第16話 work advance
~福岡市・工事現場前~
「ん?なんですか、あれ」
「え?ああ、あれはadvanceですね」
「あどばんす?」
「はい。自立思考汎用ロボットです。ちなみに開発は加原重工ですよ」
「へぇ……」
加原重工製work advance。
元々は土木作業にのみ使われていたadvanceを汎用化したものだ。
patrol advanceやarmy advanceも、このadvanceの派生型である。
ちなみに、金額は税抜300万円。安い買い物ではない。
が、これ一台で土木作業から接客までできるというのだから、高いとも言い難い。
まあ、値段相応の性能はあるだろう。
「しかし、いったいどういう原理で動いているのか……」
「さぁ……私にはわかりかねます」
使節団が乗るバスの横では、多数のwork advanceが荷物や鉄骨を運んでいた。
advanceが荷物をトラックに入れ、そのトラックは自動運転でどこかへ走っていく。
「便利そうね」
「そうですね。私たちの技術じゃあんなもの作れません」
と、ここでバスが停車する。
「到着しました。降りましょうか」
「早いですね……」
***
~福岡市・博多駅~
『一番ホームに電車が参ります。黄色い線の内側におさがり下さい』
「な、なんだ!?この声!」
「構内アナウンスです。これに従ってホーム間を移動するんですよ」
「な……なるほど……」
駅構内に響く放送に驚きながら、一行は新幹線乗り場へ向かった。
***
~新幹線「のぞみ」号・グリーン車~
『本日は山陽新幹線をご利用いただき、誠にありがとうございます。本車は……』
車内に流れる音声案内を聞き流しながら、一行は窓の外を見つめる。
「早いな……」
「事故が起こりそうで怖いですね……」
「大丈夫ですよ。なんたって、日本一安全な乗り物といわれていますから」
「ほう……」
しばらくすると、遠くにビル街が見えてきた。
「おお!あれが東京の街か!」
「すごい活気ですね」
「はい。東京は首都ですから」
「なるほど……!」
しばらくすると、トンネルに入った。
「……暗いわね」
「山の中を通っていますからね」
「山の中!?精霊ノームが怒るぞ……!」
「精霊ノーム?」
「はい。なんでも、地震が起こるとか」
「それは火山性の地震でしょうね。ここら辺は平野なので、そんなことはありませんよ」
「そ、そうなんですか……」
新幹線は進んでいく。
***
~東京駅~
「まるで迷路だな……」
「はい。迷わないように気を付けてください」
「わかりました」
東京駅に着いた一行。
初めて見る巨大な駅に圧倒されていた。
一行は東京駅で乗り換え、渋谷に向かった。
***
~渋谷駅~
「なんか工事中の看板多くないですか?」
「渋谷駅は年中工事中の駅ですからね」
「え?どうしてですか?」
「巨大駅ですから」
一行は進む。
***
~渋谷スクランブル交差点~
「人が多いな」
「はい。渋谷は日本で一番人が密集する場所と言われています」
「へぇ……」
その時、改造ブルドーザーがビルを破壊しながら突撃してきた。
「うおぉっ!?」
「きゃあああっ!!」
使節団は何とか避け、走り去ったブルドーザーを見る。
「な、なんだ!?」
使節団がおろおろしていると、大量のパトカーがブルドーザーを追いかけて行った。
「あ、あれは?」
「警察……えっと、憲兵みたいなものです」
「へぇ……」
「じゃあ、さっきの黄色いやつは?」
「ブルドーザーですね。改造されてますが」
「な、なんで改造されているんだ?」
「犯罪をするためですね。銀行強盗とか」
「ひぃ……」
「まあ、ああいうのは滅多にないですよ。最近は取り締まりも厳しくなっていますし」
「なるほど……」
その時、爆発音とともにブルドーザーが吹き飛んだ。
「今度はなんだ!?」
「特殊車両犯罪対策課のパトカーがバルカン砲で吹き飛ばしたんですね」
「とくしゅしゃりょうはんざいたいさくか?」
「はい。特殊車両犯罪対策課とは、通称特対課と呼ばれる警察の部署です。
すごく簡単に言えば、暴走車を止めるための車両部隊ですね」
「なるほど……」
特殊車両犯罪対策課。通称特対課。
増え続ける改造車両を使った犯罪、特殊車両犯罪に対応するための部署だ。
そのため特対課のパトカーは重武装である。
なぜ特殊車両犯罪が増えたかというと、自動運転技術の発展により
車両を使った犯罪を行う際のハードルが下がったからだ。
閑話休題。
「まあ、あのような車両は少ないので安心してください」
「そ、そうなのか……」
「はい」
その後、一行は目的地に到着した。
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