海の彼方のトティアス2 〜女を知らない野生児が二次性徴期に入った件〜
万年ぼんく
プロローグ
見渡す限りの大海原。
遥か遠く、水平線が360度に渡って緩やかな曲線を描き、視界を遮るものは何もない。
見上げれば空は青く澄み渡り、陽光が群青色の穏やかな水面をゆらゆらと照らしている。
世間では
1万年以上も変わらなかった年号が唐突に変わったと聞いた時は驚いたものだが、どうやら僕が世間知らずなだけだったようだ。
そうするだけの契機はちゃんとあったらしい。僕が知らなかっただけで。
おっと失礼。僕の名前はベルと言います。
本名だと思っていた偽名はヴェルフですが、ここ最近、僕の名前を呼ぶ人間はあの子だけだったのでテキトーに省略されたまま放置していたら『ベルさん』になってしまいました。
僕という個人は物語に縁もゆかりも無いただのモブ――通行人Aですらありません。それでもあえて配役するならナレーターでしょうか。
まだ始まってもいない物語の語り部です。しかも聴衆は1人もいません。
これほど孤独で惨めな役回りは他に無いでしょうが、僕としては願ったり叶ったり。まさに適材適所と言えるでしょう。
というか、この役目は僕が勝手に始めたことなので、誰かに文句や感謝を言ったり言われたりする筋合いはありません。
さて、ここからは冒頭のようにちゃんとそれっぽく語っていきますので、よろしくお付き合いください。
まったく、誰に向けて言ってるんでしょうね。
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