俺の妹が欲望に忠実すぎるクラスメートに狙われてる〜それよりも早くあなたを好きな娘がいるのに気が付いてよ〜

エイル

一章 始まり

000話 プロローグ 触らぬ親バカ&ブラコンに祟りなし

 現代の魔法使い、それは宗教や時には国家、犯罪者集団とも絡み合い、裏社会で生きる者も多い。そして魔法の才能は遺伝の要素が大きく占める。

 

 そんな彼らもまた利害関係や生まれ、環境などに影響されて対立する。そして夜遅く、路地裏で独りの女を複数の男達が襲撃していた。

 

「ふん、雑魚ね。鍛え方が甘いのよ」

 

 20代前半くらいの女が複数人の武装と魔法を併用した男達を素手で殴り倒してしまっている。鍛え方とかそういう問題ではなさそうな人数だが彼女には殴り倒せて当たり前らしい。

 

 倒れてる襲撃者の中で意識が残るは襲撃の現場指揮をしていた一人だけだ。

 

「日本歴代最強世代と呼ばれるお前達だが、旦那は守りきれなったようだな。大人しく投降してもらおう。他のメンバーの、誰かが投降しなくても旦那は殺すがな」

 

 端末に誘拐されて椅子に座りライフルを突き付けられた男のライブ動画が流される。

 

「・・・バカなの?あんたら楽に死ねないわよ?」

 

「ほざけ、我々には人質がいるのだぞ!!見てみろ」

 

「あんたらの組織は皆殺しにされるだろうし、卑怯なお前は死ね死んでしまえ!!」

 

 プロボクサーも反応も知覚も出来ないような速度で、女は端末を持つ男に腹パンを打ち込みノックアウトする。男の意識はブラックアウトした。

 

「真治に手を出しら、最恐最悪の親バカに最強で兄命のブラコンが出てくるが分からない?バカすぎるのよ」

 

 路地裏に女の憐れみか込められた呟きが響いた。

 

 そして女はブルッと震える。

 

「もしかしなくても私まで、とばっちりかしら。なんかムカつくからもう少し、サンドバッグになりなさい」

 

 一応は気絶してるだけだが、転がる男達に死体蹴りがドスッガスッと何度も敢行されたのだった。

 

「あの義妹とお義母さん、あとお義父さんもマジで怖いんだから!!どうしてくれるのよ!!死ね!!殺すよりも身代わりに差し出すけど!!」

 

 しばらく死体蹴りは続けられた。

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 別の場所でもまた同じライブ動画で人質を見せられて、脅されている女がいた。ただし大人しそうで根暗な雰囲気の彼女は、明らかにカタギではない見た目の警備会社の社員が護衛しており、彼等が襲撃者を既にボコっていた形跡がある。

 

「こいつを殺されたく無かったら武装解除しろ」

 

 ライブ動画が流れる端末を見せる。

 

「うへぇ、安倍くんの誘拐とかないわー。あいつの家族怖いのよ!!最悪じゃん!下痢ピーになってしまえ!!」

 

「うぐぅ、きさまぁ、のせいでぇ、こいつがぁ、しぬぞぉ・・・」

 

「私達の相手に人質が必要な奴が、安倍くん誘拐したら壊滅するに決まってるもの。怖くないわ。トドメはよろしく」

 

「姉御わかりやした!!」

 

 夜間にも関わらず、高級黒服スーツに真っ黒なサングラスにガタイの良すぎるという、のヤクザよりヤクザファッションな、警備会社の社員は襲撃者をロープで拘束する。腹は無駄に念入りな締め付けがなされる。

 

 ヤクザファションでも、八つ当たりしたくなるほど、被害者男性の家族は怖いらしい。

 

「そこだけはぁ、やめてくれぇ〜!!トイレに〜〜〜!!トイレにぃ〜〜〜〜〜!!行かせてくれぇぇぇ〜〜!トイレプリーズ!!」

 

 襲撃者の心からの声は無視された。

 

「もしかしなくても私にも被害でるよね?」

 

「姉御!!地獄の底までお供しやす」

 

「ありがと、とりあえず下痢ピーを強化して憂さ晴らししときましょう」

 

「「「「姉御念入りにお願いしやす!!!!」」」」

 

「これはあいつも心配・・・いや質より数なら負けないか」

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 また別の場所でも武装した魔法使いが襲っていたが、人質で脅す暇も無かった。

 

「何だったんだ?こいつら?」

 

 数百体の式神を操る男は数の暴力で、敵達の意識を一瞬にして刈り取っていた。

 

 知らぬが仏、世の中知らないほうが良いこともある。

 

「暴漢だし、放置するか。俺の貧乏なのになんで襲われたのか謎だな?身代金請求なら彼女か?そっちのが怖いと思うし、俺の家族は払えないし、カツアゲ??でも今月の全財産571円だし」

 

 給料日まではあと7日であり、彼には残金でいかに過ごすかが懸案事項である。

 

