私はハーレム男子を絶対に許さない

闇教授

第1話 カニの呪い

俺には付き合ってる女がいる。


幼かった昔、駄菓子屋で購入した花火"月旅行"でカニを爆殺しまくって楽しんでいたという、

あまずっぱいどころでない残虐かつ苦い過去があったのだが

そのカニさんたちの一匹から転生したと名乗る少女がある日現れ、

付き合うことになった。(なんだかよくわからないうちに気づいたら付き合っていた)

彼女いわく、転生というか、例えば何者かの力によりエヴァの中に操縦者・・みたいな

具合に乗り込まされていたんだとのこと。乗ったのは魂かなんなのかどうか詳細不明で、理由も不明とのこと。

ようするに当時、彼女には花火師兼・窃盗集団だった俺たち(※)スケルトンクラブが訪れるたび、

エヴァでいう使途が攻めてくる日々を怯えて海岸で暮らすことを強いられていたというわけらしい・・。

加害者ながら、本当に申し訳なく、背筋の凍る話である・・。まあ一番悪いのは彼女らをカニなどに搭載させた

何者かなんでしょうけど・・。


え? そしてなんで俺と彼女が付き合ってるかって?

だからわかんねーんだよ、ドアホウ。

たまたまコスプレイヤーとしてコミックマーケットで出会って意気投合したっつーか。

なりゆきっつーか、そんなのもアリかなと。(アリではなくカニだが)そう、そんな感じだ・・。


その名も渡磯辺(わたりいそべ ゆき)由紀さんだ。

ちょっちキーボードでひらがな打ちで"ゆき"って打ってみ。"8G"っでるだろ。

そう、八神一族の末裔のことらしいのだ。8Gはエイトガールズともいい、

八乙女ともいう。ちなみに8本足の生物という意味であり

8人いるという意味じゃないのであしからず。ただ由紀ちゃんいわく

「転生した仲間があと7人いるんだからつねに満月の夜道には気をつけることね・・」

と、いつも俺を脅してきます。。キャー!俺の彼女こわっ!

でもそのときは俺は爆竹を鳴らして対抗・・

・・なんてそんなことできるわけなかろう・・(汗)。

俺はもはやとっくに改心して彼女(の魂?)を無事成仏できるように日々デート、

デートの毎日だよ。。最近デートが飽きてきたくらいで、たまに

独り孤独を味わい、黄昏てみたいと思う、

そんな贅沢な感情さえ芽生えつつある・・。

愛という愛すべてを彼女へ捧げる日々を送ってるさかい。


てか、さっきから俺のモノローグのテンション、

なんか変な薬やってるんじゃねーのと思われそうだが(誰にだ)、ご安心を。

やってません。健全なごく普通より若干テンションがおかしい男子高校生、

ピッチピチの19才(←?)だよう。見た目は鬼太郎カットで学ランだが

手から炎は出せませんし、もちろん戦場ヶ原とも付き合ってねーから。

でも彼女(ユキ)の名前は草薙京の彼女の名前と同じ(汗) ほーうりゃ。


そもそも、由紀ちゃんは当時殺されたカニの生まれ変わりでなんで俺と年がいっこしか(年下)違わねーんだよと

疑問を抱いているのだが、彼女いわく、「私は何者かの力による過去改変で

過去が塗り替えられて同い年に調整されてるの」という小難しい事情があり

"生まれ変わりってことでOK"なのだという。ふーむ、俺馬鹿だしよくわかんないッス。


そう、、俺、アタマより体派で

そのう、まあ、いわゆる格闘馬鹿なんだよね。実は空手家である。手から火も波動拳もでないけどね。

由紀ちゃんいわく、「あんたは本来草薙流古武術使いになる予定だったのが

生まれてこのかた数々の悪業がたたり呪われて空手使い程度にスペックが下げられた」

とのこと。もうなんか意味わかんねー。つーか俺、やっぱり馬鹿というか

無知といか、幼稚というか、さっきから語彙が乏しすぎだろ。

まあ高校生だからこんなもんかもしれないけどこれも呪いの影響なのだろうか。。


筆が進まない。物語も転がらない。主人公のモノローグだけじゃねえか。

あーーーー!


