第3話 アメリカと日本
艦隊はしばらくすすみ、ドラゴンが所属するフェロー王国なる国に着いた。
文明は中世ほどのヨーロッパで、船もそのほとんどが木造であった。
日米外交団とフェロー王国外交官による協議の結果、フェロー王国やその友好国は地球圏国家に物資を輸出することとなった。
***
~国交開設から数か月後ーアメリカ・ホワイトハウス~
「この世界の国はどんな感じだった?」
アメリカ合衆国大統領、ケネディが言った。
「文明レベルは中世、魔法と呼ばれる不明な技術があります」
「なるほど……まあ、今回呼んだのはそのことではない」
「と、いうと?」
「ジャパンのジエイタイを強くしようと思う」
「ジエイタイを?」
「ああ。この世界は帝国主義がはびこる弱肉強食の世界であることはわかるな?」
「まあ、なんとなく」
「帝国主義に勝つには、武力が必要だ。だが、我々は気候変動で資源も失っているし、そもそもわが国だけでこの世界を相手にするのは無理がある」
「そうですね」
「この世界と似た世界を創作として多く持っていて、軍事力もある程度あり、怒らせると何やら貸すかわからない国……ここまで行ったらわかるな?」
「ああ……ジャパンですね」
「そうだ。だからジエイタイを強化してもらうのさ」
「でもどうやって?」
「これさ」
大統領は資料を取り出す。
「それは?」
「CIAに調べてもらった日本内閣の汚職リストだ」
「汚職リスト……!?CIAまで使うんですか……」
「ああ。日本は前世界でもそうだったが、今世界でも重要な位置にある。フェロー王国の南には帝国主義的な国家が存在するらしい。
そいつが侵攻してきたとき、日本はわが国の壁になる。だが、軍の派遣も難しい。海流が大きく変わったからな。となると、ジエイタイを強大な軍事組織にするしかないのだ」
「なるほど……」
***
~日本・首相官邸~
「だ、大統領……これはいったい……?」
日本国内閣総理大臣、高田慎太の資料を持つ手が震える。
『ミスタータカダ、私は日本語が読めないのだが……その資料には内閣の汚職が書かれているとか……』
「はい……財務省の大臣が大量の賄賂を受け取っているのをはじめ、様々な省庁の大臣、副大臣、事務次官などの汚職が発覚しています」
『その件について、どうするべきだと思うかね?』
「…………総辞職しかありませんね」
『……だろうね。ただ、君にやってもらいたいことがあるんだ』
「いったいなんですか……?」
『憲法改正と、ジエイタイの戦力増強だよ』
「……はい?」
『まず、憲法9条の改正だ。ジエイタイを強化する。今の動作不良を直すんだよ』
「はぁ……わかりましたよ……やりますよ……やればいいんでしょ」
『君の判断に敬意を表すよ。ミスタータカダ』
「はいはい……」
こうして、日本の政治は大きく動き出すことになる。
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