アステロイド・オペレーション【シナリオ α】

神沢 篤毅

〖起-0〗プロローグ[予告編](250102投稿 β)

〘履歴〙

・250102投稿 β


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


【宇宙空間】

・宇宙空間に火星が浮かび、その手前に小惑星[エウレカ]が浮かんでいる。

 エウレカの手前下側にスペースコロニー[ハヤブサ]が浮かんでいる。



【竜の巣】

・[マヌエル・ジャンク・ショップ]ピットエリアの天井裏にある20m四方の物置場[竜の巣]で、10才の少年ケンノビが、小型宇宙艇[ぺリル号]を見て立ち尽くしている。


ケンノビ:「こんなところに船があるなんて…」


・ケンノビが、ペリル号に向かって、左手を伸ばす。ケンノビの左手から淡い青色の光が出て、ペリル号の機体を照らす。


ケンノビ:「君は…、 誰かの船なの…?」


・薄青い光が、赤みを帯びた光に変わる。


ケンノビ:「だったら…、だったら、僕の船になってくれる?」


・薄青い光が、考え込むように少し時間が空いて、濃い青色に変わる。ケンノビの表情がパァァッと明るくなる。


ケンノビ:「ありがとう! 僕の名前は、ケンノビ、君の名前は・・・」


・ケンノビがふと足元を見ると、ペリル号の機体を覆っていたブルーシートが落ちている。そこに、書き殴りのような字で[ペリル号]と書いてある。


ケンノビ:「君はペリル号って言うんだね! 決めた!君は僕の船だ!」



【サカモト学園高等部校門】

・15才の少女ドリーが、サカモト学園高等部の門の前まで走ってくる。後ろを向いて、15才のケンノビを手招きする。


ドリー:「ケンノビ、早く早く。遅刻しちゃうよ! クラス分けも見に行かなきゃだし」


・ケンノビが、はしゃぐドリーを見て笑って言葉を返す。


ケンノビ:「ドリー、学校は逃げないって」


ドリー:「え~、判らないよぉ~」


・ドリーが、高校の門に向き直る。門の向こうに大きな樫の木と校舎が見える。ドリーが樫の木に向かって敬礼する。


・ドリー:「英雄レイラ。貴方が作った学校に入学します!」


ケンノビ:「っても、俺ら、普通科だけど」


ドリー:「良いの~。2年の選択で頑張れば英雄科を選べるんだし」



【ブラスター・ギルド コントロール室】

・横20メートル奥行15メートルの大きな部屋。正面奥に大画面が3つ。

 30人弱のスタッフが慌ただしく働いている。


・ガヤガヤと室内に響く喧騒。話し声、アラート音、大声で報告する声。それに答える声。キーボードを叩く音。足音。椅子を引く音。様々の音…。


・突然、耳障りの悪い音で、鳴り響くアラート音。


オペレーターA:「緊急時空震アラート! 震度は4! 震源の深さは3!。スカルドラゴンが出現する確率65%…」


オペレーターBが、ギルドマスターの20代男性のスティーブンと、犬族の20代の美女エミリーを振り返り報告する。


オペレーターB:「四代目! スカルドラゴン確認しました! 2本角です! 小惑星イシスです! 採掘プラットフォーム・マルスの現場です!」



【宇宙空間】

・エウレカから、中型汎用宇宙船[ドリルシップ]がスクランブルする。



【小惑星内の坑道】

・シェルターの銃眼から、迫撃砲を撃つ坑夫達。


・銅色で外骨格のドラゴンに着弾する寸前に、青い波打つ光が現れて、光に接触した徹甲弾が爆発してしまう。


坑夫A:「畜生、こっちの攻撃は何一つ届きやしねぇ!」


・約高さ3mのパワードスーツを着たブラスター4名が、盾役パワードスーツを先頭に、坑道の中には飛び込んでくる。


パーワードスーツからの着信:「ブラスターだ。スカルドラゴン討伐を行う!」


・盾役パワードスーツの後ろに身を潜めるように、前衛のパワードスーツが武骨な白い槍を持って続いている。


・スカルドラゴンが、口から青い光の束を吐きだす。


・盾役の巨大な盾に青い光の束が弾かれる。


・スカルドラゴンが、身体を回すように、巨大な尾を振り回す。


・盾役のパワードスーツが、巨大な盾を構え、右片膝を地面に付いて衝撃に備える。

