第39話
俺と雪奈の交際は順調に進んでいき、付き合い始めてからあのお泊りの日から三か月ほど経っていた。
「幸人の匂い凄く落ち着くよぉ、すんすん」
「.......雪奈、少し恥ずかしいから止めて」
「ムリ、私、幸人の匂いがないと生きていけない。幸人は私に死ねって言うの.......
?」
「そうはいってないけれど、家まであと少しなんだから我慢して」
「.......だって、お家まで長いんだもん。だから、途中で幸人休憩挟まないと無理だもん」
仕方が無いなぁとなんだかんだ雪奈を甘やかして、頭を撫でてしまうので結局は俺も雪奈とイ
チャイチャしたいんだと思う。
今、俺たちは家に帰る途中の公園のベンチに二人並んで座っている。
この三か月間を振り返ってみると、良く言えば関係良好、悪く言えばバカップルと言えるだろう。
あのお泊りの日から雪奈はより俺へと甘えるようになっており、そしてより距離が近づいた。
父さんともあのお泊りの日からかなり仲良くなっていて、雪奈は父さんの事をお義父さんなんて呼んでいるし。
今では週に一回ほどお泊りをすることに成っており段々と俺の家に雪奈の私物が増えていっていて、俺の部屋に関しては雪奈の物の方が多いんじゃないかってくらいだ。
それに雪奈は甘えるだけでなく俺をこれでもかってくらい甘やかしてくるようになった。
俺が今までやっていた家事とかを自ら進んでするようになって、夕食とかほとんど雪奈が作っている。雪奈は俺の負担を出来るだけ減らす為に料理を練習してくれていたみたいで、本当に感謝しかない。
雪奈はどうやら前からずっと俺の負担を減らしたいなと思っていたが、お節介じゃないかと気にしていた。
だが、あのお泊りの日からは何かが吹っ切れたみたいで積極的にしてくれるようになった。
「雪奈、ありがとね」
「ん?急にどうしたの?」
「いや、いつも家事してくれてありがたいなって思ったから言わないとなって思って」
「いいの、幸人のためにしたいって思っているだけだから。それに、今のその言葉を聞けただけで私は十分だよ」
「…….本当に、ありがと」
雪奈と付き合うことが出来てよかったなと心から思う。
.........どうして、あいつと付き合っていたのか分からなくなってしまうほどだ。あいつに費やしていた時間を雪奈に使えていたらどれほど幸せなことだろうかと思うが、あいつの告白に頷いたのは俺だし、見る目が無かったのだろう。
これも一つの人生経験だと思えば良い。まったく許す気もないし、もう二度と話したくないレベルだけれど。
そういえば、あいつから最近は謝罪されることが一切と言っていいくらいに無くなったな。鬱陶しかったし迷惑だったのでこちらとしてはありがたいが。
「…そろそろ行こうか。あんまりのんびりしすぎると遅くなっちゃうから」
「うん、そうだね。幸人成分も補給できたしいいかな。でも.........」
「ん?」
「おうちに帰って家事が全部終わったら、またぎゅってして?」
雪奈は上目遣いでこれ以上にないくらいの可愛さでそんなことを言ってくるので俺は笑顔で頷く。
すると彼女はにこっと笑って手を差し出してくるので俺はその手を握り返し、ゆっくりと帰り道を歩き出す。
俺は今、すごく幸せだ。
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