オマケアフターその7 強制連行カラオケパフェ 前編
※エリカの友達再登場回です。
(近況ノートに友達三人のイラストがあります)
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「ごめ~ん!! 今日遊べるって言ってたけど、やっぱキャンセル!」
「そーなん? ま、エリカが放課後ドタキャンするのは珍しくないし別にいいけど」
「何かあったのかしら?」
「エリカちゃんは~、今日がこの前言ってた臨時バイトの日なのを忘れてただけだと思うよー?」
「覚えてたなら先に言ってよ!?」
「まー、バイトならしゃーないなぁ。エリカは先に帰っちゃったし、ウチらはどーするん? 遊び行くのはまた今度にするか?」
「それがいいかもしれないわね」
「ん~。エリカちゃんの代わりを呼べばいいんじゃない? ドタキャンの責任を取ってもらうってことで~」
「代わりって、誰だよ? まさかエリカのねーちゃんとかか?」
「それもいいけど~、もう一人いるでしょ?」
「まさか……いえ、でも、案外いいというか、面白いかもしれないわね」
「なぁ。お前ら、なんか変なこと企んでないか?」
放課後、下校しようとして校門をくぐったら何故か女子三人に囲まれてしまった!
え? 何? これ? どーゆう状況?
「ども~、エリカちゃんのお兄さん。私たちのこと覚えてますかー?」
覚えてるか? と言われると、なんとも言えない、くらいの感じだ。
無論存在そのものは覚えてるし顔もなんとなく記憶してるけど、名前とかはさっぱり分からんし。
というか、君はなぜこんなに接近してくるんだ? 物理的距離が近いって。
「エ、エリカの友達だよな? 何かあったのか?」
「えぇ。友達、親友といってもいいわね。そのエリカの親友の私たちがちょっと困った事態に陥っているわけなんです」
な、なんだ? エリカとなんかあったのだろうか?
そういえば今日はあいつ臨時のバイトがあるとか言ってた気がするが。
で、目つきのやたら鋭い君も、なぜそんな距離詰めてくる?
両サイドから挟むな俺を。
「そーゆーわけで、なんかエリカのにーちゃんに付き合ってほしいんだとさ」
「え?」
なんで俺?
どうでもいいけど、この後ろにいる背の小さい子に背伸びして肩叩かれるの、なんか小学生に肩叩かれたみたいで不思議な気分だな。
「私達、エリカのお兄さんならきっと相談に乗ってくれると信じてます」
「へ?」
ちょっと、なんで腕を組む。
「そういうわけで~……さ、いきましょう~」
「えぇッ?」
いきなり両腕を組まれて逃げ場を封じられた!?
くそっ、流石エリカの友達というだけあって色々突然で意味不明な上にヤルとなった時の行動に迷いが無い!
「いや、行くっていわれても一体どこに――」
「まぁまぁ、とって食ったりはしないわ。あと、お兄さんが今日この後に予定がないことはお姉さんにそれとなく聞いて確認してますから」
「華恋にまで会いにいったんならあっちをそのまま連れて行けよ!?」
何の話しか知らんが、エリカについての相談事なら絶対あいつの方が適任だと思うけどなぁ!!
「エリカのねーちゃんも用事あるって言ってたわ。暇なのはにーちゃんだけらしいっすよ?」
……くそう! 悪かったなぁ暇人でっ。
両腕を捕まれたままという、非常に落ち着かない状態で連行された先はなぜかカラオケボックスだった。
どういうことだろうか? もしかして、こういった個室でないとできないくらい真面目な相談とかだったりするのか?
そういえば以前、華恋に『カラオケ行く時は絶対に自分も呼べ』みたいなことを言われていた気がするが、今回は特殊なケースだから仕方ないよな?
「さて、ではまず改めて自己紹介でもしましょうか。私達、お兄さんにはちゃんと名乗っていないですものね」
カラオケボックスの室内に入ると、それぞれが荷物を置いたりして落着いたところでそんな提案が出た。
正直、名前も分からないので助かる。
「んじゃウチからいこっか? エリカの友達で、
一際小柄な子が頭だけぺこりと下げて挨拶してくれた。
ボーイッシュというか、なんかエリカとは全く違った方向で気安い雰囲気の子だな。
「理恵さんな。俺に対して敬語とか使わなくていいぞ? たいして歳も違わないし」
エリカも使ってないしな。
理恵さんは、なんか敬語とか嫌いそうなイメージがある。
「あ、そう? 助かる~そういうの苦手でさぁ。あ、じゃあこっちのことも理恵でいいから。さんとかつけるようなキャラじゃないし」
イメージだけじゃなくてそのまんまだった。
ケラケラと笑う感じに嫌みがないので、敬語とかなしでも実際全然気にならない。
「では、私も
次に名乗ったのはやたら目つきが鋭くて声の低い子だ。梢ね。
三つ編みを流している髪型といい、お淑やかな感じなんだろうか? でも、さっきはこの梢って子も速攻で腕を捕まえてきたからな……実は色々怖い相手なのかも?
