呟き〜縫合実況中継

嵐華子@【稀代の悪女】全巻重版

いや、どうでも良いお話なんですけどね

 ほぼリアル寄りの、やや脚色と関西圏の言葉使いが入っています。

子供の怪我に敏感な方、親というものに理想をお持ちの方はブラウザバックして下さい。


 全3話の短編ほぼノンフィクションです。

なかなか色々な意味で衝撃的だったので書いてみました。



______________



 ある日、子供の学校から電話があった。


 うっわ、嫌な予感するー。

学校ってまだ授業始まってないんちゃう?


「はい」


 とか思いつつ、電話を取る。


「お子さんが登校中に自転車で転びました。

頭を切って流血しているので、迎えに来て病院に連れて行ってください」


 女の人の声。

子供の担任の先生は男性なので、多分保険医さんか、事務の人かな。


「はい、わかりました」


 もちろん了承。


 でもすぐに迎えに行くとは言いません。


「血はどんな感じです?」

「深く切ってるんですけど、今は冷やしているのもあってか止まってます」


 それ冷やすん止めたら血がドバーなやつやん。

制服大丈夫なん?


「本人は気分が悪いとか、頭が痛いとか、眼振とか、手が震えてるとか、何か諸症状ありますか?」

「顔色も普通ですし、そういうのはありませんね」


 何となく声がのほほんとしている感じがするから、危機的状況ではないっぽい。


「1時間後くらいでも大丈夫そうですか?」

「あ、大丈夫です」

「何か状態が変わったらすぐに連絡下さい。

すぐ連絡がつくようにはしておきます」

「はい、よろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いします」


 さあさ、お迎え準備だ。


 え、すぐに行かないのか?


 行きません。


 ……行けません。


 子供の健康保険証どこ行ったー!


 探す→探す→10分経過。


 あった!


 着替えてコンタクトレンズ装着。


 ええ、今日はお家デー。

家にいて良かった。


 そして朝から張り切ってカボチャの煮物作ったのに、結局弁当いらんようなったやん!なんて心でぼやいてます。


 つうか子供の頭の怪我……3回目ともなると慌てません。


 1回目の理由、兄弟喧嘩。

被害者、兄……四針縫いました。


 土曜の午後に何してくれとんじゃー!と慌てて土曜日の午後もやってる整形外科探しました。


 2回目の理由、学校で友達と喧嘩。

被害者、弟……五針縫いました。


 仕事中に学校から電話来て、病院連れてきます。

長男と全く同じ所を切ってました。

因果応報ってホンマにあるんやなー、まあそんな事もあるわー、とめちゃくちゃ笑ってやりました。


 その後で学校の先生が喧嘩相手とそのお母さんに連れられて謝罪に。


「ほんっとうに、すみません!」

「ごめんなさい」

「うん、かまんよ」


 うちの子はオッケーらしいから、まあえんちゃう。


「そんな事もありますよねー。

謝ってくれたんやったらええよー」


 ちなみに喧嘩の理由は無視した、してない、の言い合いからヒートアップして、最後に友達が首に下げてた水筒でガツン。


「トイレ行きたい」

「ええ?!」

「ああ、どうぞどうぞー」


 とお友達の突然のトイレタイム。


「うーん、うーん」

「す、すみません」

「いえいえー」


 大を頑張ったもよう。

トイレは玄関の近くなんで声が聞こえます。


 なんてことがあったり、


「あの、すみませーん」


 時間差でを今度はお父さんが単身で追いかけてきて合流……何故に?


 終わったはずが、今度は夫婦でまたまた謝罪。


 お帰りいただくのに1時間かかりました。


 まあそんな感じで慣れてしまった3回目。


 今度は何針縫うんやろ?なんてのほほんとしつつ、車に乗ってゴー。

ほぼ予定通り1時間後に学校に到着。


 保健室に行けば、服の袖が軽く汚れている程度で特に制服に血がついた形跡もなし。


 お、ラッキー。

普通に洗ったら綺麗になるわ。


「頭痛、吐き気、目眩は?」


 1時間ぶりの子供の顔色は変わりなし。

ガーゼと絆創膏がこめかみの上と手にペタペタしてる。


「ないよー、早退?

早退してもえん?」


 嬉しそうにするんじゃありません!

病院からまた学校送り返すぞ、コラ。

弁当無駄にしおって。

朝からカボチャの煮物作ったのにさ、フン。


「うん、うん。

早退、早退」


 なんて思いつつも、一応頭打っただろうからと早退の旨を伝えてそのまま過去お世話になった整形外科に。


「あー、これは縫わんといかんなあ」


 そういえばここに来たの約8年ぶり?

お爺ちゃん先生がだいぶお爺ちゃんなってるー、なんて思いつつも、準備してくれるのを見守る。


「レントゲンとりますねー」

「はい、お願いします」

「縫うんでこっち来て下さいねー」

「ほら、行きなよ。

麻酔は痛いぞー、えへへへへ」


 看護士さんに色よく返事しつつ、子供を脅す嬉しそうな私。


 えー、とか言いながら素直に処置室に子供が1人で向かえば……。


「お母さんもこっち来てー」


 お爺ちゃんに呼ばれる。


 あれ、高校生に付き添いいる?

もう暴れたりする年違うよ?


 とか思いつつ、はーい、と入る。


 ここからコントか?コントなんか?とつっこみたくなる縫合劇場が開幕した。



※後書き※

メリークリスマス!

ここまでどうしようもない内容をご覧いただきありがとうございました。

残り2話の計3話完結でせっかくなのでカクヨムコンの短編にエントリーしてみました。

13時過ぎと20時過ぎに投稿予定です。


こちらもよしなに。

【太夫→傾国の娼妓からの、やり手爺→今世は悪妃の称号ご拝命〜数打ち妃は悪女の巣窟(後宮)を謳歌する】

https://kakuyomu.jp/works/16817330649385028056


長編のカクヨムコンライト部門で最高7位になれました。

初中華風にチャレンジした作品ですが、今のところ毎日投稿しております。

でもまだ10万文字作れてないー!

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