ポンコツ人生の思い出
@sphericalcow
第1話 死にそうになったこと
物理的に死にそうになったことが人生で一度だけある。小学生の頃の話だ。忘れっぽい私だが、あの時の光景は鮮明に覚えている。
放課後、友達と公園で集合して遊ぶことになり、私は自転車で公園を目指して爆走していた。車道と歩道が分離されておらず、中央線もないような道であったが、直線なので見通しは悪くない。交通量も多くない。
走っていると、前方に近所に住む同級生のTくんとSくんが談笑しながら歩いてこっちに向かってくるのが見えてきた。自分よりも下校時間が少し遅かったのだろう。驚くべきことに、Tくんは巨体を揺らせながら後ろ向きにゆっくりと歩いている。Sくんの顔を見ながら歩きたかったのだろうか?自分はチリチリとベルを鳴らしながら右に避け、横を通過しようとした、その時。
Tくんが後ろ向きのまま自分の進行方向にスライドしてきた。タイミングを見計らったかのような移動。避け切れず、自分は自転車でTくんに衝突した。ドーンと重い衝撃が全身に走る。頭が状況を把握できず、パニックになった。
気づいた時には、自分が自転車から投げ出され道路の中央に転がっていた。自分の体重が軽かったため、自分の方が弾き飛ばされてしまっていたのだ。ブレーキ音が鳴り響いたので慌てて立ち上がると、自分の手前で止まった車の運転手が窓から首を覗かせてこちらを見ているのが見えた。その時初めて、一歩間違えたら死んでいた、と感じた。
Tくんが呆気に取られたような目でこっちを見ていた記憶があるが、その後のことはあまり覚えていない。全身を擦りむいていたがそのまま遊びに行っていたと思う。轢かれなくてよかった、と今でも時々思い出す。
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