第24話 覚悟

大人たちが死体の処理をしている中、俺たちは孤児院のロビーに集まって話を始める。


「さっき、じいちゃんが言いたいことが分からなかった奴はいるか?」


去年この孤児院に連れてこられた者は分かったようだが、今年連れてこられた子ども全員が分かっていなかったようだ。


「俺たちが生活するにはお金が必要だよな、そのお金をたくさん持っている奴が俺たちの作っているレッサーポーションのことを邪魔に思っているからこんなことになったんだ。ここまでわかるか?」


全員が頷いた。


「そのお金を持っている奴は、他の人にお金を配ることで俺たちを襲わせたんだよ。それがじいちゃんは許せなかったんだと思う」


また全員が頷いた。


「それで俺たちが何も奪われないようにするには強くなるしかない。ここでみんなどんな風に生きていくかを決める時なのかもしれない。みんなはどう思う?」


アインとカインは。


「「俺たちはルーク様についていきます」」


だが他の子供たちはいきなりそんなことを言われてもどうすればいいのかわかっていないようだ。まだ五、六歳の子供たちだ。そんな子供が現実的な未来を決めろという方がどうかしている。


「それなら欲しいスキルだけは今後決めておいてくれ。それに従ってなりたいもの、やりたいことを決めていけばいいさ」


先程まで悩んでいたことも達も含めて全員が頷いた。


ここで大人たちが帰ってきた。死体の処理は終わったらしい。俺はじいちゃんに呼ばれ神殿騎士が詰め込まれている部屋の中に連れてこられた。


「ルークよ。まず一番右に転がっている神殿騎士は剣術スキルがレベル3じゃ。それをお主の剣術スキルと合成してみるのじゃ」


俺はじいちゃんに言われた通りに合成を発動した。すると力がすっと抜け意識を失った。


気がついた時にはじいちゃんの横で寝ており、俺が起きたことでじいちゃんも起きてしまったようだ。


「いきなりあんなことをさせてすまなかったのぅ。しかし実験は成功じゃ。ルークの剣術スキルはレベル4になっとる。じゃが、気絶を繰り返すのはあまりよくないじゃろ。合成は一日に何度も使わせてしまうことになるが今後は気絶する直前を感覚で覚えるようにしなさい」


「はい。それであの神殿騎士以外に剣術スキルのレベル3の者はいるのですか?」


「ほとんどの者がそうじゃ。それで何をしようとしているのかのぅ」


「アインとカインは俺についてくるつもりのようです。なので、俺と同じように剣術スキルのレベルを上げようかと思いまして」


「そうじゃの。戦う意思のある者には力を与えんといかんのぅ」


その言葉を発したときのじいちゃんは少し悲しそうだった。

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