由紀「あいかわらず苦悩と葛藤に満ち溢れているわね。いいざまねハハハ」


渚「・・・たしかに怖いよ君の呪いとやらは。」


由紀「でもその呪いもデート続けてるからだんだん少しずつ和らいできてると思うよ、よかったね」


渚「しかしなんで他の(※)スケルトンクラブの会員は呪われてないんでしょうかね」


由紀「いや、呪われてるでしょう、アレどう見ても。あの人たちみんな見た目も

こころなしかスケルトン仕様のスケスケになってるし・・。」


(※)そう、スケルトンクラブとは・・

説明しよう、それは盗賊兼大量虐殺少年集団の名称である。

内容的にはガチャポンをポン券という独自の道具を用いて盗みをはたらき、

またある日には魚介類や昆虫を花火やガスガンで大量虐殺を行っていた。

ガチャポンの窃盗の際よく外れ商品としてシャレコウべの形の

なにやら不吉な収納型キーホルダーが出てきてたことからそれが会員章にされ、

その名が決定したのである。主要格メンバーはわたくし凪咲 渚、

ナンバー2でありチーム名の名付け親である蟹衣堂 波乃利、

そしてナンバー3の井出門 康彦である。


しかし数年後リーダーのこの俺が万引きハンターに補導され(運よく逮捕は免れた)

リーダーが引退したその時点で他のメンバー全員も活動停止し事実上解散へ至った。


そしてのうのうと中学を何食わぬ顔で卒業し

何食わぬ顔でもってそれなりのグレードの高校へ進学した俺を待ち受けていたのは"呪い"であった。


まあ、しかし・・呪われながらも可愛い女の子とデートしてる毎日だけなんですが・・。

ただその女の子と会うたびに毎日「これはすべて呪いよ」と呟かれつづけているのである。

これはなかなか怖いよ。

そして由紀ちゃんにそう呟かれると"勃たない"。

由紀ちゃんは美人だし性的対象外なんてそんなことは決してないのだが。

だから未だにSEXもしてない。(キスはしました)

自分の好みじゃないとかそういう理由ではないよ。なんか背筋が凍って軽い痙攣な振るえがでることもある。

だから俺は彼女の言う呪いと彼女がカニさんの転生というのも信じてしまうのだ・・。


由紀「あのねえ、かつてスケルトンクラブに在籍していた会員はみんな女性と交際してるけど

その全員が私と同じ魚介類や昆虫の転生なのよ。」


渚(最近元メンバーのやつらと会うこと少ないし今どういう生活送ってっかわかんねーが、やはりそうだったのか。)


由紀「みんな彼らそれぞれの彼女を成仏させようと日々精を出して頑張ってると思うわよ、きっと・・。」


渚「精・・か。。(苦)」


ちなみに一番最初に呪いと気づいた事柄は

俺の名前って草薙京みたいで並び替えると渚苦境ということで、

火で海の生物を脅かしたことが名前によって伏線になってるということに気づいた。。


てか俺は生来もともとそういう運命になることが決まってたんじゃねーのって話なのだが・・。

でも呪いは過去改変などによっても起きるから、俺の名前がある日書き換えられた可能性もありそうなんだよ。(ここらへん

の過去改変ネタ部分はほんとうに頭がこんがらがるので深く考えないようにしてる(汗))