「プライドだけは死守しないとヒモになるからなぁ」

 

 プライドで、貧乏な男の去ったあとには、式神によって画面の大半が砕けた端末が虚しくライブ映像を流していた。

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 別のターゲットにされたイケメンな成金風の男は、すでに勝利して拷問を始めていた。

 

「世の中証拠さえ無ければ、疑わしきは罰せずですからなぁ、ふはははは」

 

 火魔法で、大火傷を負わせて回復魔法で治すというコンボを何十回か繰り返してしまい、情報を聞き出すはずが、やり過ぎて襲撃者の精神崩壊させていた。

 

「あーうー、やめてくれ」

 

「おかしいなぁ。これで愛するライトノベルのように上手くいくはずだったのに」

 

 過ぎたるは及ばざるが如し、ちょっと他人の耐久力を自分基準にしてしまったのである。

 

 そして端末を見つけて誘拐を知る。

 

「なぁ?お前先に死んどかない?その方がたぶん楽だぞ?」

 

「あーうー、やめてくれ」

 

「だめだこりゃ」

 

 男は自身未来とか、情報を得るとか、いろいろと諦めた。

 

「ボコられ耐性こんなに低くて、よくこんな仕事につけたな。もっとボコられる修行しとけよ」

 

 どこまでも残念なイケメンなのだった。

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 

 

 その頃、誘拐を主導した国家の元首やスパイ組織の幹部達に、マリオネット魔法が襲いかかっいた。

 

 記憶を改竄され使い手の都合よく行動する様に洗脳も施される。そのマリオネット魔法が施された記憶は削除されて、自らの意志で行動しているつもりになる。

 

 誘拐の実行犯は、肉体の自由のみを奪われてその悍ましい行為をただ見るしない。

 

「政治家が魔法使いに絡むのは珍しいなぁ。さて記憶はこんなもんかなぁ?政治家はやりすぎるとバレるしかるーくバレない程度にね。スパイ組織の偉いさんは、本来は居ないはずの人間だし、好き放題いじっても問題ないと」

 

 問題というか人間の根本的な権利とか大切な物を全て踏みにじってるが、親バカな男はマリオネット魔法の使い方にある人権問題など、気にしない。

 

 そしてスパイ組織の構成員は、義母によりゆっくりとした確実な死に向かっている。

 

「許してくれ、こんな地獄いやだ」

 

 上司がいきなり、しがないおっさんを神のごとく讃えて、絶対服従になる様を見ながら体内を溶かされている。彼の叫び通りこの世の地獄だろう。上司があの状態では、スパイ構成員の親族さえ無事とは限らないが、もはや何も知りたくもないのだろう。

 

「真治の受けた恐怖に比べたら大したことないでしょ?煩いし黙れよ」

 

「あががが・・・」

 

 義母の状態異常魔法により麻痺させられたのだった。もっとも麻痺だけならマリオネット魔法の劣化版なのだが、毒というか酸というかによって体内が徐々に溶けている。もちろん脳も内臓も例外はないが、恐怖を感知するために脳は最後まで無事である。

 

 殺ろうと思えば即死もさせられるのだが、こんなゆっくりとした恐怖を煽る死を与えているのは、溺愛する義理の息子の為に、誘拐に対する復讐を勝手に代行してるからだ。

 

 状態異常魔法は、魔法を使えない相手ですら非常に掛けにくいという欠点がある。

 

 しかし彼女は魔法耐性無効化という凶悪な固有魔法と組み合わせることで、100%効果を発揮させる極悪な性能となっている。

 

「次は、この人達ね。さぁ二度と手を出せないようにしなきゃね」

 

 リストを確認しながら親バカなコンビは次の獲物に向かって移動を開始した。もちろんその復讐リストには息子を守れなかった襲われた側も優先順位最下位ながら入っている。

 

 もっとも復讐ではなく、おしおきリストと小さく書き足してあるので生命は無事だろう。たぶん。

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 そして誘拐の被害者男性の妹は、拐われた兄を救出するためスパイ組織の隠れ家を歩いている。彼女の見た目は黒髪ストレート、なにより儚げで、そして可愛すぎる。

 

「ねぇ?そんなに大きな銃をこんな可愛い女の子に向けて恥ずかしくないの?」

 

「煩い!死ね化け物」

 

 本物のアサルトライフルも恐れず、薄暗い隠れ家を我が物顔で歩き回ってなければ、ナンパくらいしたくなる。少なくともじっと見て目に焼き付けているだろう。そんな少女だ。

 

「こんな美少女に向けて化け物なんてひどいよぉ」

 

 警備していた男は魔法で身体強化し、超速でアサルトライフルの引き金を引こうとするが、さらに早く指が消滅し、眉間に穴が空く。

 

 結果は即死である。脳に穴が空いて人間は生きてはいられない。

 

「早くお兄ちゃんを助けなきゃ」

 

