ゆめうつつ

はちのすばこ

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「ただいま」

その声だけが小さな部屋に響く。

ドアを閉め、机に向かって独り言を呟く。

「趣味が出来たらなぁ」

私には趣味と言える趣味が無かった。

引き出しを開けてみると、ノートがあり、文房具が奥から転がってくる。…日記?日記か。良いかもしれない…

でも、私の人生って日記に書けるほど良いものじゃない。経験したく無いものののオンパレードだ。

そうだ、いわゆる夢日記を書いてみようかな?うん、良いかもしれない。夢の中で起こったことを書くだけ。楽だし楽しそうだし他の人はしてなそうだから自慢できるな。


今日から私は夢日記を記します。


ベッドに潜ってみたらいつの間にか眠っていたみたい。ここは何処だろう?

薄暗い部屋に裂け目のようなものがたくさんある。

どういう事だろう。何これ、触っても大丈夫かな?というか、夢の中だから死んでもいいか。

裂け目に触ると、周りが光に包まれ…

気づいたら不思議な空間に居た。これまた薄暗い空間だけど、存在するものが違う。

子供の声が存在してる。子供の泣き声、叫び声、笑い声が1つの音楽のようになって、私の足音とセッションしてるみたい。

ん?なんだろう、あれ。

胎児だ。真っピンクの生きている胎児。

へその緒は…空から繋がってる。誰の子なんだろう?私は胎児に触れてみた。

ポチャン。

水の音がすると、私はさっきの空間とは違う空間に居ることに気がついた。目を開けると、そこはパステルカラーに、満ちた幸せな世界。

鳥が浮かび、風船が飛んでる。そしてそよ風の音がする。私、赤ちゃんの頃に戻ったのかな?

そう思うくらいの楽園だった。殺伐とした現実とは違う。一生ここに居たい。

すると、一軒の民家を見つけた。誰かいるのかな?お邪魔しまーす。

ドアを開けると、少女がひとり。

私と同じ年齢っぽいね。話しかけてみよう。

「ねぇ」と声をかけると少女は振り向いた。

顔が溶けてる?少女の顔を触ると、ぺたぺたとしていた。うーん、気味が悪いなぁ…

私は逃げようとしたが、ドアに鍵がかかっている。

血の気が引いた。人生はここで終わるんだ。

顔が溶けてる少女が近づいてくる。

涙が出たような気がした。……


…夢から覚めたようだ。私はいつものベッドの上にいる。あぁ良かった。

早速夢日記を書こう。



今日のゆめは、赤ちゃんがいるゆめ。

ぎゃあぎゃあとさわいで泣く赤ちゃんがいたので、私がさわるとワープした。

ふうせんを取りたかったけどむりだったから歩いてると、家があったので入った。

そしたらいた。女の子が顔の溶けてる。

ぜったい、こわいので私はドアを開けたけどかぎがかかって開かない。

死にそうだけど、ゆめが終わった。

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