第6話 放課後デート
彼女との買い物があるため、放課後僕が校門に向かうと門におっかかっている彼女がいた。僕はゆっくり彼女の元に近づいた。
「おそい!」
「ごめんごめん、今日は掃除があって」
「それなら仕方ない! じゃあ早速行くよ!」
そう言うと彼女は早歩きをしながら目的地に向かい始めた。彼女のご機嫌さをみていると買い物が相当好きなんだろなというのが伝わってきた。
「ところで今日はどこいくの?」
「服屋さんとかだよ!」
「どこの服屋さんに行くの?」
「そこまで決めてないの! いろんなところ回って見てから決めるの!」
「なんか時間かかりそう…」
「文句言わないの!」
予想通り彼女は手当たり次第に通った服屋さんに入っては試着を繰り返していた。
「ともやくんこの服どう?」
「いんじゃない?」
「もう! いつもそればっかり! まともに考えてないでしょ!」
もちろん考えていないわけではない。ただ彼女は素材がいいこともあり、どの服でも着こなしてしまう。
ようやく彼女の服選びが終わった。これで終わりかと思ったら次は僕の服を探すと言ってきた。僕は買うつもりはなかったが、彼女がどうしても選びたいと言ったのでもう少し付き合うことにした。
「これとかいんじゃない?」
「少し派手すぎないかな」
「そんなことないよ! 大丈夫!」
「そこまで言うなら買おうかな。僕も修学旅行の服はいずれ買う予定だったし」
「役に立ててよかった! 修学旅行でちゃんときるんだよ!」
「わかったよ」
彼女が選んだ服を買い店を出た。携帯を開き時間を見ると18時を超えていた。
「もう結構いい時間だし帰ろっか」
僕がそう言うと彼女は遠くを見て話を聞いていなかった。何を見ているのだろうかと思って彼女の向いてる方は確認すると少し古いゲームセンターがあった。
「あこになにかあるの?」
「昔よく行ったなって思って!」
「意外だね。僕もよく行ってたな」
「ちょっと寄ってみよ!」
そう言うと彼女は走っていってしまった。今日一日一緒にいたから分かるが彼女は興味を持ったら本能のままに行動する。そのため、この状況で僕が言っても帰らないだろうなと何も言わずについていくことにした。
中に入るとすごく懐かしい気分だった。小さい頃よく遊んだメダルゲーム、結構得意だったクレーンゲーム、何もかもが懐かしい。
「ともやくん! このゲームしよ!」
彼女はそう言いながらレースゲームを指差していた。
「いいけど、小さい頃結構やってたから得意だよ」
「私もやってたもん! じゃあ勝負ね!」
僕はあっさり負けた。僕が鈍っていた訳ではなく、想像以上に彼女が上手かった。
「ね! 私も上手いでしょ!」
「もう一回」
「珍しくやる気だね! よしやろっか!」
僕はまた負けた。その後も二回やったが結果は変わらなかった。こんなに悔しかったのは久しぶりだった。それと同時にこんなに楽しかったのも久しぶりだった。
「ともやくんこんなに生き生きしてるの久しぶりにみたよ! また今度リベンジしてきなさい」
「絶対次は負けない」
ゲームセンターを後にし、すでに時刻は19時を過ぎていたこともあり、帰ることとなった。久しぶりにたくさん歩いたこともあり疲れた僕とは対照的に彼女はいつも通りピンピンしている。
「今日は買い物に付き合ってくれてありがとうね! また明日ね!」
「また明日」
そう返事をして僕たちは別々の駅のホームに向かった。
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