028話 常識ってなんだろう?
恐怖をラストで反転させたお化け屋敷が終わったので、次はハイマウンテンコースターへやって来た。
今度はちゃんとジェットコースターのレールがある。ちょっと80メートルの下り部分が反り立つカベみたいになってて、しかもコークスクリューしてる。あれはやばい。
他にも見るからに、殺しにきてるとしか思えないゼロGロールとか、水平ループに垂直ループまである。普通にコークスクリューとか級カーブとかありまくる。
そしてやっぱり案内役の人が説明というかアナウンスをしてる。
「フェスティバルなので限界に挑戦!!ローレンツ力で超加速するコースターを法令基準ギリギリ99.99%まで攻めます!!この遊園地は警察や省庁からたくさん天下りでやったきた専門家が管理してますから本当にギリギリ大丈夫です!!」
なんか逆に心配だなぁ。
「ローレンツ力で加速すなわちレールガンと同じなのです。めっちゃロマンです!!だって大砲の弾に乗れますよ!!」
ん?嫌な予感がする。
「天下りした偉い人が菓子折もって許可を貰いに行ったのに、持病がなくて、身長150センチ以上で、体調が良い、15歳以上45歳以下、怪我してない、係員の指示に素直に従う人限定です!!」
これはマジの危ないやつ?
「乗れない人は担当者に菓子折の中身をさきイカにした専務にお願いします!!私は悪くありません」
そこは安全基準だよね?さきイカは高級品だと思う。
「どうせギリギリを攻めてるので、ノンストップ5周にしてやりました(笑)たぶん一周で終わる前提で認可したんでしょうが、私は負けませんから!!」
「「「「「えっ!?」」」」」
5周は聞いてないよってなるけども、ハイマウンテンコースターに乗り込んで、安全ベルトとバーで固定されてる。
「逆走にしておいたので、楽しんでいってらしゃい」
問答無用で真後ろへ射出される。かなりの加速度で、物凄く振り回されたり、急にGがなくなったり、もう何がなんだか分からない。
希更さんが楽しそうに「きゃー」言ってるけど、俺は理解が追いつかない。理解が追いつかないままジェットコースターは停止した。
「5周お疲れ様でした。お足元気をつけてくださいね」
確かに平行感覚とか体力へのダメージが凄くて、歩くのもやっとだ。
「凄いスリルで、楽しかったわ」
「きさらそれない、安全か心配になる恐怖だった」
「俺もそう思ったよ。それが狙いの案内だと思うけど、怖すぎるって」
俺は真田愛美さんに同意する。そしてさり気なく、希更さんが支えてくれると、真田愛美さんが反対側を支えるというか、ふらついて抱きつくというかな事になる。
これは両手に花で良いのかな?
「どうでも良いけど気持ち悪い、ジェットコースター酔いした」
「ゆなちーそれは目が回ってるだけだって、後ろ向きであんなに振りまされたらキツすぎるし」
「それを乗り物酔いって言うの」
「そうかなぁ?似て非なるものものじゃない?じゃないと私も酔ってるじゃん」
武田唯さんは器用なことにジェットコースターに酔ったらしい。上杉雪菜さんは酔ってるとは認めないけど、似たりよったりな顔色をしてる。
「次は自分で操作できるゴーカートだから大丈夫でしょ、行くわよ」
一番元気な希更さんに引率されて俺達はゴーカートにやってくる。
やっぱり係員さんが案内アナウンスをしている。
「道路交通法なんて知りません!!だって適応されたらレース出来ませんよね?」
なんかやっぱり不穏だぞ?
「でも怪我をされては困ります。そこで考えました!!」
普通にしてくれないかなぁ?
「そこでギア比をとんでも無く大きくしておきました!!加速力は凄まじくカーブからの速度回復は凄いです」
なんでこの遊園地はこんな無茶苦茶なんだろう?
「その分トップスピードは出ないので、安心安全ですよ。どんなに頑張ってもラップ記録の更新は不可能なので諦めて下さいね。なんでって人はググればギアの仕組みから分かりますよ」
ゴーカートにそれぞれ乗り込む。
そしてアクセルを踏むと急加速して・・・遅っ!!めっちゃ遅っ!!
