俺の固有スキルが『変態』だってことがSNSで曝されバズりまくって人生オワタ。予想通り国のお偉いさんや超絶美女がやってきた。今更隠してももう遅い、よなあ。はあ。
第53話 変態、黒歴史の会に出席させられてライフゼロオワタ
第53話 変態、黒歴史の会に出席させられてライフゼロオワタ
【風鬼の谷】
A級ダンジョンではあるが、モンスター自体のステータスはB級下位と言える。では、何故A級なのか。
答えは簡単。環境がA級上位なのだ。
至る方向から常に変化し続ける風が吹く谷。
ぶっちゃけ、進むだけで地獄。
更に、そこに
風鬼は鬼族にしては細身で力も弱い。
但し、手足が異常に長くすばしっこい。その上、その長い手足についたエラみたいな穴から風を噴き出し、跳ね回る。
また、その腕自体が風を感知するセンサーのようになっていて、アイツらだけ風に乗って移動するのだ。
そして、風鬼達は冒険者を谷底に落とせば勝ち確なので、圧倒的に冒険者不利。
日本の五大嫌われダンジョンの一つだ。
そんな【風鬼の谷】で暴れる病人が一人。
「はっはっは! コバエちゃん達、そんなに群がるなよ。……潰したくなるだろう」
黒い仮面に紅い鎧。厨二病患者
それが癇に障ったのか風鬼達は、一斉に風をまき散らしながら襲い掛かる。
「お前ら、とぶんだよな? 奇遇だな、私もだ……!」
本物のクリムゾンリザードホッパーであれば体重の関係でうまく跳ねられないかもしれないが、
地面にとんと足を付き振り向くと、風鬼達に動揺が走っている。
「おいおい、まさか逃げるんじゃないよな? 逃げてもいいけど、お前らの魔力、私に寄越してからにしてくれよ……!」
風鬼達は不穏な空気を感じ、更に上へと昇り退避しようとするが、それよりも早く
「平伏せ、化け物ども。私こそが本物の化け物だ」
無数の蜘蛛糸をばら撒き風鬼達の動きを封じる。
そして、その一体に抱きつくと
「安心しろ、私は君たち化け物を愛している。だから……一緒にこの世界を壊そうじゃないか」
そう言いながら、
「ハッハッハ! 今、彼は私と一つになった! さあ、同胞よ、殺しあおうか」
そして、自由自在に跳び回る紅い悪魔は、風鬼達を蹂躙した。
ででん!
音が鳴る。そして、映像が止まる。
「問題。この時の
ピンポン!
「はい、東江!」
「決め台詞は何? で、『恥じることはない。私が風よりも自由だった。ただ、それだけのことだ』」
「……正解! これで決定! 優勝は、東江!」
「つえー!」
……うん。俺は何を見させられてるんだろうか?
垂れ幕に書かれた『
そして、お菓子とジュースとピッツアで盛り上がる若者達。
俺の周りで手を合わせる子、感動して泣いてる子、じいっと見つめる子。
デッカイ画面に流れる俺の黒歴史。
なにこれ~?
青髪の美少女が満面の笑みで駆け寄ってくる。
「
「あ、ああ、うん。おめでとう」
「……! やばあ……めっちゃ泣きそう……!」
なんでよ。
「わかるー! うらやましー!」
なんでよ。
二位の【聖魔女】が悔しがっている。
「まあ、でも、グランドチャンピオンの鈩君が相手だったら分からんきん、ウチ、ほんまラッキーだったわ」
【神の子】グランドチャンピオンなの?
なんでよ。
何回やってんのよ。
「いや~、正直、神の御前で冷静に解答できたかどうか……東江凄いよ~」
なんでよ。
【神の子】だよね?
俺、神なの?
俺の子?
なんでよ。
お、お、おれは認知しないぞ!
