第20話 ~深夜の清掃パート編(2022年12月15日のお話)~
2022年12月23日更新
初日の深夜の清掃パートを朝8:30に終え、家に帰った。そして眠気が頂点だった私はすぐに布団に入り意識を失うように寝た。夕方に自然に目が覚めた。ジョギングをしているせいか思ったより体の痛みとかはない。勤務が終わった後に少し感じていた腰の痛みも取れていた。ジョギングをしてフルマラソンをできるようになった自分を褒めた。
しかし、体内時計はそうではなかった。夕方まで7時間30分くらいは寝ていたのに、夜23時くらいからまた極度の眠気が襲ってきた。私は我慢できずにそのまま眠ってしまった。この日勤務だったら会社に行けなかった所だった。そして朝の10時30に目が覚めた。体がめちゃくちゃになっていた。合計で18時間以上寝たことになる。学生の頃は夜に寝て次の昼ごろまで寝ることはよくあったが、大人になって自然に睡眠時間が短くなっていた私にとって驚くべき状態だ。
今日は12月15日。レジのバイトをやっていた時のバイト代が入る日だ。10月中旬から11月1日まで働いていて、月末締め、15日払いだったので、11月1日の一日分の6500円分が入っているはずだ。
郵便局のATMに行った。通帳を入れて、6500円と金額を入力し引き出した。
「やったぁ」。6500円でも嬉しい。通帳を見ると残高649円と記載されていた。
500円だけでも引き出せないだろうか。銀行だと1000円単位だからきっとダメだろうと、ダメ元で引き出しボタンを押したら、「チャリン」となった。「やったあ」。
500円の硬貨だけでも引き出せた。合計7000円を引き出し意気揚々と家に向かった。途中コンビニで、今日の夜に仕事前に飲むためのノンアルコールビールを買って、トイレを借りた。とにかく外に出るときは、家に帰る前に用を足す。節約だった。
家に着き、昼の12:30。冷蔵庫には昨日飲もうと買ってあったワインがあった。誘惑に負けた。グラスに赤色のワインを注ぎ、飲んだ。寝起きで空きっ腹の身体に染みわたる。
私は体の奥深くに沈み込ませていた虚無感がアルコールで溶かされ消えると思った。
しかし違った。堕ちるところまで堕ちた私の人生の虚無感をアルコールは拾い上げた。
そして脳のあたりまで持ってきて目頭の裏の所で止めた。
仕事の事を思い出させた。重い気持ちになり涙があふれた。
この11時間後にはまた深夜のトイレ清掃のパートが待っている。
アルコールはお腹の中に溜まり、気分をどんよりさせた。お腹も痛くなった。
そして鬱蒼として私はまた布団に横たわって堕落した。
俯いて寝転がりそのまま動けなくなった。私はボクシングの敗者の姿になった。
現実逃避したい。どこかに行きたいと思った。
このまま安らかに眠って、もう目覚めなければいいと願った。
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