猫(?)になった私、ままならぬままに生きてます。
新佐名ハローズ
第1話 何故か、猫(?)になった私。
気がつけば、私は森の中にある清らかな泉のほとりにうずくまって独りニィニィと鳴いていた。
……えっと、これはどういうことかしらん?
自分から可愛らしい鳴き声が出ている時点でまず変だというのは自覚している。しかも薄っすらと苔むした水辺の近く、芝生のような草がクッションになっている地面に直だし、そもそも視線が低すぎる。
手をついて起き上が――れずにコテンとひっくり返る。視界に映る空は青く白い雲も見えているけれど、泉とその先に広がる水面のある部分以外はたっぷりと茂った木々の緑に遮られて、所々光が差していた。
………あぁ~、うん。まぁ分かってはいたけれど。私、ヒトじゃないね。
ヨタヨタとおぼつかない4つの足でなんとか起き上がり、目の前に湛えられた水面の縁へ恐る恐る近づいていく。万が一ワニっぽいのとかがいたら、今の私みたいなちんちくりんはひとたまりもないからだ。
用心深く水中に何か生物の影がいないかを確かめ――生まれたばかりっぽいくせしてハッキリと見えているのはこの際無視し――た上で、うっかり踏み外して泉に落ちないよう、足元を念入りに探る。
よし、大丈夫そう。…………おおぅ。
三角形の耳に銀灰色の毛並み。一部は光の加減でやや濃くて黒っぽく見える。丸い瞳は縦長の瞳孔で、深く鮮やかなブルーサファイアの輝きが文字通り宝石のよう。猫のコラットに似ているけれど、体毛や瞳の色が違う。あの子たちは琥珀がかった緑色の瞳が多かったような。
それにしても猫か……。しかし、
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