私は体だけの関係の彼と結婚した。

神石水亞宮類

第1話 “私は体だけの関係の彼と結婚した。”




彼氏いない歴10年。

もう私は彼氏を作らないと決めていた。

最後に別れた彼は、“私にとって運命の人だと想えた男性だった”

でも? 彼はそうじゃなかった。

私は一方的に彼からフラれてしまう。

私と別れたいという理由をはっきり彼の口から訊くまでは納得できない!

彼は私に曖昧な言葉で、【他に好きな女性ができた】と誤魔化すばかり。

私は彼の本心が聞きたかっただけ!

それなに何故? 本音を言ってくれないの。




・・・最後の最後に私に絞り出す声で言った言葉で私は納得した。



『親が決めた女性と結婚する事になった、僕は親に逆らえないんだ。』

『“その女性を心から愛してなくても貴方はその女性と結婚できるの?”』

『あぁ! 決まった事だから。』

『・・・・・・』




彼がいいとこの家の子だとは聞いていた。

親が実業家でお金持ちだとも、でも彼は親は関係ないと言っていた。

だから! 私は彼を信じていたというのに......。

結果は違っていた。










・・・あれから10年の月日が経った。

私も30歳になり、“親からは孫の顔を見せてほしいと”しつこく言われる。

孫の顔どころか、私はあれから彼氏を作っていない!

もう誰も愛さないとあの時、私は誓ったからだ。

あんなに心が震えるほどに好きになった男性はもう現れない。

勿論! 私と付き合ってほしいと言ってきた男性は何人かいたわ。

それでも私は誰とも付き合わなかった。





でも? “たった一人私と体の関係を持つ男性が現れたの。”

彼とは飲み会で知り合う。

私の友達の友達の友達が彼だ!

はじめは数人で集まって飲んでいたが、気がつけば誰かが友達を呼んで

何人か増えている。

その時、居たのが彼。

別に今もそうだが、私は彼の事が好きという訳じゃない。

お酒の勢いでお互いにそうなっただけ!

今思うと? 私も彼も寂しさを埋め合わせたかっただけなのだと思う。

彼もまた、“付き合っている彼女がいない!”

彼からすると? 彼女が居ると自分の時間が奪われるのが嫌だから

彼女を作らないと言っていた。

まあ、私には関係のない話だと思っていたのだが......。

お酒の勢いでヤッた1回が、3年経った今も続いている。




・・・だがまさか!? “そんな私と彼が結婚するとは思っても見なかった。”

お互い好きという感情はないのにだ!

ただただ体だけの関係。

それなのに、結婚なんて!?



『私達、いつ結婚したの?』

『はぁ!? 芽唯が急に俺と結婚したいって言ったからだろう。』

『・・・なんでそんなに冷静なのよ?』

『別に、俺はどっちでもよかったから。』

『でもさ、結婚だよ! それでいいの?』

『いいんじゃない! 別に俺は芽唯の事、嫌いじゃないし!』

『“好きでもないよね。”』

『まあね。』

『“こういうのってお互い好きで籍を入れるんじゃないの?”』

『俺には分かんないよ!』

『私だって分からないわよ。』

『何処でヤッても同じだよ。』

『“そういう問題?”』

『いいじゃん! 毎回、○○ホテルに行かなくてすむし。』

『でも、結婚はやっぱり別の話よ!』

『そうなの、』

『絶対に、そうよ!』




彼は結婚がピンときていない!

それも仕方がない、彼はまだ21歳だし私よりも9つも下なのだ。

私は彼を連れて実家の家族に会いに行った。

勿論! 私の両親は猛反対!

歳の若い彼と何故結婚したのか? 礼儀知らずで私の結婚相手には

相応しくないと......。

でも? 唯一私の見方をしてくれたのは妹だった。

妹とはたまに二人でご飯を食べに行く仲だ!

昔から私は妹と仲が良い!



でも? こんな形で私は彼と結婚した事を後悔している。

好きでもないこの男性とこの先一つ屋根の下で暮らすのか?


“ただ体の相性だけは物凄くいいという事だけは除くのだが......。”

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私は体だけの関係の彼と結婚した。 神石水亞宮類 @kamiisimizu-aguru

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