由紀「運命・・か」


渚「相変わらず俺の心の声(モノローグ)がわかるんだな」


由紀「まあ普通の人間・・いや何をもって普通なのかはというのはさておき、まあ普通人じゃないし」


渚「・・で、今日はなにしてあそぼうか。またラウンドワンか」


由紀「う~んそうね、あそこ天国みたいでステキ」


渚「あ、ああ、、そうね。テレビCMも大霊界な雰囲気漂ってるよね。映像効果というか。というか、ボーリングとかカラオケって

霊界みたいな空間だと思うんだ。ラブホはまだ入ったことないからわかんないが」


由紀「今日行きますか?」


渚「マジで?こりゃまいったなーどうしよう(汗)」


由紀「やっぱりいつまでたってもほんとダメダメだね渚は。なんでシャキシャキ事を進めていけないの?」


渚「の・・呪われてるからかな~・・(汗)」


由紀「うーんみごとに呪われてるわ・・呆れるくらい。でも呆れれば呆れるほど渚は魅力的なのよね私にとって」


渚「ていうかなんでこの場面でラウンドワンと大霊界とか出てくるのか自分でも呆れてる。何年代の若者かわかんねーよって感じで。

というわけで実はもうすぐ空手の大会があるから今日は稽古でデートできない。なんなら空手道場に入会してもいいぞ由紀ちゃんよ。」


由紀「ああ、痛いのはもう勘弁してください・・うう」


渚「いや、その、すまない悪かった・・(汗)」


秋晴「よう渚」


渚「・・あ?、おお、秋晴じゃないか」


秋晴「ハロー”エア彼女”」


由紀「うるさいあなたも呪うわよ」


そう、親友、風間秋晴は俺のこのエア彼女が見えている。

だからおどけて、エア彼女なんて呼べるのだ。

俺と秋晴くん以外のほとんどは目に映ることのない、由紀という霊か何者かは

わからないそのエアー少女なわけだ。


だからデートのそのほとんどは人気の少ない場所である必要があり

俺の部屋の中かカラオケであり、

まわりからはきっと一人カラオケ大好き野郎と

思われているであろう。

なにしろ由紀ちゃんとの会話がすべて独り言なのだから。

そして救世主なのが晴秋である。

彼が居ればなんとか独り言っぽさが軽減するわけで

ボーリングやカフェで3人デートができる。

ただそれはそれでホモと勘違いされるんですが。

たまにボーリングで隣のグループに「この二人変じゃないか?」と不思議そうに見られたり

たまに「誰かあと一人いるんですか?ww」なんてからかわれたりもするわけだが・・。

とりあえず、秋晴がそっちの気があるかどうかは実際わかんないんですが

とりあえず有難い相棒である。

一緒に由紀の成仏を目指してサポートもしてくれてるというか。

とりあえず持つべきは良き親友・・か。


秋晴「ほら車乗れよ今日一緒に空手道場行こうぜ」


由紀「じゃああたしはこれで・・またあしたね渚!」


渚「あ、ああじゃあなまた明日!」


秋晴「・・しっかし・・由紀ちゃんどうやったら成仏するんだろうね

可哀想でしかたないよ。正直お前といても楽しそうとは思えないんだよな・・」


渚「ああ、まあ俺ってそんなにいっしょにいて楽しいって誰からも言われたこと無いしな。

お前くらいだよこんな俺に親身になってくれるヤツは(苦笑)なにしろ由紀ちゃんが

見えるというのが本当に助かる」


秋晴「まあそう自虐的になんなよ。俺は昔お前が何をやってきたか詳しくないが、まあ若気の至りともいえるわけで

反省してるならいいんじゃないのか。」


ちなみに由紀が見える俺も秋晴も、彼女を触ることが出来る。

でも性格や挙動がすごくおぞましく、セクハラする気にもなれないというか

彼女にある程度近づくと妙なエネルギーによってそういう感情が失われていくのである・・。

恋愛感情はどうだろう。今の彼女に対する俺の想いは恋愛感情といえるだろうか。

単なる罪悪感と哀れみによって彼女を成仏させたいと想っているだけなのかもしれない。

そもそも恋愛感情があれば成仏させたいなんて思わないだろうし。

とにかく彼女に近づくとおかしな空気感が生まれる。

自分の感情と感覚の中の何かがおかしくなっていく近づけば近づくほどに。


渚「大会は大阪だぜ。フェリー楽しみだなぁ。」


秋晴「由紀ちゃんも付いて来させようよ。楽しくて成仏すっかもしんねーぞ」


渚「そうだなぁ。でも空手みたいな痛そうな競技嫌いだそうで。海も嫌なんじゃねーのかな(汗)」


秋晴「観戦しなきゃいいと思うし。んー・・でも俺らと由紀ちゃんが3人で船内で遊んでたら人の目につきすぎててヤバイか。」


渚「そうだよなーやっぱ無理か~」


ちなみに由紀ちゃんは幽霊(のような何かと言うべきか)なのに飯食えたりモノを触ったりなど

普通の人間みたいなことができる。ようするに彼女が見えない人には勝手にモノが消えたり

動いたりしてるという霊的現象として映るわけだ。

彼女いわく、普通の人間が出来ることは大体できるのだという。(普通の人間のようにおトイレまで行かないとダメらしい)

それから瞬間移動とか飛んだり高速で移動したりなど、その手の魔法みたいな力は持たない。

ようするに多くの人には見えない存在なのである。

だから幽霊というにはちょっと別者かもしれないといったところか。

成仏成仏言ってっけど実際そんなふうになるとも限らない。

仏教的にイメージしたニュアンスで成仏するんではないかと思ってるだけです。

ていうか結論的にそれじゃあただ単純に透明人間じゃね?てとこだろうか・・?(汗)

