日常

第1話:ファーストコンタクト、ワーストコンタクト。



20XX年...

 こんな書き方しても大体予想が外れるから変えよう。


"今から少し遠い未来"...

とある日本企業が人間と同程度の感情を持つ、家庭用アンドロイドを発売した。


『人の代わりにアンドロイドが働く』なんて話題を誰も口にしないほど、アンドロイドが人々の生活に根付いて数十年。


今時珍しいことでもないように思えるが、


世間一般で呼ばれるいわゆる"アンドロイド"というものは、サービスを迅速且つ正確に提供する為に設計された"業務用のアンドロイド"。

その大半が会話に無駄が無く、マニュアルに沿ったコミュニケーションを取る。


その点、何と今回発売される家庭用アンドロイドは、笑ったり、泣いたり、怒ったり、人間と遜色ないコミュニケーションが可能だと言う。


勿論人間に危害を加えないようプログラミングされており、その安全性も保証されている。


SNSが普及している現代

誰しもが人間は醜く、狡猾で、愚かな生き物であると知っている。


人々は他者を恐れ、心から信頼できる相手を求めていた。


このアンドロイドは人間と近しいコミュニケーションが取れ、且つ自分に逆らわない。


まさに、現代の需要にピタリとハマる"商品"だと言えるだろう。

売り上げは好調。このアンドロイドを売り出した企業の業績は大きく伸びたそうだ。


アンドロイドの名前は『 i-Toma 』

 誰かの心の暇になってほしいという開発者の願いから、そう名付けられた。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



とあるマンションの一室。


部屋の中央には幾何学模様の箱が置かれている。

箱はちょうど人一人分程の大きさがあり、部屋の中でも一際存在感を放っている。


箱の前では女が1人 ウロウロと、その場で歩き回っている。


>??

『どうしよう、どうしよう』


その様は動物園の虎や北極グマのようだった。


>??

『うぅ、ここまで来たら 当たって砕けろだ...』


やがて女は考えがまとまったのか、ピタリと動きを止め


>??

『せぇいぃ〜...』


か細い掛け声と共に、箱の側面に付いていた液晶画面に触れる。


...次の瞬間、箱の内側から気体が吹き出す。


気体に押し出されるように箱の前面が本体から切り離され、前へゆっくりと倒れた。

無防備になった箱の中から何かが出てくる。


> i-Toma 20SK型

『初めまして、私は【 i-Toma 20SK型 】

 貴方と心地よい関係を築く為にやって参りました。

 これから宜しくお願いしまs..』


>??

『わ、わ、わた、わ、私と! つ、つき、つ、付き合ってくだsゃい!!』


> i-Toma 20SK型

『...はい?』


幾何学模様の箱から出てきたアンドロイドへ、突如愛を告げる女が1人。

それに対し..


> i-Toma 20SK型

『...普通に嫌です。』


冷たく返す、アンドロイドが一体。









◆◆━━━━━━━━━

 終わってる女と、サボテン系女ロボ。



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