 巨大な盾を持ったパワードスーツが鈍く光り、右片膝と左足が地面にめり込む。


・巨大な盾に、スカルドラゴンが振り回した尾がぶち当たる。

 盾役のパワードスーツの後ろを、槍を持った前衛のパワードスーツが駆け抜ける。


・前衛の前に、スカルドラゴンの横腹が迫る。青い光の腰だめに構えた槍を、そのままの勢いで突っ込む。スカルドラゴンに槍の穂先が届く寸前、青い波打つ光が現れる。槍の穂先は何の障害もなく、スカルドラゴンの腹に突き刺さる。青い血が噴き出す。


・スカルドラゴンが、怒りに我を忘れて顎を大きく開けて牙を剥き出して吠える。



【竜の巣】

・小型宇宙艇ペリル号が整備用リフトでリフトアップされている。ケンノビが、船底の点検用ハッチに上半身突っ込んで、整備作業をしている。


・ドリーが、床に開いた押し上げ戸から、ぴょこんと顔を出して、懸垂の要領で引っ張り上げ、床に降り立つ。


・ケンノビが点検用ハッチから身を屈めるように顔を出して、ドリーの顔を見る。頬にベットリと、油が付いている。


ケンノビ:「部活終わったん?」


ドリー:「うん、1、2年合同の紅白戦で勝ったよ~! アタシ、インターハイの選手に選ばれるかも!」


ケンノビ:「1回だけの助っ人予定が、あれよあれよとバレットマーク部1年ホープだもんな」


・ケンノビがニコリと笑う。


ドリー:「アタシのギフト大したことないし、身体動かすのが取り柄みたいなところがあるから。それで役に立てるなら嬉しいよね」


ケンノビ:「そこは威張っとけ。スゴイんだから」


・ドリーは、「えへへ」と嬉しそうに笑う。。


・ドリーが、一転して心配そうな表情になって。


ドリー:「・・・ペリル号は? どう?」


ケンノビ:「まぁ、ジェネレーター以外は大体出来たけど。動力が無いから動かないし、試験運行も出来ない」


ドリー:「ジェネレーターか~。あたしも探すの手伝うよ! ・・・って、何処から探すせば良いのかすら判んないんだけどさ…」


・ドリーが、自分の言葉に照れ笑いする。ケンノビが、ドリーの笑顔に釣られて微笑む。


ケンノビ:「早く、この船早く動かして、宙(そら)に行こうな」


ドリー:「約束だよ! 連れて行って!」


・ペリル号の全容が映る。船腹に「Manuel Junk Shop (自家用)」と書いてある。



【1998 VF31 執務室の中】

・やたらゴテゴテと装飾品が置かれた重役用執務室。40代の小柄な男性シモンズが立ち、その前にウェディングドレスを着た16才の少女ロゼッタが立っている。


・シモンズがニヤリと笑い、ロゼッタに話しかける。


・人形のように無表情なロゼッタ。言葉には反応するし、身体も動かすが、表情が変わらず、瞳の色が暗く沈んでいる。


シモンズ:「やぁ英雄の生まれ変わり。会いたかったよ」


・ロゼッタは無表情のまま、シモンズを見上げる。


シモンズ:「とても似合っている。君は私の妻になり母となる。君の遺伝子と私の遺伝子で、私の新しい身体を作るんだ。英雄の力を持ち、私が転生するための容れ物を」


シモンズ:「人形のような君は美しい…。だから特別に教えてあげるよう」


・シモンズが、ニヤリと悪い笑みを浮かべる。


シモンズ:「英雄レイラを殺したのは…私なんだ」



【エウレカ 竜の背 産廃物置き場】

・大小様々な廃棄物が無造作に置かれている。その前で、13才の少女レイラが膝を抱えて蹲っている。


・年は取っているが60代くらいにしか見えない男性マヌエルが、産廃置き場の入り口に立つ。


マヌエル:「よう、お前さんがレイかい?」


・レイラは、座り込んだ位置から掬い上げるような視線で、マヌエルを睨み付ける。


マヌエル:「俺の名前はマヌエル。お前さんがレイなら話がしたいんだ」



【宇宙空間】

・宇宙区間から見た火星。



【火星首都 アルス】

・火星の焼けた大地に、高いビルが何本も突き出している。ビルとビルの間は、大小の配管がまとめられたライフラインで繋がれている。車道や歩道などは、地下に埋設されているため、地表からは見えない。



