痴漢されていた巨乳美人を助けたら癒される話(仮)
てんちゃん
第1話 邂逅
「八雲くん、先ほどはありがとうございました。お礼に連絡先など教えていただけないでしょうか」
「いえ、偶然助けただけですし。それにお姉さんほどの美女の連絡先をいただくのはちょっと恐れ多いかなぁって。」
「ふぇ!び、美女?!って、ご、ごまかそうとしたっていけないですよ」
どこか可愛らしい様子で、迫ってくる美女に俺、
(なんで、こうなったんだっけ)
初めの出会いは、一ヵ月ほど前まで遡る。
◆ ◆ ◆
突然だが、スチューデントアパシーという言葉がある。
学生(主に大学生)が社会的役割である本業(学生としてやるべき学業・進路選択)に対して選択的退却・回避し、無気力、無感動となることであるらしい。
実際、学生に限らず無気力で日々を過ごしている人は一定数いるのではないだろうか。
とまあ、こんなことを考えている俺もそのうちの一人であり、満員電車の中に押し込まれているのであるが、、、。
(ふぅ、やっと人が減ったかぁ)
高校の最寄り駅の途中の大きな駅で人が吐き出されていくのを見送り、座席に座りつつ、ホッと一息つく。昨夜の読みかけの本をカバンから取り出しつつ栞の挟まったページを開く。大きな駅までは押しくらまんじゅうなのがつらいところだ。
と、そこで。ふと、向かい側に座ったサラリーマンの若い男性がちらちらと
どこか見ている様子に気が付いた。
(何見てるんだ?)
不思議に思いつつ視線の先を目で追っていくと、そこには
(おぉぉ、めっちゃ美女じゃねえか)
内心で思わず絶賛してしまうほどの美女がいたのである。
緩いウェーブがかかった茶髪にぱちりとした瞳。そして、整った顔つき。
雰囲気はどことなく柔らかく、彼女の持つ性質ゆえであろうか。
そして、、、
(どこがとは言わんがでかい!しかも、あんな美女いたっけなぁ)
考えるが見た覚えがなく、なにより見たら忘れない美女っぷりである。引っ越してきたのであろうかとおおよその見当をつける。
ちなみにお兄さんはもはやチラ見というレベルを通り越して、どことはいわんがガン見である。補足だが、持つべきものをしっかり持っている方はどこを見ているのか目線で感じるしバレバレであるらしい。
哀れなりお兄さん。
と、ここで「次は、○○~○○~」
アナウンスと共に席を立つ美女さん。
これが美女さんを初めて見た時であり、冒頭の発端はそこから約一か月後のことであった。
■ ■ ■
毎日の通学に美女という存在が加わってから、やはりその美女は人目を惹きやすいらしい。その美女は俺が乗る駅の次から乗車してくるのだが、満員電車なのはもちろん、当社比で男性が増えたように感じる。
当然、乗車口が同じであったりした場合はその余波がこちらに来るわけで、、。
(なんつー、おっさん地獄)
むさくるしいと思いながら、おそらく原因であろう扉付近の美女を見てみる。相変わらず綺麗だが、ぎゅうぎゅうな電車の中吊り革を持ち、どこか何かに耐えている様子であった。
表すなら怯えだろうか。
よくよく注意してみてみると
(あの後ろにいるおっさん、近くねえか。)
何やら後ろのおっさんが美女にとても近い。さしずめ痴漢であろうが美女の周りの人で気づいている様子の人はいない。
(揺れに合わせて触ってる?しかも、足元の紙袋の中にあるのってカメラか?常習犯っぽいな)
朝っぱらから胸糞が悪いというのが正直なところだ。それにさ受けている側はものすごい恐怖であろう。
「次は〇〇~、〇〇~」
ちょうど、美女が降りる駅に着いたようなので降りる流れに乗って男に近づく。
男も降りるようで、降りたところで紙袋を持つ手を掴む
「おい!おっさん!その紙袋の中見せてみな。」
すると、手を突然掴まれて驚いた様子であったが、ややもすれば自分の行為がばれているかもしれないと分かったらしい。狼狽するのがまるわかりであった。
「な、何を言っているんだね君は。いきなり掴んできたと思ったら。失礼じゃないかね!」
「その言葉はそっくりそのままお返ししますけどね」
「私が何をしたというんだ」
「それってなんかしてると自白してるもんじゃないんすかね」
いきなりのことで事情がよくわからなかった周囲の人も事情が呑み込めてきたらしい。なにやら少しざわめいている。
とここで、周りから遠巻きに見ていた人の中から美女が出てきた。
「す、すいません!そ、その人!ずっと私のこと触ってきてて、、。」
「な、な!君も何言ってるんだね!」
としばらく降り口付近で押し問答をしていたからであろうか。それとも遠巻きに見ていた周囲の誰かが呼んだのかはわからないが、駅員さんがやってきた。
「あなたたちですね。騒いでいるというのは。とりあえず駅の事務所の方でお話は聞きますから」
なんとか離れようとしていたおっさんも駅員さんが来たことによりおとなしくなった。そうして事情聴取の後、おっさんはカメラやスマホのフォルダからも写真が出てきたことが決め手となり無事につかまって冒頭のシーンに戻るわけなのだが、、。
「あの、本当に助かったので何かお礼をさせていただけないでしょうか」
「いえ、ほんとたまたまですって。それにカメラという物的証拠があったとはいえ、勇気を出してあの場面で声をあげていただいたのは私も助かりました。申し訳ないのですが、学校がもう始まっているので急ぎますね!」
と、去ろうとしたとき。
「で、では!」と俺の手を掴んだかと思うと何かを握らせてくる。
「これ、私の連絡先なので後で連絡してください!私も時間がないので残念なんですけど、、。本当にありがとうございました。」
そういって、再度、美女はお礼を述べぺこりとお辞儀した後、急いでどこかに行ってしまった。
「えぇ、、。どうしよ、、。」
後には、茫然とした俺のみ取り残された。
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