第四話 なんで
「はぁ......」
なんであんなことしちゃったんだろう。
家に帰ると、まっすぐに部屋に入ると、ベッドに倒れこんだ。仰向けになると、さっき投げ置いた荷物が目に入る。
「懐かしかったな、ギターの音」
すごく久しぶりに聴いたギターの音はやっぱり綺麗だった。魅力的だった。でも、音楽はもうやらないって、決めたのに。
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綺麗な姿と、ギターの音につられて、ついつい木崎の後についていって、教員室についた。
挨拶もせずにずかずかと入っていく木崎に続く勇気はなく、教員室の前で待つ。すぐに入部届を持った木崎が出てきた。
「ほい、入部届」
「あ、ありがとう...」
見られながらで少し緊張しながらも、入部届の記入を終える。すると、木崎がそれを横からさらっていき、「預かるな」と一言。
木崎はそのまま軽音部部室に戻っていった。
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よく考えればあの人、すぐ教員室から出てきたから、先生と話す暇なんてなかったはず。だとしたらあの入部届どこから?っていうかあの入部届どうなるんだろう。
いろいろ考えれば考えるほど、自分のしたことに後悔ばかりが募る。いくら一目惚れした相手だとは言え、判断が鈍りすぎてる。これじゃあ木崎と近づくために軽音部に入ったみたいじゃない。違うとも言い切れないけど...。
考えて居てもしょうがない。明日、「やっぱり入部はやめる」って伝えよう。気まずくなるかもしれないし、自分が言い出したことだから申し訳ないけど。
そう決めて、私は、床に散らばった荷物を片付け始めた。
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