「じゃあ最後はわたし。
ウェーブがかった髪をロングにしているのが、加奈か。
一見すごい穏やかそうだけど、やっぱ腕を掴んできたしなぁ。ぱっと見通りにのんびりした人ではないかもしれん。
それと、凄くどうでもいいけど捕まれた時の感触からいって胸は小さいだろうな。
さて、こういう流れになったら俺もしないとダメだよなやっぱ。
「よろしく。で、まぁ俺のことはもう知ってるみたいだけど、一応名乗っておくと加々美誠一郎だ。呼び方はどうとでも好きに呼んでくれ」
「おっけ。加々美のにーちゃんな」
「加々美さん、ね」
「カー君は自己紹介も固いね~?」
それぞれ、俺のことをどう呼ぶか決めたらしい。
……カー君は流石にどうかと思うけどな。
「お~、やっぱ理恵ちゃんの歌は元気でいいね~」
「よくそんな高音がでるわねぇ」
「梢は特に声低いもんな。でもそれで歌うとめっちゃカッコイイよなー。ほら、次アレ歌ってよ梢。あの英語の歌詞のさ」
……いや。
「あの、困りごとだか相談だかは?」
三人が一斉に俺の方を見てきて――その後また三人で顔を見合わせた。
なんだ、その反応は。
「そろそろカー君にも歌ってもらおっか~?」
「だな。加々美のにーちゃんの歌も聴いてみたいし」
いや、だから相談があるんじゃないんかい。
「加々美さん。私達ってまだ知り合ったばかりでしょう? 相談をするにもまずは打ち解けてから、つまり親睦を深めてからがいいと思うのよ。だから、はい」
はいって。サラッとマイク渡してくるな。
「はぁ。分かったよ。親睦な」
よく分からないが、彼女達なりに気を遣ってくれているのかもしれないしな。
それだけこの後の相談内容が重かったりする可能性もある。
取りあえず、言われた通りにしておこう。
――ってことで、歌ったわけだが。
「……おぉ~! にーちゃんの歌良いな!?」
「お、おぅ。どうも」
理恵は慣れてくるとナチュラルに距離感が近いな?
やっぱエリカとは別ベクトルで気安いヤツなんだろう。俺としてはこういう感じのノリは嫌いではないが。
「うん、なかなかカッコイイ歌声だね~」
「意外ね。歌い慣れている感じだわ」
ほっといてくれ。意外なのは分かるが、原因はとある弁護士のせいなのだ。
「にーちゃん、次これ歌ってみてこれ! 歌える?」
「え? あぁ、多分な。でも、それより相談は」
「私達ってー、男子とカラオケ来たこと殆どないから新鮮なんですよね~」
「そ、そうなんだ。いやまぁ俺も女子と来たことあんまないけど」
「そーなん? 意外だなぁ。あのエリカと一緒にいるくらいだから、慣れっこなのかと思ってたわ」
いつだったか、華恋とエリカと一緒にカラオケ行こうという話しは出ていたのだが、なんだかんだあって未だに行けていないのだ。
つまり、東さんと華恋としか行ったことないと思われる。
いや、それよりも相談をね?
「加々美さん。親睦ですよ、親睦。お互い男女でこういったことするの初めてに近いなら、なおさら親交が必要だわ。なので次は二人で歌ってみるのに挑戦しましょうか?」
「えぇ……」
――結局普通に色々歌い続けてしまった。
東さんに付き合わされてデュエット曲も無駄に結構歌えるからなぁ、俺。
「うぁ~ちょっと喉疲れてきたなぁ」
「そうね。結構歌ったわね」
お、ということはやっと本題に。
「あ、時間だって~。カラオケは出ないとだから、続きは場所変えましょうか~」
入れないんかい!!
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