俺の固有スキルが『変態』だってことがSNSで曝されバズりまくって人生オワタ。予想通り国のお偉いさんや超絶美女がやってきた。今更隠してももう遅い、よなあ。はあ。
第75話 変態、破滅男に教えられて衝撃オワタ
第75話 変態、破滅男に教えられて衝撃オワタ
円城が、いる。
そういえば、詳しくどうなったかは聞いてなかった。ぶっちゃけ、関わってこなければどうでもよかった。
だけど、そこそこ大変な状態のようだ。
見た目がボロボロであの飾り立てた自慢マンの見る影もない。
学校も辞めたんだっけ、ジャージで来てる。
「お、お、思い出したぞ! やっぱりテメエのせいじゃねえか! 更科あ!」
「は? 何言ってんの?」
円城が前と同じくらいヤバい感じで叫んでる。
周りもドン引きだ。
「お前が幼馴染に頼んでオレを陥れたんだろ!」
「幼馴染?」
まさか、自称幼馴染愛さんが、漫画チックな展開にする為にコイツを煽ったって……やりかねん!
「さらしなぁああああ!」
円城が奇声を上げながら飛びかかってくる。もうここまでくれば正当防衛だろう。
俺は、円城の顔面に一発蹴りを入れ、更に体勢低く回し蹴りで転ばす。
円城はふーっふーっ言ってる。こわいよう。
「あ、ぐ……立花理々だよっ!!!!!」
円城が挙げた名前は、俺の幼馴染だった。
「……は?」
「思い出した! あいつがおれに言ったんだ! 鑑定レンズを自慢する俺に! 『もし、それで低いステータスとか変な固有スキル見られちゃって拡散とかされたら死んじゃうかも』って!」
は?
「今思えば変な言い方だった! 俺に近づいてくるなんてのも今までなかったし!」
は?
「それに、オレは見たんだ! アイツ、校内でも校外でも色んな男と会ってたんだ!」
は?
「猫撫で声で冒険者に何か頼んでたりしてた! オレの心をもてあそびやがって!」
は?
「わざわざバイト先にも行ってやったのに! アイツ、冒険者共とくっちゃべって」
は?
「全部、全部、アイツのせいだ……! それもお前が、仕組んだこっ」
「夏輝!」
理々だ。
理々が、正門の方から駆けてくる。
「た、ち、ば、なぁああああ!」
円城が慌てて起き上がり、理々へと駆けていく。
「きゃああああ!」
一瞬飛び出すのが遅れる。
円城は理々に掴みかかり迫る。が、理々が暴れるせいで思い通りにはいってないようだ。
「立花! てめえの! てめえのせいでっ!」
「理々のせいにすんな」
俺は円城を引きはがすと今度こそ本気のパンチを一撃、二撃、三撃、四以降は馬鹿だから数えられない。いっぱい殴って顔歪ませた。
「大丈夫か、理々」
「夏、輝……なつきぃい!」
理々が抱きついてくる。甘い匂いがする。
そして、
「大丈夫かって聞いたんだけどな……。なあ、この甘い魔力はお前のスキルかなんかか、理々」
理々は、俺の背中を遠慮なく短剣で突いていた。
【変態】して刺さらなかったけど。けど。はあ。
「うそ……バレてたの? 最悪~」
理々がゆっくりと俺から離れる。俺は周りに漂う甘い香りを風鬼の風で吹き飛ばす。
「どういう、つもりだ……理々?」
理々は俺の質問に答えずとんとんとステップを踏みながらうろうろしている。
それはまるで妖精の踊りのように無邪気なかわいらしい動き。
「夏輝はさ、いちばん幸せな時ってどんな時?」
とん……とん……とん
「家族のみんなといる時?」
……とん
「友達と遊ぶ時?」
……とん
「魔物を倒した時?」
……とん
「勇者に認められた時?」
……とん
「それとも、あたしと一緒に居る時?」
あざと可愛く首を傾げる理々。垂れたブラウンの髪も色気を感じさせる。
「あたしはね、」
……とん
「そんなみーんながさいっこうの幸せを感じてる時」
……とん
「に」
笑顔。
「それを、ぶっ壊す時!」
無邪気に笑う理々がそこにいる。
「さいこうにしあわせ!」
ドガアアアアアアンン!!
その瞬間、魔力が噴火のように噴き上がるを感じる。
地面が、揺れる。
でも、今はそんなことはどうでもいい。
「ふふ」
この女は誰だ?
この異常な状況で笑っている女は誰だ。
「夏輝の望んでいたものを壊した時」
変態って手を振り払われた。
「円城君の望んでいたものを壊した時」
鑑定レンズで円城を陥れた。
「早川さんの望んでいたものを壊した時」
あの指輪に呪いをかけたのもお前か。
「気持ちっ……よかっったぁあああ」
だれだ? この恍惚とした表情を浮かべる美少女は。
「全部、お前がやったのか?」
「うん、そっ♪ あたしがやった!」
「さっきの爆発音みたいなのはなんだ?」
「例えばさ、冒険者の男の人たちがあたしに魅了されて、モンスターを倒してないのに倒しましたーって適当な報告を上げたらどうなると思う?」
冒険者御用達のコンビニが空いていた。
「ダンジョン警備の人があたしに魅了されて、ダンジョンの魔力が異常に高まってるのに報告しなかったらどうなると思う?」
氷室さん達ダンジョン庁の人たちが最近暇になった。
「みんなのしあわせをぶっこわしたいと思ったらどうすればいいと思う?」
叫び声が聞こえる。人間の悲鳴と、モンスターの鳴き声。
「同時多発
現れる
を、一瞬でぶっ飛ばす。
「やれると思ってんのか? この辺りにどれだけの冒険者が……」
「だから、魅了したんじゃない。冒険者を減らすために、そして、夏輝達を戦いにくくするために」
「ぷぎゃああああああああ!」
顔がぼこぼこの円城が襲い掛かってくる。もう多分自分の意志じゃないんだろう。
道理でクスリやってるみたいなわけだ! ある意味ドラッグだろ!
俺は、円城を取り押さえて一本背負いで叩き落としすぐさま蜘蛛糸で拘束する。
その時、何かが跳ねた。
鑑定レンズだ。
フチに傷の入った鑑定レンズ。
俺と理々の間を落ちていくそのレンズの中で俺と理々の眼が合う。
「マジ、かよ……」
理々の背後から正気を失った男たちがぞろぞろと現れる。
あの時お前が襲われたアレもお前の自作自演かよ。
「うふ、見ちゃった? 【変態】の夏輝ったらえっち♪」
「なんだよ、固有スキル……【傾世】って……!」
傾城じゃないのかよ。世界を動かすレベルってか……!
「さあああああああああ! ……みぃんなで世界ぶっこわして、死のう? えへ♪」
立花理々、固有スキル【傾世】。
超ド級の破滅願望激やば女が俺の前に現れた。
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