岐阜は木の国、山の国

和扇

第一回 川浦渓谷 +α

岐阜県。

日本の中央に位置しており、右を向いたトイプードルみたいな形の県。

大体のランキングで日本の中心を体現するように二十位辺りにいて、

知名度調査では一番下の方にいる、そんな県。


あなたは『岐阜県』と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。


多分あなたは「え、岐阜ってどこにあるの?」「え、ええと高山たかやまって岐阜?」

白川郷しらかわごう!」「君の名は、の県だよね!」こんな事を思ったでしょうか?

まあ、大体その通りです。


ですが、岐阜にはもっと色々いい所はあるのです。


『岐阜は木の国・山の国』


そんなふうに言われる岐阜県は、県北部の『飛騨ひだ』地方、県南部の『美濃みの』地方の

二地域に大別され、美濃は『西濃せいのう』『岐阜地域』『中濃ちゅうのう』『東濃とうのう』に分けられる。


はい。

そんな事を言われても知るかよ、ですね。

私も他の地域の情報を列挙されても同じことを思います。


訪問スポットの内容を記述しますが、上記の分類を説明として書くので、

「ああ、大体この辺にあるんだなぁ~」程度に見て頂ければ幸いです。


さて、ではつい先日訪問した場所のご案内へ、出発いたしましょう。



~~~~~~~~~~~~



さてさて、第一回の訪問先はこちら。


『川浦渓谷』


さあ読んでご覧なさい。

読めるかな?


かわうらけいこく?

せんうらけいこく?

せんほけいこく?





正解は『かおれけいこく』です。

読めるワケねぇだろ、この野郎!!!


ご安心ください、皆さんと同じことを私も思いました。


紅葉が始まる十月下旬。

ふとしたきっかけでこの場所を知った私は、思い立ったが吉日、の精神で訪問を

決めました。



場所は中濃地域、岐阜県せき市。

関と言えばやはり刃物。

かの刃物メーカー『貝印かいじるし』創業の地。


今回はそれに関する所には行ってないので、ご容赦を。


関市は県庁所在地である岐阜市の北東部に位置するV字形をした市。

この形になったのは2005年の市町村合併によって二町三村を取り込んだためだ。


今回訪問する川浦渓谷は、旧板取いたどり村にある。

旧板取村は、V字の左側の頂点のあたり。

という訳で川浦渓谷の所在地は『岐阜県 関市 板取 川浦』である。


岐阜市から真北まきたに伸びる国道256号線を進み、途中で県道52号へ入る。


国道256号~県道52号の特定の区間は『アジサイロード』とも呼ばれる。


途中に、観光地として有名な『モネの池』がある。

透明度が高い池とそこに咲く睡蓮すいれんと泳ぐ錦鯉がモネの代表作『睡蓮』のようだ、

という事でこの通称で呼ばれている。


今回の行程では訪問予定は無いので、通り過ぎる。

その内、写真を撮りに行きたいな。



少し進むと右手にが見えた。

何だか神社っぽい文字が書かれたとその向こうにかかる橋。

何だろうか、帰りにちょっと寄ってみよう。



更に県道52号を北上すると板取川が分かれている地域にたどり着く。

そこで私も左に曲がる。


しばらくは片側一車線道路だったが、しばらく進むと遂には中央線が無くなり、

道がぐっと狭くなる。


そこから先は森の木々に囲まれながら先へと進みます。

この時私が思っていた事は―――


『対向車、来ないでくれ・・・・・・っ!!!』


―――これだけです。


私は普通乗用車で訪問しましたが、対向車が来たら絶対にすれ違えません。

それほどの道を進んでいくと、ぽっかり開けた三叉路さんさろに出ました。


『板取キャンプ場』


こんな所にキャンプ場があるのか。

来るの、大変だろうなぁ。


三叉路を直進。

道は更に狭くなり、車一台がやっと通れる小さな橋を渡り、少し道が広くなると

安心し、また狭くなると恐々と、先へと進む。


そして見えてくる立派な橋とトンネル。

この先が目的地だ。


トンネルを抜け、その先の橋を超えるとそれほど大きくない看板が見えた。


『川浦渓谷』


今回の目的地にとうちゃーく。

対向車来ないか考えながら運転してたらちょっと疲れました。


車から降りると市街地と比べて随分涼しい、爽やかな風が吹いてきた。

正直、少し寒くも感じるくらいだ。


歩いて看板に近づくと、書いてあった。


『かおれ

 川 浦 渓 谷

 Kaore  Keikoku』


読み仮名でかでか、読めないからね、これは親切。

でも、渓谷の英語表記、それでいいのか?


看板の右手には遊歩道が伸びている。

奥へと進んでみよう。