ちなみに住んでる家は未確認飛行物体である。

お前かぐや姫かよ的な。

一度乗ったことことあるんだが、やはりUFO?って感じの空間で、

秋晴も同乗したことがある。

家族もそこにいてお茶出してくれたりたまにご馳走を御もてなしして頂いたりと、

ずっと居ると普通の家庭の部屋に居るような感覚に陥るのだが

窓の外は宇宙が広がり、やはりまぎれもなく彼女の住まいは飛行物体なのである。

ほんとに幽霊なのか宇宙人なのか、はたまた超能力者なのか。

彼女に関する真相は深い謎につつまれている。

本人も己の立場や何者かがよくわかんないらしいので。

ただいつもカニのごとく噴出す泡のような

感情があり、そこにあるのは"恨み"と"呪い"そして"愛"であると彼女は言う・・(汗)


-------


空手の西日本新人戦は中止になった。

出場希望者が足りないとのことで。

ちょっとガッカリ。まあ、いいんだけども。

せっかく張り切ってたのに肩透かしだぜ。

なによりフェリーが楽しみだったんだよな~。


由紀「あきらめなさい。まあ渚はそうやって上手くいかないサダメなのよ」


渚「たしかになー。最近サボりがちだし。空手やめるべきなのかな。部活とちがってどんだけ頑張るか自由な

ところが頑張らない俺的にアダになってるというか。」


秋晴「なにいってんだ黒帯取れるまでやめんなよ」


由紀「空手なんて暴力的なものからは足を洗ってデートを部活と思ってつづけてればきっと幸せになれるわよ」


秋晴「まぁたしかにデートも人生で学ぶこと多いだろうし部活動と同じととらえていいとは思いはするけれども・・」


由紀「で。今日こそチャレンジしてみない?」


渚「いや、無理だって一人カラオケが限界だって。」


秋晴「まぁそれって、つまり俺が同行しないと無理なんだよな」


渚「そう、それが一番マズいわっつーの。てか由紀ちゃんとはいまだに僕のお家でもイチャつくことは少ないんだぞ。

由紀ちゃん怖いからな~。夏は冷房がいらなくて助かるんだが。」


由紀「ていうか単にあんたら二人が自覚が無いだけでホモなんじゃないの!?失礼するわね!!!あたし別に脅迫してる

つもりなんてないし!!冷え性で悪かったわね!」


-------------


俺たちは由紀と出会って以来、日々いつもこんなパターンで似たような掛け合いを延々と続けていた。

・・が、彼女はある重大な秘密を打ち明けたのだった。


由紀「なんと実はね、今まで秘密にしてたけど私自在に操ることが出来るのよ。姿を不特定多数に見せたりそうでなかったりをね(苦笑)」


渚「そ・・それは要するに・・」


秋晴「俺らを周りに"いつも男二人でデートしてるヤツ"に仕立てようとしたわけ・・だな。」


由紀「ぴんぽーん」


渚「なんと下劣な超能力的手口だ・・」


由紀「非道よりは下劣のほうがまだましじゃないしら(睨み)」


渚「いや、ほんとすんません。すんません。」


由紀「というわけで行けるわねラブホテル」


渚「ラブホと略すより現実感があって業務的な圧迫感になるなぁラブホテル」


秋晴「まあ行くだけ行ってみればいいんではないのかい?」


渚「とりあえず3人で試してみないか・・」


由紀「ほら!やっぱりコイツら!!」


秋晴「いやー、コイツ「ら」と言われてもねー。俺は反対派だよ。お二人のお邪魔は出来るだけしたくないですし。

ではそろそろ用事があるので俺はおいとましますかね。バイバーイ」


由紀「ばいばいー」


渚「んーていうかとりあえずだね・・、ほんとに姿を見せたり隠したりできるのか証明させないと・・。」


渚「すいませんそこの方(通りすがりの人)」


渚「あのう、見えますか?ここに女の子いるんですけど」


通りすがりの人「・・・?いや、誰もいないッスよね(汗)」


渚「いないですよねー(苦笑い)ありがとうございました・・。」


渚「やっぱ嘘かよ!」


由紀「いや、まだ透明化を解除する力を使ってなかっただけよ? 」


渚「使えよ!!(汗)」


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渚「あー、ついに着いちゃったよ。ラブホテル。」


由紀「わーい」


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やはり無理だ。無理でしたすみません。


由紀「まあ、そんなに落ち込むこと無いって。全部呪いだから。あたしの力のせいですから・・。」


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