【火星評議会】

・火星評議会の会場。椀状の会場の議員席に、100名を超す議員が着席しており、椀の底の答弁者席にいるマヌエルを、無表情に黙って見下ろしている。


・議員席側の発言者席に立つ評議会議員の男性が、マヌエルに話しかける。


男性:「かつての英雄、マヌエル・オーケリー・デイビス。貴方はかつて罪のないルナシティ人民を巻き込んで、地球に牙を剥き、最終的には敗北した。そして、その責任を問われ、ルナシティに居場所が無くなり、火星のラグランジュ・ポイントに浮かぶ小惑星エウレカに流れ着いた」


・男性の顔が陰影の中で、ニヤリとゲスな笑顔を浮かべる。


男性:「160人もの入植者を連れて、火星開拓に必要な人類の新たな拠点を作った。素晴らしい。貴方以外には成しえなかった偉業でしょう」


・男性が、急に表情をなくし、つまらなそうに鼻を鳴らす。


男性:「しかし、もう貴方の役割は終わったのです。火星は実質的にルナシティ・地球連邦の支配地域となり、残りは貴方が開拓した小惑星エウレカだけです。聡明な貴方ならお気づきでしょう? もう今の状態を引っくり返す事など出来はしないと。それなのに貴方は、ルナシティで行った過ちを再び繰り返そうとしている」


・男性の表情が再び悪辣な表情に戻り、人差し指を立てて振りながら、マヌエルに囁く。


男性:「もう十分でしょう。貴方はもう立ち上がらなくて良いのです。誰も貴方が逃げたなんて言いません。貴方はもう倒れたままで良いのです」


・評議会会場で評議員の1人が拍手を始める。それに呼応するように拍手の数が増えていき、評議会議員全員が拍手をする。


・レイラが、答弁者席のマヌエル後方に控えている。


・レイラが、マヌエルの背中を見ている。レイラが、悔しさそうに何かを言いかけて口を開きかける。


・ポツンと、独り言のようにマヌエルが喋る。


マヌエル:「お前らには解らりゃしないさ」


・火星評議会の議員達の拍手が止まり、議員達がざわめく。


男性:「何のことです」


・マヌエルは怒るでもなく、相手を呷る訳でもなく、淡々と言葉を発する。


マヌエル:「火星評議会なんて名前ばかりで、月世界人と地球人ばかりの議会に何が解かる。逃げろとか、立ち上がるなとか。俺らには、関係ないんだ」


男性:「だから何のことです?」


マヌエル:「お前らには、月がある、地球がある。けれど、俺たちの後ろには深宇宙しかない。たとえ、深宇宙に逃げたところで酸素がなくなり、食べ物もなくなり、ガスも無くなり…死ぬだけだ」


・男性が、キツい目線で、マヌエルを睨み付ける。


マヌエル:「逃げろとか、立ち上がるなとか意味がない。お前達は俺達に死ねと言っているんだ。間違えるな。ここは俺たちが作った俺達の場所なんだ。後からノコノコ出てきたお前達に奪われる筋合いは無い。ここを俺たちから奪うというなら・・・」


