あこがれの女教師は娼婦(その47)
4年ぶりに川崎くんが日本にもどって来ると知らされたあなたは、アメリカにいる森本くんにも連絡して同級会を開くことにした。
川崎くんと私が、森本くんがアメリカでも猟奇的連続殺人を犯していると信じ込んでいるのをいいことに、『森本くんが日本にもどって来て、再び殺人を犯した』というストーリーをあなたは作り上げようとした。
それで、サイレンサー付きの拳銃を買い、『D坂で娼婦の猟奇的殺人が4年ぶりに起こる』という殺人予告を私に送りつけた。
あの美祢子先生が殺されたD坂で、です。
ところが、森本くんはカリフォルニアの娼婦の連続射殺魔ではなかったので、サイレンサー付きの拳銃とは無縁でした。
白人至上主義の人種差別的な教会のサブメンバーになった森本くんは、娼婦を嫌う純潔主義者ではあったでしょうが、娼婦を殺しまくるほどの強固な信念など持ち合わせてはいなかった。
『川崎エリカと恋仲の東條が、彼女を護るために実家に張り付いているので、日曜の夜のNY直行便に乗る前にしか会うチャンスがない』と、あなたは森本くんに吹き込みました。
それを真に受けた彼は、空港に隣接したホテルのスイートを予約して川崎くんの到着を今や遅しと待っていました。
森本くんの動向をさぐっていたあなたは、日曜の午後に森本くんがタクシーで空港に向かうのを見届け、『森本はD坂に向かったが、見失った』と嘘をつき、ご自身が、レンタルルームに呼び寄せたデリヘルの女を拳銃で撃ち殺してから空港へ向かったのです。
空港カウンターで森本くんを見つけたあなたは、彼が川崎くんをホテルに連れ込むあとをつけました。
ロビーにいるときに私と出くわしたのは、あなたにとってはラッキーで、森本くんにとってはアンラッキーでした。
殺人者を呼び入れてしまったからです。
その間、森本くんは川崎さんにプロポーズをして拒絶され、勝手に恋仲と思い込んでいる私を呼びつけて、・・・ありえないのですが、川崎くんを譲ってくれるように頼み込んだのです。
そこからは、あなたもよくご存じです。
川崎くんをNY行きの便に乗せるために、われわれは森本くんを取り押さえ、あなたはスタンガンで彼を倒すという大技さえふるいました。
川崎くんをNY直行便に乗せてホテルにもどろうとすると、『やばいことがあってホテルを出た。警察には、じぶんがいなかったことにしてくれ』と、あなたから電話がありました。
私は、スタンガンで森本くんが死ぬほどの大怪我でもしたのかと思って、ドキリとしました。。
ところが、部屋に入ったら、・・・最悪のことが起こっていました。
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