「更科夏輝盗撮写真クイズならかてるのに……!」
「部位匂いあてクイズなら勝てるのに……!」
「はナマナクイズか、高校生活(夏輝)限定クイズなら勝てるのに……!」
右から、変態盗撮妹、変態嗅ぎ狼、変態自称幼馴染。
「いやー、見てるだけで楽しかったわ! ピッツアうめえ」
「く……四位か、僕もまだまだだな。ピッツアはうまい」
「夏輝のピッツアの耳……!」
左から、アホ、眼鏡、何故いる姉? っていうか、眼鏡お前四位かよ。
今までの経緯をまとめるとこうらしい。
まず、育成組のほとんどが
残りのメンバーもほぼ布教完了。なんでよ。
で、元からファン達は、鈩くんの立ち上げた『くれくらくらぶ』というクレイジークラウンファンクラブのメンバー。なんでよ。
ちなみに、くれくらくらぶのらぶはLOVEもかかってるらしい。なんだってよ。
『くれくらくらぶ』は読んで字の如く
くれくらくらぶのメンバーの何人かが氷室さんから育成組の声を掛けられていた時に、『くれくらくらぶ』に激震走る。なにがよ。
クレイジークラウン古参アピールの凄い『フールズ』君(古巣)の生配信でクレイジークラウン登場。なんなんだよ。
沸きに沸くくれくらくらぶ員のMINEグループ! なんなんだよ!
そして、突然の引退宣言。
くれくらくらぶ員は、クレイジークラウン様がいなくなる前に見つけ出す為に、氷室さんの育成組に賛同。急いで上京。なんでだYO。
んで、入学した御剣学園で例の妄想暴走モンスターお嬢様(35話参照)にSNSで今話題の固有スキル【変態】男こと更科夏輝がクレイジークラウンなのだ(妄想)と聞く。なんでよ。
そこで伝言ゲームの恐ろしさ、更科夏輝という冴えない男が勝手に俺こそがくれくらだー! と名乗っているイタいヤツという話になる。名乗ってはないけど、まあ、そうだよ。イタい人物だし、実際、くらくらだし……なんなんだよ! 竹山だよ! 竹山じゃねえよ!
最終的におのれ、自称クレイジークラウン更科夏輝め、となる。なんでよ。
目の敵。
勝負を挑む。
マジくれくらだった。マジ?
土下座からの、崇拝。なんでよ。
「いや~、でも、本当に感動です~、神に会えるなんて~。僕なんて、【神の子】になった後に、くれくら様に出会って、言わば宗旨替えしましたからね~」
なんでよ。
神様、すみません。
「私も、家が教会で、上の姉三人みんな【聖女】だったんですけど、私だけクレイジークラウン様のお陰か【聖魔女】になれましたからね」
なんでよ。
教会及び家族の皆様すみません。
聞けば、大体のメンバーの人生を厨二病で狂わせていた。
マヂごめぇん……。
「ウチも……」
「東江さんも?」
「……あの、
OH……。
オボエテイル。
コンビニの○ニメイトこと、コーソンは、SNSで話題になる商品を出しまくっている。
その中で数年前に出た新商品のうどんを俺が食べ、動画としてアップしたのだ。
冬樹の大反対を押し切ってやった動画だったが、改めて見てすげースベってた。
「
そうなんだ。一部でダヨネ。
「その、うどんの発案者がウチと友達で……」
そう、それは高校生のアイディア飯という募集企画で生まれた問題作だった。
その商品の名は『すうどん&すむすび』。
すうどんと具なし味なしのオンリー米おむすびだ。
賛否両論でめちゃくちゃバズった。
「ウチ、地元で学校帰りで食べよったおばちゃんのうどん屋のメニューみたいなのを友達と一緒に考えて……でも、なんか思った以上に叩かれて……!」
そうネット上では『狂ってんのかwww』とか『JCが考えたのがコレとか世も末』とかかなり否共に叩かれ、賛の方もあざ笑うような称賛だった。
俺はネットのこういうのが嫌いだった。
自分の【変態】がネットで曝されたらという恐怖もあったからだろう。なので、俺は中学生が考えたというこの商品を精一杯応援した。
っていうか、中学生にとってお手軽価格でうどんとおむすびってめちゃくちゃ最高だった。
俺のチャンネルのコメントでは結構同意してくれる人が多くて嬉しかったのは覚えてる。
まさか、それが東江さんのアイディアだったとは。
「ウチ、それまで
そっかあ、その位好きなんだあ……道理で、この部屋なわけだ。
等身大クレイジークラウンパネル、自作のクレイジークラウンTシャツ、ポスター、ブロマイド、抱き枕、仮面、鎧(ボード素材)、くれくらスクラップブック数十冊、うちわ、名言千社札、あと、天井の壁紙? もくれくら仕様。あと、全体的に漆黒と紅カラー。黒と赤じゃない。漆黒と紅なんだ……!
うばぁ。
「
真剣な眼差し、もうこれ以上ナニヨ!
夏輝のライフはもうゼロよ!
次回、更科死す! よ!
「御剣学園に来てくれませんか?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます