私を愛してみてください

優愛

プロローグ 彼女の願い


 透き通る海のようなエメラルドブルー。

 誰もが宝石のようだと賞賛するほどに美しい貴方の瞳に映りたい。


 そう思ってあらゆる努力を払ってきたが、

その瞳に私が1度として映ったことはなかった。


 会話が必要な際であっても目が合うことは一切なく、肝要な話をしようが外された視線はテコでも動かない。

 視線が重なる時は、周囲の目がある場合のみ。 けれど、いつだって目の前にいる私ではないなにかを映した瞳と嘘偽りの笑みを向けられる。


 どうして。

 どうして、私を見てくれないの。


 貴方の隣に相応しくあるために、必要なことは惜しみなく努力してきた。

 幼き頃から休みなく学び、厳しい教育に耐え、周りからの要求には全て応えられるよう血のにじむような想いをした。


 誰もが認める淑女になるために自分を押し殺しもしたし、今だって、賢く美しく、貴方の隣に相応しい人であるために己を磨かない日はない。

 貴方を想う気持ちだって、誰よりもある。



 お願い、私を見て。

 貴方の妻である私を、その瞳に映してーー

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