第9話 神技【合成】の孤児

レッサーポーションを作り出してから一週間が経過した。ようやく木材が調達できるようになり俺は元孤児院の修繕にかかりきりになった。


そんなある日にいつもとは違う出来事が起こる。玄関にボロボロの服を着た子どもが二人いたのだ。


「お主ら。親はどうした。ここには何もないぞ」


すると子供の一人が泣きながら話し始める。


「この村では今日が授けの儀だったんだけど俺たちの神技は合成だったんだ。それでこの村を追い出されて、住むところが無くなっちゃったんだ。以前遊んだ時にここが空き家だったことを思い出したんだけど人がいてびっくりしちゃって」


「お主らはここに住みたいか?」


二人は無言で頷く。


「ここではただでは住めんぞ。厳しい特訓とここにいる子ども。ルークの家来になってもらう。それでもよければここに住むと良い」


二人は泣きじゃくりながらも話し合う。どんどんヒートアップして本音が駄々洩れになって来ていた。


「でも俺は死にたくない」


その一言を最後に二人は無言になり、俯いてしまった。そんな二人にじいちゃんが声をかける。


「意見が合わなかったようじゃの。別に二人揃ってここに来る必要はないぞ。ただ忠告はしておく。この国で合成という神技を授かって生きていくことができるのはかなり稀じゃ。ルークも儂がいなければ既に死んでおったじゃろう」


「ルークの神技も合成なの?」


「そうだよ」


と俺が言うと同時にじいちゃんが口を出す。


「今後、呼ぶときはルーク様じゃ。お前たちが一番下なのじゃから他の人を呼ぶときは皆に様付けするのじゃぞ」


「分かりました。えーと」


「儂の名前はロイドじゃ。気軽にロイド様と呼ぶがよいぞ」


「「分かりました。ロイド様。これからよろしくお願いします。ルーク様」」


元孤児院に二人の住人が加わったことで正式に孤児院として運営していくことにした。じいちゃんは早速、宰相様に手紙を出して認可を取り付けるらしい。


その間に俺は二人に合成の使い方を教えるように言いつけられた。じいちゃん曰く。


「使えるだけでは二流。教えることができて一流じゃ」らしい。


そうして、僕に家来ができ切磋琢磨しながら孤児院を修繕していくことになった。


ちなみに気絶するのは相変わらずで安全のために気絶するときは一人ずつ気絶するというのが最初に決めたルールだった。


そのとき、なんだか脳筋みたいだなと感じたが誰も言葉にしなかったので真意は定かではない。

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