 彼女のありとあらゆるものを対消滅させる魔法を止める手段はない。即死か、逃走しか、選択肢はどちらしか誘拐犯には残されていなかった。

 

 そして何事も無かったかのように死を振りまいて、誘拐され、ライブ配信されていた男の部屋に辿り着くと彼女は、ライフルを持った誘拐犯の首から上を問答無用で対消滅させる。

 

「お兄ちゃん!!助けに来たよ♪怪我とかしてない?大丈夫?」

 

「ヒッ、いきなり頭が無くなって、血が吹き出した!?なにこれ!?どうなってるの!?」

 

「お兄ちゃん!!お兄ちゃんてば!!怪我とか大丈夫?痛いところない?もうてんしちゃんが来たから、大丈夫だからね」

 

「てんしちゃん?何がどうなってるの?」

 

「お兄ちゃんを誘拐したゴミならぶっ殺したし、もう安心だよ♡」

 

 ありえない残虐な光景と、彼女のカミングアウトに誘拐されたいた男の脳は理解を拒否して、シャットダウンした。

 

「お兄ちゃーーーん!?死なないでーーーー!!ハッ、脈あり、呼吸良し、体温正常、出血なし!!」

 

 兄の生命活動を確認して、ふぅ~と一息つく。

 

「良かったぁ。死んじゃうと魔法でも生き返らないからね。誘拐されるなんて、お義姉ちゃんとこれからのことお話しをしなきゃ」

 

 軽々と気絶してる兄を背負うと、生者のいない隠れ家からあっさりと脱出いや、敵は死んでいるから、ただの移動を成功させたのだった。

 

 触らぬ親バカとブラコンに祟りなし。世の中には敵にしてはいけない者がいるのだ。これはそんなヤバい人達を家族に持つごく、普通な魔法を知らない男のラブコメ物語であり、彼の知らないところで繰り広げられる魔法バトル物語でもある。

 

 時は誘拐された男が高校生の頃に戻るのであった。

 

 

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 まえがきと本作についてお知らせです。

 

 ここからは本編ではありません。不要な方は読み飛ばしてかまいません。かなり長いからね(*^_^*)

 

 それでは改めまして、はじめましての方はこれからよろしくお願いします。知ってる方はいつものエイルです。

 

 本作は、【俺の妹が原因でクラスが派閥抗争してる】のリニューアル作品となります。もう気合いを入れまくりまして、ここまでのプロローグは新規書き下ろしてみました。

 

 なぜリニューアルなのか?それはネタは悪くないと思うのですが、衝動的に書きましてプロットなしで何もかも適当でありました。

 

 原因は単純明快、パソコンがご臨終したので悲しみと勢いのみで書いたからです。

 

 本来ならエイルは、後からでも修正をかけるのですが、ご臨終したパソコンの供養として残すことにしました。

 

 でもやりかけ、ネタはいいのにプロットや設定はガバガバすぎる。どうするのか?結論は準新作として生まれ変わりました。

 

 設定はダンジョンマスターと共有化しまして、あわせるために一部のキャラの魔法を変更しております。

 

 またキャラ名も変更が一部しております。そして、何よりも妹のてんしちゃんの出番が次の話に追加されておりまして、魔法使い側の説明を担ってもらいました。

 

 キャラの性格は両親が大幅に変更していまして、頭おかしい感じで良さげ(面白い感じ)に調整しました。特にお義母さん良い具合にぶっ壊れてます(笑)

 

 さて今作はエイルの2作目の長編作品ですからプロットをしっかりと組んで、執筆しております。

 

 現代ファンタジーってどうしても、アンダーグラウンドになるんですよね。そりゃ魔法があったり幽霊が認知されてる現実な世界観を構築すれば違ってはきますが、ないはずのファンタジー要素を無理やり現実に落とし込むと、どうしても隠れてる理由なり隠される理由が必要で、それって大体は陰謀論なり、秘密結社なり、そういうのになるのですよね。

 

 ですがそんなことをすると、暗くてエイルの作風的に書けません。ならどうするのか?

 

 結論はB級ギャルゲー化するです。なぜこうなるのか?簡単です。書いててエイルが楽しいからです。

 

 ダンジョンマスターは読んで楽しい物を作りましたが、今作は、書いて楽しい物を作ってます。

 

 つまりは、PVとか評価とかはダメダメだろうなと思います。なんせ読むことを前提にしてないのですからね(´・ω・`)

 

 ですが!!エイルが読み返さない作品ではありませんし、全力で、お笑いバトルをさせます。人死はそうそうさせませんし、まさにエイルワールド全開なツッコミとボケのコメディをお楽しみ下さい。

 

 最後にこの作品にストーリー性と伏線を求めてはいけません。どれだけ改良を加えても元が元、所詮はB級ギャルゲーなのです。

 

 元を読んだ人が少ないからほとんどの人が知らねーよ、というツッコミが入る現実からは逃避しまして、無意味に長いまえがきを終わらさせていただきます。

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