第13話 ユリアンメイデン 


 百合アンメイデンにカレン様が入るっす。流石に催す際は

トゲは出さないっす。そう”催す時だけ”は。


財布    「ただいま映像と音声を差し替えてお送りしているぞ?

     何が起こっているかはご想像にお任せする。あはははは」

葉牡丹   「ナイスボートっす」


カレン   「お花は摘み終わりましたわ。さぁ、出してくださいまし」

葉牡丹   「じゃあ、放送再開ってことでいいんすよね?」

カレン   「さっさと出せや!下僕風情が!!」ガン!ガン!

葉牡丹   「スイッチオン」ポチッとな

カレン   「ぐええええーーー」ぐさりぐさりぐさり

財布    「放送再開と同時に百合アンメイデン内部からとげが発生!

     カレン君は串刺しだー!」

葉牡丹   「これは百合リス王家のおもてなしです。ぜひご堪能あれ♪」

カレン   「よくもぉ!よくも騙したな!!」

葉牡丹   「”ドッキリ”ってこんな感じっすか?

     受ける側の身にもなれっす」


 百合アンメイデンにエンジン付き車輪を取り付けて準備完了っす


財布    「あの容姿!かつて某国への情報戦で使用された

     百合ジャンドラムだ!!」

葉牡丹   「まっすぐ敵陣に転がって爆発するっすよ?

     じゃ、試運転っす」

カレン   「蛇行してるから!まっすぐ転がってない!!」ゴロゴロ

葉牡丹   「しょうがないっすね。次行くっす」

カレン   「なにも馬鹿正直に付き合わなくたって!

     わらわは事実上の不死なんだから。今の肉体を放棄して!」

葉牡丹   「ふーん、掃除機のスイッチオン」

カレン   「!!!!!」掃除機の中でグルグル

葉牡丹   「いくら髪の毛からでも再生できるからってイキっても、

     メイドさんがゴミを放置するわけないじゃないっすか。

      今のあなたの世界はメイデンの中と掃除機だけっす」

カレン   「おええええ、暗いしトゲトゲだしグルグルで気持ち悪い。

     髪の毛一本も逃さないなんてあんた何者よ!!」

葉牡丹   「レンジ様の目標であり、

     あなたが馬鹿にしたメイドっす」にっこり


 次は巨大な黄色いプロペラをくっつけるっす


葉牡丹   「じゃあ左回転で上昇気流アッパーフォースを。

     上へ参りまーす」

カレン   「ちょっ!」

財布    「宇宙まで行っちゃったぞ?生きてるのか?」

葉牡丹   「カレン様はこんなんじゃ終わりませんって。

     次は右回転。下降気流ダウンフォース

     下に押し付ける空力をば」

カレン   「ちょっとまて!黄色いプロペラは別の国モチいいいいいふう」

財布    「生きてるのかよ!!」


 マントルまで行こうとしたら温泉が出ました。

これはこれで新たな観光名所っす。再び上昇気流で地上に戻して

カレン様の改心を続けます。


カレン   「もうわらわの負けでいいから!助けて!」

葉牡丹   「しょうがないですね。

     カレン様に紅茶を静脈注射して次のラウンドです!!」

財布    「ただの私刑だ!!」


 百合アンメイデンを吊るしてハンマーで思いっきり叩きます。

煩悩の数までやるっす


葉牡丹   「これ楽しいっすね」ガン!ガン!

財布    「今年ももうすぐ終わりだからな。除夜の鐘代わりに。

     あははははは」ガン!ガン!

カレン   「う~る~さ~い!!」ゴーンゴーン


 百合アンメイデンに火をつけて暖かくします。

この上に金網を敷いて焼き鳥大会っす


葉牡丹   「焼き鳥製造機っすね」はふはふ

財布    「閉じ込めて火で炙るって別の拷問器具なような?」はふはふ

カレン   「あつうううい!」じゅううう


 次は車に乗っけます。もうメイデンの意味なくね?と思っても

気にしちゃだめっす。


葉牡丹   「あっ、ちなみにバックギアはないっすから。

     メイデンの重さでアクセル踏みっぱなしっす」

カレン   「もういやああああああああああ」


葉牡丹   「さて次は・・・どうやら気絶しちゃったみたいっすよ?」

財布    「じゃあ、勝負は葉牡丹君の勝ちだ!!!

     両者に拍手を!!ご視聴ありがとうございます!

     二次会どこでやる?お酒あり?」

葉牡丹   「ご視聴ありがとうっす。私とカレン様未成年っすから

     ジュースオンリーっすよ?」

財布    「ぴえん」放送終わりー




 こうして私、いえレンジ様を含めて私たちが勝ちました。

でもこんな勝負どうでもいいのです。ただ私は・・・。


ハボタン  「目が覚めたっすか?レン姉様」

レンジ   「うるさい。一人にしてくれ!」

ハボタン  「レンジ様、あなたにとってメイドとは何なのです?」

レンジ   「わからなくなったよ。憧れを自分で汚して、

     メイドを侮辱して、戦いで負けて。俺は俺でなくなった。

     レンジでも、百合チューバ―のレンでも、

     承認欲求に支配されたカレンでもない。

     俺は誰だ!メイドっていったいなんだ!

     何故俺を見捨てないんだハボタンは!」

ハボタン  「私はレン姉様の親でもなければ血すら繋がってない。

     それでも家族と認めてくれた姉様についていく。

     これが私の人生っす。間違った選択をすれば軌道修正するから

     姉様は思った通りにするっす」

レンジ   「でももう、俺にはなにも」

ハボタン  「ならここからやり直せばいいっす。

     姉様が復活すればリスナーさんも喜ぶし。大変だったんすよ?

     カレン様の正体がばれないように偽装するのって」

レンジ   「いや、バレてると思うけどな」げんなり


 花火の音が聞こえてきました。反省したでしょうし解放しましょう。

不死とはいえ外の空気吸わないと心がダメになりますから。


ハボタン  「・・・・花火上がってますよ?今メイデン開けますね?」

レンジ   「このままでいい。今の顔を見られたくない」

ハボタン  「そっかぁ」しゅん

レンジ   「いつか、笑って花火見に行けたらいいな」

ハボタン  「ええ、その時はチョコケーキでも食べながら♪」





ー 一週間後 鬼百合家 鬼百合チャンネル 夜 ー


葉牡丹   「鬼百合チャンネルへようこそっす。

     姉妹?夫婦?喧嘩してて出てこなかったあの人が登場」

レン    「あー、久しぶりっす。レンっす。えーっと

     こんな感じだっけ?」

葉牡丹   「(引き気味)リハビリが必要っすね。レン姉様。







     おかえりなさい」ニッコリ


レン    「・・・・・ただいま」ぷいっ

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