確かに急加速してモーターは物凄い回転してる。でもスピードはそこからぜんぜん速くならない。まるで自転車の一番軽いギアで漕いでも漕いでも進まないみたいだ。
「あれナニコレ!?」
希更さんが困惑しながらアクセルを踏むけどもどんなにあがいてもスピードは出ない。
「安心安全だけどこれは面白い??」
俺の素直な感想だ。
「自転車よりも遅いしイライラする」
「遊園地の遊びは怖いけど、スリルが必要だった」
「のんびり出来て楽しいかな」
基本的に楽しくないらしい。何事もなくゆっくりとコースを一周してゴーカートは終わった。
ゴーカートから降りて、気がつけばあっという間に時間は過ぎていて、夕方になってる。
「夕陽の時間だし観覧車行こ♪」
希更さんが観覧車を楽しみにしてるみたいだ。夕陽を観覧車から見るって贅沢だしぜひとも行ってみたい。
「5人で乗れる?」
武田唯さん達も一緒に乗りたいみたい。
「大型観覧車だから6人乗りのはず」
「なんでよ?」
どうやら希更さんは嫌らしい。やっぱり男の俺が邪魔なんだろうか?
そこに恒例の係員さんの観覧車のアナウンスが始まる。
「やっぱり観覧車の夢と言われたら高速回転ですよね?やろうとしたら、回転させるモーターはパワー不足だし、構造強度も足りませんでした。強化するとお金がかかりすぎるので諦めました」
でも何かやってるとそんな変な信頼感がこの遊園地にはある。
「お客様がゴンドラを揺らすのは危なすぎるので認められません!!全部シースルーはコスト的に無理です!!ですからフェスティバルだけど普通の観覧車です!!楽しい景色を楽しんで下さいね」
そんなことある!?いやこれが当たり前なんだろうけど、それでも抜け道見つけたり要らないことをすると思うんだけどなぁ。内装とか改造したりさ。
「真ちゃんはどうなの?誰と乗りたい?」
真田愛美さんに質問される。希更さんはなぜかジ~と何かを伝えたげに見つめてる。
何を伝えたいのだろう?案内を聞いて考え事してて話を聞き逃してしまったし、分からなくてヤバい。
「えっと・・・やっぱり、みんなでかな?」
多分これが正解だよね?
「あんたねぇ、なんでそうなるのよ。あんたヘタレすぎるわぁ」
希更さん!?なんで!?
「ふふふ、真ちゃん乗りながら膝枕する?」
「ゆなちー、それは風景が楽しめないし、観覧車出することじゃない」
「真ちゃんここで誰か一人を選んでも良かったんだぞ」
上杉雪菜さんが冗談を言うけど、それって告白より恥ずかしくない?
「いやいや、そんなの無理だって彼女いても言いにくいって」
「それでみんなで乗るとして、真ちゃんの本音は誰がいいの?ゆなちー?ゆきゆき?マー?やっぱりきさら?」
武田唯さんがぶっ込んでくる。
「それは・・・」
視線が集まってくるけど、マジで困るどう答えても角が立つやつじゃん。
「そのまだ選べないかなって、まだ出会って一ヶ月も経ってないし」
とりあえず先延ばしにするしかない。
「「「「・・・ヘタレ」」」」
なんで!?皆でジト目なの?やっぱり俺嫌われてる??
「おかしくないと思うけど?」
「真ちゃんとみゃくありならよしか」
真田愛美さんの発言的には、俺好かれてるの?ほんとに?色々と虐められたよね?
「ちょっと!?マー
「気持ちは友情で制御出来ない」
「なに名言ぽく言ってるのよ?なんだかんだ言っても信じてたのに」
「「「お義姉ちゃんになり隊!!」」」
そっか俺じゃなくて天使ちゃん狙いか。同性からみても天使ちゃんの可愛さは反則だよね。でもあげないよ。
天使ちゃんは俺が守るから。
このあと観覧車を何事もなく、楽しんで無事に俺達は解散して遊園地を楽しんだのだった。
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