第7話 気持ちの変化

 彼女に付き合った事もあり家に着く頃には20時になっていた。

 家の明かりがついていた。今日は母がいるらしい。


「ただいま」


「おかえり。 この時間に帰るなんて珍しいね」


「ちょっと買い物しててね」


「もしかしてデート?」

 

 母はニヤニヤしながら聞いてきた。


「そんなんじゃないよ」


「そうなの? いつもより表情があるかったからついデートかと思っちゃった」


「そんなに違った?」


「違うわよ。何年あなたの母親やっているとおもってるの!」


 母親はそう言うと自慢げに腕を組んだ。

 最近は忙しくてあまり会話できていなかったけどさすがだなあ。一歩間違えたら母を悲しませていたことを思い出すと胸が苦しくなった。


「母さん。いつもありがとう」


「どうしたの急に。何かあったの」


「ううん。何でもないよ」


 急に言葉にだしたくなった。数日前の僕から少しは変われたのかな。自分の中のモヤモヤが徐々に取り除かれていく気がした。


 次の日教室に入り席に座ると友達のたけるがこちらにきた。


「おはよう。ともやって伊藤さんと仲良いの?」


「いや別に。なんで?」


「なんか昨日一緒にいるって噂があったから! 本当なのか?」


 相変わらず噂はすぐ広まる。変に嘘をつくのも怪しいので正直に話した。部活に入ったこと、たまたま買い物に付き合ったこと。


「めちゃめちゃ仲良いじゃん! てかいつの間に部活入ったんだよ! 教えてくれてもよかったのに」


「興味ないかなと思って」


「なんだよそれ! 友達だろ!」


「ごめんごめん」 


 僕のことなんて誰も興味がないと思ってた。でもそれは間違いだったかもしれない。僕のことを考えてくれる友達もいる。これからはもう少し心を開いていきたいな。


 いつも通りの授業が終わり、僕は部室に向かった。部室には部長と副部長だけがいた。


「お疲れ様です」


「おつかれー」


 二人から挨拶を返され、僕はそのまま空いている席に座り小説を書いてみることにした。三十分ほど考えたがなかなか文字にすることができなかった。それと同時に今日は彼女が来ないことに気がついた。珍しい、何か用事でもあるのだろうか。


「伊藤さんって来ないことよくあるんですか?」


 思わず気になって二人に聞いてみた。


「あーありさちゃん今日やすみなのかもね。たまにあるんだよね。」


 いつも元気そうなのに意外と休んだりもあるのか。ますます彼女が不思議に包まれていく。まぁ明日にはまた元気に来るだろう。

 しかし、そんな思いとは反対に彼女は一週間学校を休んだ。

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