱いてしまう。
【ストーリー】
(参考作品)
・やはり俺の青春ラブコメは間違っている
・クズの本懐
→キャラたちの関係性
・青春ブタ野郎シリーズ
・物語シリーズ
→SF要素を伴い、主人公が事件を解決するストーリー
・古典部シリーズ(特にクドリャフカの順番)
→群像劇的な描き方。当作品は“他者への期待”だったが、本作は“他者への依存”をテーマに描く。
~詳細なストーリー~
『第1章』
音々の下に依頼が来る。依頼主は演劇部の部員たち。全校に数多くのファンが存在する演劇部の部員たちは、どうやらここ最近ストーカー被害に遭っているらしい。その犯人を見つけてほしいという依頼だ。
↓
音々、虎宵は詳しい話を聞きに演劇部へと赴く。来月に控える全校公演に向け、稽古を行っている演劇部。演劇部は稽古の様子を一般に公開しており、何人かの見学者がいた。そんな稽古の様子を見学していると、事故が起きる。倒壊したセットに巻き込まれ、部員の中でも最も人気が高いロータス=セピアが怪我を負ってしまったのだ。
↓
セピアからここ数日の話を聞き、犯人捜しを始める虎宵と音々。
一方、演劇部はセピアが負傷してしまったがために代役オーディションを行う事に。
↓
演劇部のファンは多く、推している部員が違うファン同士は対立関係にあるようだ。セピアを貶め、別の部員を押し上げようとしている過激なファンが行ったのではないか、と音々は推理。その方面で聞き込みを行う。
↓
犯人は祟神に憑りつかれている。そう予想した虎宵は槐に接近。霊移しを行い、霊力を得る。
↓
ストーカーをおびき寄せ、現行犯逮捕に成功。犯人は二年F組、音々の隣の席に座る尾田だった。疫病神である音々の隣の席であるがために祟神に憑りつかれ、劣情が増幅してしまったのだ。尾田と話す中で虎宵は祟神を祓い、次第に尾田も落ち着きを取り戻していく。
事件は解決したかに思えた。
↓
音々が疫病神であること。この学校で起こる事件はほとんど音々が原因である事。しかし音々の中の疫病神を祓えば、何が起こるか分からない事を読者に明かす。
↓
翌日、演劇部で行われるヒロイン代役オーディションにて再び事故が起こる。立候補者の一人だった生徒が負傷してしまった。
『第2章』
セピアと小百合の会話。内気で臆病な小百合は心の中で演劇のヒロインに選ばれたい、スポットライトの中で堂々とお芝居をしたいと思っている。しかし、自分に自信がなく、オーディションには辞退するとこぼす。小百合を励ますセピア。セピアなしには生きていけない、と依存している小百合。そんな小百合を自立させようとしているセピアを描く
↓
次々と演劇部に事件が起こる。公開稽古を取りやめるも、プライベートを狙われ、最終的にヒロインの代役候補は小百合だけになってしまった。
未だ、虎宵と音々は犯人を見つけることが出来ない。
↓
第1回公演。結局、ヒロインは小百合が演じることに。そして案の定、本番中に事件が起きてしまう。強烈なハウリング音が体育館にあり響き、小百合が使って入るマイクだけ使えなくなってしまったのだ。マイクを使わずにお芝居を続けなければいけない。広い体育館。そもそも声を張るのが苦手な小百合は意を決し、殻を破る。見事演じ切ることに成功した。
↓
小百合と音々が話す。
それまでどこに行くにも何をするにもセピアに引っ付いていた小百合。しかし、今回自分の殻を破ったことでお芝居の楽しさを感じる。もっと自分を表現したいと思うように。
それを受け、音々も心が動く。これまで、あらゆる事件を調査しては、虎宵に頼りきりだった。推理をするのも、犯人を懐柔するのも、音々は何一つしたことがない。
――自分の手で誰かを助けるんだ。
信念を抱き、「私一人で今回の事件を解決して見せる」と虎宵に宣言する。
↓
翌日、早速音々は一人で動き出す。
そんな音々に対し、虎宵はポジティブな心境だった。もし音々が自分一人で解決できるようになれば、虎宵はもう槐と関係を持つ必要がない。罪悪感を抱くことなく支えることができると、いやそれ以前に、自立しようとしているのだから応援するべきだと、音々を送り出した。
しかし、虎宵の中には強い喪失感が残る。
そんなところに現れる槐。「貴方が助ければいい」「今回は自立を決意しただけで進歩じゃない」「もし解決できなかったらまた被害が出ちゃうよ。そしたら、あの子は傷ついちゃうんじゃない? もう動けなくなっちゃうんじゃない?」そう言って、口づけを交わす。結局、虎宵は事件解決のため、音々に隠れて動き出す。
『第3章』
第2回公演。その舞台裏に、虎宵はいた。一連の事件、その背景に見当が付いたのだ。読み通り、犯人であるセピアは公演を妨害するためにやって来た。
セピアはあっさりと自分が今回の事件の犯人であると自白する。最初は、小百合を自立させるためだった。自分に依存したままではこの先生きていけない。ゆえに、無理やりにでもヒロインとして舞台に立つよう画策したのだ。尾田のような過激なファンが犯人だと思い込んでいた周囲を欺き、見事目的を達成してみせたセピア。そして迎えた第1回公演、晴れて舞台に立つ小百合を目にし、感じたのは強い怒りだった。
――なぜ私はそこにいないのに、そんなにも楽しそうなんだ
気が付けば、小百合のマイクを遮断していた。
依存していたのは、小百合だけではなかったのだ。セピアもまた、過剰に小百合から求められることで承認欲求が満たされていたことを知る。吐露するセピアに、虎宵は自分を重ねた。
ここ数日、音々が近くにいたことで祟神に憑りつかれていたセピアは己を律することが出来ず、2回公演も妨害しようとしていた。
何とか除霊に間に合い、2回公演はつつがなく終える。
↓
音々視点
私には虎宵くんみたいな推理力はない。だから足で調べるんだ。と、張り切って動き出したものの。何の手がかりも得られなかった。もちろん、何も浮かばない。
結局、何の成果も得られぬまま第2回公演が始まってしまう。そして目にする、小百合の演技。吹っ切った小百合は昨日よりも堂々と演じており、迫真の演技だった。音々の中で渦巻く“情けなさ”はピークを越え、諦めへと変わっていく。スポットライトを浴びる舞台と、観客でごった返している客席との大きな隔たりを感じた。
↓
音々と虎宵。
「やっぱり、一緒にやろうよ」「私は私の得意をやるからさ……交渉、とかね」
そんな音々の申し出に、虎宵はホッとしてしまう。
『エピローグ』
セピアに付いていた悪霊は祓ったため、すでに事件は解決している。しかし、祟神の事を知らない音々は事件の解決も知らず、未だ捜索を続けていた。平穏が続けば、あるいは別の事件が起きれば自ずと止めるだろうと、虎宵は静観を続ける。
↓
ある日の夜、音々は虎宵と槐の密会を目撃してしまうのだった。
『2巻以降の展開』
・虎宵との間に亀裂が走る。
・槐に己が疫病神であると告げられる。
・精神的支柱であった祖母が認知症を患い、心許ない言葉を投げられる。
・認知症に祟りは関係ないため、虎宵にはどうすることも出来ない。無力感に苛まれるなか、どんどん弱っていく音々。
・もう音々を救うためにが疫病神の元凶を祓ってしか……という思考に。
・何があっても傍にいてくれる槐に、安心感を抱き始める。
三角関係のどろどろが描きたいです!!!!!
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