第13話「剣聖」
ディゼル・コルネーロには側室が二人いる。
正妻はまだいない。
俺の側室の一人。ミネルバ・エクステル。
エクステル子爵家令嬢。
メリルレージュ軍団の№2。通称「豚令嬢」
学園入学前の状態で十分に太っている彼女はこの後どんどんどんどん肥えていき、いずれは痩せている娘を目の敵にして何の理由も無く無関係な少女を焼き払うような人物になる。はずだった少女は俺の開発した低カロリーメニューにより見た目は大幅に改善されていった。
全体的に痩せたが胸は膨らんだままの巨乳美少女である。
俺の側室の一人。アンリエッタ・ベルゼ。
ベルゼ男爵家令嬢。
メリルレージュ軍団の影の実力者。通称「呪令嬢」
長く伸ばした黒髪で顔全体を覆っている。
その髪の下にはニキビがつぶれたようなブツブツが顔面を覆っている。目をそむけたくなるような素顔の持ち主で婚約を破棄された翌日に十歳で呪いを発動させて元婚約者を半殺しにした人物だが、呪いが解けて美しい素顔の美少女になった。
二人がメリルに忠実なのは変わらないが、悪の心と言っていいのか、なんと表現していいのか悩むのだが、この場合は負の感情でいいか。ミネルバとアンリエッタの負の感情は解消していると信じたい。
俺は二人のように周囲を変えるべく、まずは自分を鍛えた。
他人を変える前にまず自分を変える。
前世で誰かに言われた言葉だ。誰だったかはとうとう思い出せなかったが。
そんな感じではあるが、試行錯誤しながら歴史改編を試みてから一年が経過した。
この一年で大きな出来事が起こった。
ルグナス公爵家が、公爵から大公爵になった。王国への貢献から爵位が上がったのだ。
つまり、メリルレージュ・ルグナスがゲーム通り大公姫になってしまったと言う事だ。
だがこればっかりは仕方がない。俺の力でどうこうできる問題ではないからだ。
自分に出来る事を一生懸命やる。
その思いを胸に、俺は自分に出来る事をし続けた。
*
「ディゼル・コルネーロを新たな剣聖に任命する」
「はっ」
貴族の叙任式に似たような形で、剣聖の称号を得る儀式が行われた。
十四歳という若さで、俺は剣聖になった。
でも残念ながら、大陸でトップクラスの実力者になったとかではない。王国でトップクラスの実力者になったというわけでもない。
はっきり言ってしまうと、剣聖とは名誉職だ。
探せば実力のない剣聖なんてごろごろいる。全ての剣聖を把握している人なんていないんじゃないと思うくらいの数だ。さすがに剣聖を管理する組織があるみたいなのでそこでは把握しているのだろうが、そんな連中でもない限りは、よほど有名な存在にならない限り剣聖ディゼルの名は知られる事は無いだろう。
だが、剣聖と言うのは一つのステータスでもある。
大公姫だけでなく、王族と公爵家跡取りにも気にいられているからできる現象である。俺も何ら恥じることなく称号を受ける事になった。
これでわずかながらでも剣聖としての発言力ができた。
ミネルバとアンリエッタの実家の力も借りている。俺は着々と自分の派閥的な感じのものを築いていった。
そんな中で、メリルレージュ軍団の最後の一人のティゼとは距離を取った。
メリルから俺への接触禁止命令が出たようで、向こうから俺に近づかなくなった。
なんか干されたような気がして申し訳ない気もするが、こればっかりは下手に俺が何かしようとは思わない。特段何かをやらかす人物と言うわけでもないので放っておいてもいいと考えている。それよりも危険なのはミネルバとアンリエッタの二人なのだが、二人はすでに押さえてある。押さえているどころか二人とも俺の側室だ。
なので、メリルがいない時でもミネルバとアンリエッタと三人で会うようになったのは自然なことだろう。学生通しでまだうちと実家を行き来しているとはいえ夫婦なわけだし。
控え目に言っても、この生活は最高だった。
かつて前世で、「ムラムラした時に押し倒しても怒らない人が傍にいるのは幸せだ」などとアホな事を言い放っていた人がいたが、今ではその人が言っていた言葉の意味がよくわかる。
ムラムラした時に押し倒しても怒らない美少女が二人もいるのだ。
例えばミネルバの場合。
「ごきげんよう。ディゼル様」
「こんにちは。ミネルバ」
屋敷にやってきたミネルバに挨拶代わりにキスをする。
例えばアンリの場合。
「こんにちは。ディゼル様」
「こんにちは。アンリ」
挨拶代わりにキスをするだけでなく胸やお尻を撫でまわす。
こんな感じで二人には毎回挨拶代りにキスをする。アンリエッタの時は少し動作が増えるが。
必ずと言うわけではないが二人への接し方は毎回こんな感じだ。
どうして二人で扱いが違うかと言うと、ミネルバはキスするだけでそのまま向こうから抱きついて来るからその後自然と胸やお尻に手が伸びていくので最初はキスだけでいいのだ。
ちなみにメイドや使用人がいてもこういう行動をとるしうちの屋敷に来た時だけじゃない、行く回数はこちらに来てもらうよりも少ないが向こうの屋敷に行った時もこういう行動をとっている。
唇を離したらそのまま二人のスカートをめくって下着の色を確認するのが日課になりつつある。
やりすぎるとそのままベッドに引っ張られてしまうが、それもまたよし。
俺の理想の世界はここにある。
あと足りないものは何だろうか。
この世界での自らの発言力を増やす以外に欲しいものは何か。
俺は自問自答した。
「あっ」
そして、一つの結論が出た。
*
空の闘技場には二人の男がいた。
一人は俺。
そしてもう一人はこの国の次期国王である。
「アーサー・ヴェルザード。剣聖として貴殿に決闘を申し込む」
俺はアーサーに決闘を申し込んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます