第2話 来世いや、今世

前世。

それは私たちが生まれる前の世界のこと。

前世の記憶を持つものはそう多くはなかった。

そして私、エリーナ・ウィンドは『前世の記憶』を持ちながら貴族の令嬢として生まれた。

最初は戸惑いばかりだったけれど15年も経った今ではもうここの暮らしにも慣れて来た。

ここ、朝の公国 『ミルルティ国』は戦争などの争いがない平和な国。海が綺麗で豊かな国ということから貿易国も多い。

この国が豊かなのは今の国王、トレビルモス陛下が週に何度か街に降り飢餓で苦しむ人たちに手を差し伸べているからであった。

街や貴族の人々は彼を称え、また、彼が自分たちの王であることに誇りを持っていた。

そんなトレビルモス陛下には3人の王子がいる。

 第一王子のシャレム・クアイエッセ様。

社交界では人気でシャレム様をお慕いしてる女性が多いとか……その分女癖の噂があとを絶たないけれど。

 第二王子のティレル・クアイエッセ様。

ティレル様は知的でクールなお方。彼が笑った姿を見た人はいないらしい。

 最後、第三王子のラドミーラ・クアイエッセ様。

ラドミーラ様、通称ラド様は2人の王子たちの容姿を足して2で割ったような顔だ。

シャレム様の黒色の長髪、ティレル様の氷のように冷たい琥珀色の切れ長い目。

ラド様の場合、ティレル様と違い心を許した人には笑顔を見せるらしい。

ティレル様とラド様は社交界にあまり出ないから詳しい情報を知っている者は王家の人間くらいだろう。

 何故私がそんな情報を持っているかって?

それは……




























私が、第三王子ラドミーラ・クアイエッセ様の婚約者だからよ。

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