桜の木の下の君へ
けい
出会い
本当に典型的な出会いだった。まるで小説か映画の中にでも入りこんでしまったかのように。
入学式の日、新たに始まる学校生活に期待を抱きながら足を踏み入れた。左奥の方に大きな桜の木が生えていた。美しさに目を奪われ、木の真下まで行くと、そこに君はいた。
ありがちな話だ、本当に。でも、桜の木の下の君の後ろ姿はとても綺麗で、一目惚れをするには十分すぎた。
その後は、時間ぎりぎりなことに気づいて慌てて自分の教室まで向かった。廊下に貼られた学年名簿を見て、クラスを確認して。間違えがないように自分の席について、本を開く。周りの席の人が来たら、少し言葉を交わして。入学式までの時間はあっという間で、君がクラスにいるか確認することもできなかった。
今でも鮮明に思い出せるのは、入学式の間も、ふと後ろ姿の君と桜が頭に浮かんできた、ということだ。
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