・レイラが、マヌエルの背中を見ている。何か、探していたものを見つけたような、嬉しいような、泣きそうな、そんな表情。


・マヌエルの声が響く。


マヌエル:「お前らも殺される覚悟で来い」



【火星首都アレス市街地】

・路地裏の空き地のような場所。マヌエルとレイラを囲む屈強な男達。揃いの黒服を着て、顔を晒し、手には刀や小銃を持っている。


マヌエル:「火星評議会を出たと思ったら、路地裏に誘い込んで早速暗殺かい。現金なもんだな」


黒服の1人:「マヌエル・オーケリー・デイビスだな。火星の未来のために死んでもらう」


マヌエル:「人違いだと思うんだが?」


・レイラが、マヌエルを守るように前に出る。


黒服の1人:「どけ、小娘。お前まで殺さなければならなくなる」


・レイラが黙ってギフトを開放する。唐突に、黒い炎が、レイラとマヌエルを囲むように燃え盛る。


黒服の1人:「卑怯な。ギフト持ちか」


・レイラの後ろで、マヌエルが左手の手首を持って引っ張る。ガコンと肘から先が外れて、レーザーガンの砲身が現れる。


マヌエル:「路地裏で集団で囲んでおいて、良く言うよ」


・レイラが動く。マヌエルが左手の仕込み銃を構える。黒い炎が、爆発したように広がり、レーザー光線が空間を走る。



【インターハイ会場】

・縦140m・幅60mのフィールドを囲む満席の客席。


・選手用ベンチから、パワードスーツ8体が現れる。

 8体のパワードスーツのうち、前面装甲を開けた2体は、ドリーと、ロゼッタ。


・反対側の敵側ベンチから、8体のパワードスーツが出てくる。


ドリー:「ロゼッタ、足を引っ張らないでね」


・ロゼッタが、フンと鼻を鳴らす。


ロゼッタ:「アンタこそちゃんと遅れず付いてきなさい」


・ドリーがニヤリと笑う。ロゼッタが悪い微笑みを浮かべる。2人のパワードスーツが拳を合わせる。


ドリー・ロゼッタ:「「速攻、終わらせる!」」



【火星軌道エレベーター】

・火星の赤道上から衛星軌道まで伸びる軌道エレベーター。


・軌道エレベーターの貨車の屋根にロゼッタがしがみ付いている。後ろから黒服の男達が追っている。軌道エレベーター沿いに、黒服達が乗りつけたと思われる中型宇宙船が浮かんでいる。


・黒服達が放つレーザーガンの矢が、ロゼッタの後方から飛んでくる。ロゼッタが振り向きざまに、黒い炎の塊を投げて応戦する。


ロゼッタ:「しつこい!」


・突然、軌道エレベーターが減速し、緊急停止する。


ロゼッタ:「何? 止まった?」



【火星軌道エレベーター 客室】

・客室内、神経を逆なでするアラームが幾つも鳴り響く。


社内アナウンス:「緊急停止します。時空震警報を受信しました。安全が確認されるまで、本軌道列車は停止致します」



【火星軌道エレベーター貨車の屋根】

・ロゼッタが、貨車の上に立ち上がり、茫然と宇宙を見ている。


・ロゼッタの視線の先には、5本角のスカルドラゴンが翼を広げている。黒服達の中型宇宙船は、スカルドラゴンのブレス攻撃を受けて、不定期突発的に炎を噴き出している。


・軌道エレベーターの機関車と客車と貨車のうち、貨車の連結器が切り離される。

軌道エレベーターが逃げるように動き出す。ロゼッタが屋根に乗ったままの貨車が、宇宙を漂いだす。そして火星の重力に徐々に捕まっていく。



【ぺリル号】

・ベリル号の甲板に、宇宙服を着た少年が腰に太いワイヤ―を巻いて立っている。


少年:「畜生!、スマン!、届かなかった」


・ぺリル号の操縦席で、ケンノビが額に脂汗を浮かべながら操縦桿を握っている。


ケンノビ:「OK、もう1回いこう。けど、これが多分最後だ」


少年:「…」


ケンノビ:「これ以上は、船ごと火星に墜ちる。合図出すから飛べ」


少年:「解かった。必ず、捕まえる」


・ペリル号が、最大噴射を掛けて、火星の重力に抗いながら、ロゼッタがしがみ付いている貨車に近づいていく。


ケンノビ:「まだだ、まだ、3、2,飛べ!」


少年:「はぁ!?」



【ブラスター・ギルド コントロール室】

・45才位の癖のある美女が、ニヤリと悪い笑みを浮かべる。


ローラ:「ウチの縄張りで、ウチの若いのを虐めてくれたんだ。この借しは倍にして返してもらうよ」



[記号凡例]

 ①〖〗 エピソード番号 起承転結に分けて採番する。〖資〗は資料編。

 ②〘〙 投稿・改稿履歴の表示。神沢メモ他を記載。

 ③【】 主に、場所を記載する。

 ④〈〉 固有名詞・用語。本文中に説明があることがある。

 ⑤《》 固有名詞・用語。巻末に説明あり。

 ⑥ [ ] 固有名詞・用語。既出のもの。説明ないもの。

 ⑦ ・  登場人物の動きや表情の説明。背景セットの説明。

 ⑧名前:セリフを記載する。例)ドリー:「こんにちは!」

 ⑨ モノローグ:状況を説明する。

 ⑩ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ シーンとしての区切り。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る