右は渓谷、左は岩壁がんぺき

木々は色づき、渓流は透き通っている。

なんとも凄い景色だ。

ここが山の奥であればこそ、だろう。


欄干から下を覗く。

渓流の透明さがよく分かる。

40m程度下にあるはずなのに、水底みなそこが見える。

段差になっている所では水が落ちて空気を含み、白く泡立っている。

少し先を見ると流れる水がエメラルドグリーンに光っていた。


木々も少しずつ緑の中にオレンジが混ざりだして、渓谷の左右を彩っている。

渓谷を吹く抜ける風が何とも心地良い、というかちょっと強い。


途中の岸壁を見ると崩れ落ちている所が・・・・・・。

落石防止用のネットが岸壁一面に設置されていて、落石防止柵もあるけど、

本当に落ちて来たら流石に・・・・・・。


ん?柵の向こうに何か・・・・・・?

あ、イモリ。

清流が近くにあるし、住環境は良いんだろうか。

カメラを向けても逃げない。

良し、一枚撮れた。


少し進むとトンネルが有った。

更に先へと進む。

橋があった。

そしてその先に更にトンネル。

だが、工事現場によく有る黄色と黒の鉄製フェンスが置いてある。

これ以上先には行けないのか・・・・・・、ちょっと残念。


左を見ると細い滝があった。

岩肌を伝うように流れ、そこだけ木々が無く、岩肌も黄土色に変わっている。


右を見ると渓谷のさらに先が見える。

左右に断崖とそこから伸びる木々、その間を渓流が通る。奥の方に橋が見える。

空と断崖と木々と渓流と橋、何とも絵になる。


ん?よく考えたら位置関係的にさっき車で通ってきたトンネルの前の橋か!

こうして見ると川がトンネルのある場所をぐるっと囲んでいるんだな。

さて、行き止まりまで来たし戻るとしよう。


お?

バイクが二台、ライダーさん達だ。

そうか、車で来ると大変だがバイクならそこまででもないのか。

看板で記念撮影して、トンネルを出てすぐの橋の上から渓流を撮って去って行った。

多分さっき見たキャンプ場に行くんだろう。



さてさて、自分も行くとしよう。

さっき見かけたが有った所、行ってみようか。


来た道を戻り、先程のがあった場所へ戻ってきた。

ぬ、駐車場は無い。

この橋の前の空間に止めるしかないか。

最大で二台分位しか止められないな。


車を止めて外に出る。

橋は少し古い印象を受ける。

入口側は木がアーチを作っており、反対側は森になっている。

写真を撮ると、異界への入口、みたいに見える。


橋を渡る。

眼下は清流、ここは川浦渓谷の下流だ。

先程訪れた場所で見た水がここに流れてきている。


森に繋がる反対側へと到着。

長い階段が上へと伸びている。

階段、けっこう急だぞ。

更におそらく急勾配きゅうこうばいの補助に置かれたコンクリートブロックがガタつく。

結構怖い。

手すり持ってないとひっくり返りそう。


登り切るとその先は山道。

ずんずん進んでいく。

進んでいく、のは良いのだが未舗装の山道だぞ、これ。

普通に木の根とか石とか出てるし。

くそう、負けるか。


木々が生い茂っている事で山道は少し暗い。

途中、上から流れてくる小さな川があった。

その上にかかる橋、と言っていいのかは少し疑問が残る板がちょっとたわんでいる。

抜けたりしないよな?

少し恐る恐る乗って川の上を渡る。


山道は更に続いている。

申し訳程度の看板がある事で先に進める。


『   ⇒

  白水の滝

  白水龍神 』


矢印の先はやはり山道だ。

更に進む。

ん?何か見えたぞ?


あ、滝だ。

段々その滝に近づいていく。


到着。

ここは『白水の滝』

ここから南のモネの池、北の川浦渓谷と比べるとマイナースポットだね。

実際、誰もいない。


滝は森の木々の間をさらさらと流れている。

決して巨大な瀑布ばくふではないが、森の中に在る事もあり幻想的だ。

流れ落ちた先にはそこそこの広さの池があるが、水が澄み切っている。


滝の脇には小さな鉄のやしろ

これが白水龍神の社、という事だろう。

が、賽銭さいせん箱が無い。

周りを見ると社の内側側面に箱があり、賽銭の文字。

ここに入れればいいのか。


二礼二拍手一礼。

誰もいない森の中に拍手の音が響く。

少しばかり滝の写真を撮って満足満足。


さて、登ったからには降りなければならない。



も、戻って来たぞ、何とか!

歩きやすい靴で来て良かった、これは結構大変だ。

でもいい写真が撮れたな。

さてさて、帰るとしましょうか。



車に乗り込み、エンジンをかける。

次はどこに行こうかな?

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