第12話クロアチアのアーリークロスに敗れる

 先週の土曜日、12月3日(土)にカタールからUAE経由で帰国し、現在、12月6日午前9時30分。クロアチア戦+7時間。


 自分にとってのカタールW杯は終わった。求めてきた新たな景色、風景、ランドスケープは、結局、今回も見る事は出来なかった。


 今回の大会では、今までには無かったランドスケープも垣間見えた。

守備に徹し、それでも1点先行され、それから流れをこちらに引き寄せ、突然疾風怒濤、まさに神風が吹いた様に同点、更に加点して逆転する。そして、また殻に閉じこもった様に守り抜く。今までの日本であれば、先行されると、そのままズルズルと引いていって更に点を取られて敗戦といったパターンが多かった。しかし、この新しいランドスケープも、優勝経験国の強豪には通用するが、コスタリカ、そして試合巧者のクロアチアには、通じなかった。


 クロアチアの1点は、単純に中盤からのアーリークロスをドンピシャで合わされての失点で、これは三浦カズの時代、フランスW杯の予選時代から、サウジアラビア等にこの手を使われて失点を重ねていた日本の昔からの弱点が今更、露呈したのも何とも皮肉なものである。


 今回のW杯では、どれだけポゼションを高めていても、一時的な強襲で加点すれば、それで試合を制する事ができるという事がわかった。ただし、それは相手が前がかりになっていて、その背後に入り込めるスペースがあって、そこにスピードで持ち込める場合のみである。


 コスタリカの様に引いて守るチームへの対応はまだ未解決の状況で、これはアジアのチームと、今後のW杯予選を勝ち抜く為の戦術にもなり、これの打開策が必須であり、それがあれば、今朝のクロアチア戦においても、相手が攻めと守りをうまく使い分けてきた場合に、こちらも戦術を変えて対応が可能になるといえる。


 それにしても、今日のクロアチア、4年前とは違い、選手を入れ替えて若返っているとは言え、衰えが見えるチームであり、この程度のチームに2、3点ぶち込んで、ぶっちぎりで勝つ様なチームになって初めてベスト8の壁を突き破り、日本に新たな景色、ランドスケープが拓けてくる時だと思う。


 ドーハという街はあの「ドーハの悲劇」で、「サッカーは、そんなに甘いもんじゃ無い」という事を教えてくれた。今回は「ドーハの歓喜」「ドーハの奇跡」と共に、「君らには上の世界はもう少し、修行が要る」という事を教えてくれたと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る