第18話 東京観光
~帝国ホテル東京・VIPルーム~
「船とか列車に乗っただけなのにこうもつかれるとは……」
ノアがベッドに横たわりながらつぶやく。
「ですね~……しかし大きいです、この建物」
ミリアが窓の外を見下ろしながら答える。
多くのジドウシャが行きかい、夜景が地平線まで続いている。
よく見ると、奥の方に巨大な塔の様なものもある。
「綺麗ね……」
「はい……」
もっとも、この夜景は都民の残業によって作られているのだが。
***
~翌日・帝国ホテル東京前~
「今日は外務省で国交締結の会議をしてから、東京を観光します」
本田がそう言い、使節団はバスに乗り込んだ。
***
会談が終わり、日本と教国は友好条約を結んだ。
そして、使節団の東京観光が始まったのだ。
***
~東京スカイツリー~
「ここは日本一高い東京のランドマークで、高さは何と634メートルもあります」
「「めーとる?」」
(そういえばこの世界の単位は1マイルが1イール、1メートルが1メルで、1トンは1ルトだったな……)
「えっと、634メルです」
「634メル!?そんなにですか!」
「はい。なのでエレベーターという箱に乗って最上階に行きますよ」
「うわぁあ!!」
「すごいっ!」
「蛮族にしては技術があるな!」
「マルクスさん……」
一行は展望台へと登って行った。
***
~東京スカイツリー・展望台~
「たっか……」
「ハッハッハッ!人がゴミのようだ!」
「マルクスさん……」
「これを倒したら東京の街は崩壊するな」
「怖いこと考えないでよ」
***
~富士演習場~
東京観光と言いながら静岡まで来ているのは気にするな!
「これが日本軍……」
「軍じゃありません。自衛隊です」
「え?」
使節団は次に、富士演習場で陸上自衛隊の演習を見ていた。
「あの鉄の塊みたいな奴はなんだ?」
「戦車ですよ。あれを使って敵を攻撃するんです」
「な、なるほど……確かにあれならドラゴンにも勝てそうだな」
「はい。では、次は海自の基地へ行きましょうか」
使節団はバスに乗り込み移動した。
***
~横須賀基地~
「護衛艦『しなの』は全長300メル、基準排水量は20000ルトを越える巨大艦です」
「「おおおぉ~!!!」」
「まるで要塞だ!これは凄いな!」
「でしょう?私も初めて見たときは感動しました。解説を続けますが、主機はIHILM2500IEC型ガスタービンで、推進器はスクリュープロペラです」
「「がすたーびん?」」
「あ~えっと、内燃機関です」
「ニホンはナイネンキカンをよく使うな……」
「解説を続けますね。最大速力は40ノットで、搭載能力は貨油4000kL、73式大型トラック50台です」
「40ノット……!?」
「兵装は高性能20mm機関砲2基、SeaRAM、近SAMシステム2基で、搭載機はF-35B8機にSH-60J/K哨戒ヘリコプター2機です」
「すごいですね……??」
「解説を続けます。C4ISTARはOYQ-12戦術処理装置で、レーダーはOPS-50にOPS-28、OPS-20です。ソーナーはOQQ-23ソーナーシステムとなっています」
「「????」」
「電子戦はMOLQ-3D-1電波探知妨害装置で、対抗手段はMk.137デコイ発射機6基に、OLQ-1魚雷防御装置1式。作業艇も載せています」
「「????????」」
使節団の頭の中をクエスチョンマークが埋め尽くす。
「主砲はMk45、5インチ砲です。では、次に行きましょうか」
「は、はぁ……わかりました」
使節団の面々は例外なく「しなの」の機能を理解していないのだが、本田はそんなこと関係なしにそう言った。
それをよそに、使節団の面々は小声で話し始める。
「まーく45、5いんち砲ってなんだ……?」
「さあ……えすえいち60じぇーやおーぴーえす50や28もわかりません……」
「とにかく、このことは後で考えよう」
使節団は話をやめ、本田について行った。
***
~ヨドハシカメラマルチメディアAkiba~
「ここは日本最大の家電量販です。ここでは様々なものが売っていて、例えばテレビはここで買えますね」
「「てれび……」」
「えっと、他にもパソコンとかスマホもあります」
「「ぱそこん……すまほ……?」」
「あと、カメラも変えます。店名にもついてますし」
「かめらとは?」
「景色をそのまま絵にすることができます」
「えっ!?」
「どうしました?」
「教国にも同じようなものがあるんです。これです」
ロバートが魔写機を取り出す。
「これは……初期のフィルムカメラに似ていますね」
「初期型……?」
「えっと……これを見てください」
本田は棚から適当にカメラを取り出し、使節団に見せる。
「すごい……我々の物より圧倒的に小さい……これ、買えますか!?」
「えっと、ちょっと待ってください」
(確かデジタルはダメだったよな……フィルムも型によってはダメなはず……う~ん……お、使い捨てカメラがある。これにしよ)
「このカメラは無理ですけど……これなら買えますよ」
本田は棚から使い捨てカメラを取り出して、言った。
「おおぉ!!ありがとうございます!!」
「いえいえ」
「そうだ、てれびっていうのは何なのですか?」
「ああ、映像を映す媒体です。今日行った東京スカイツリーもテレビに電波……映像を流すための塔ですよ」
「映像……?じゃあ、てれびがあったらそれを見れるんですか?」
「はい。まあ、それは後々輸出しますので」
一行は秋葉原観光に乗り出した。
***
その後、使節団は秋葉原で様々な物を買い、ご機嫌で教国へ戻った。
数日後、教国は相当な友好国になったのだった……
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