第1話 再会の瞬間。


 暖かな陽光が照りつける桜舞う季節。

 そう、今日は高校の入学式。


 新しい制服を着た小鳥遊たかなし凛翔りんとは入学先の高校へと向かった。


 高校の校内は多くの新入生でごった返していた。


(新しい友達、出来るだろうか)


 凛翔は不安を抱えていた。


 そういや、中学の頃の同級生も凛翔だけが都内の学校に進学して、あとは地元の田舎の学校に入学を決めていた。


 だから、知り合いなど、誰一人いるはずが無い。この時までは、そう思っていた。


 教室には知らない顔の生徒が席に着いていた。凛翔も自分の席に着く。うん、知り合いは誰一人いない。


 そのままHRを終え、出席番号順の列に並んで、式場である体育館へと向かった。


 体育館に着くと何やらみんな、ざわざわしている。


(何事か!?)と思うと……どうやら超絶可愛い子がいたらしい。みんな、キャーキャー言ってる。


「え、何あの子! めっちゃ可愛い~」


「彼女に欲しい~」


「写真、撮らせてー」


 男女問わず騒いでいる。


 凛翔は(俺には関係無いか)と目を瞑る。


 まもなく、入学式が始まった。


 校長の意味があるのか分からない演説が終わり、名前が呼ばれる新入生発表が終わり、順調に式が繰り広げられていた。


 そして、待ちに待った新入生代表の言葉。今年は誰が告げるのか、とワクワクした気持ちでいた。


 パチパチパチパチ


「キャー!!!」


 代表生が壇上へと上がる。


 なんと、その代表生は先ほど騒がれていた生徒っぽかった。


 みんなの注目の視線がその生徒へ集まる。


 凛翔は最初はきょとんとする。だって知らない誰かなのだから。


 でも、その生徒の名前が呼ばれた瞬間、彼もハッと驚く。


「新入生代表――佐渡さわたり瑞葉みずはさん」


 そう、まぎれもなく彼女は凛翔の小学校の頃の同級生だったのだ。変わり果てているが、まだ面影は残っている。黒髪ロングに青色の瞳。すごくスタイルも良くて、モデル体型だ。

 この名前には聞き覚えがあった。小学校の頃も学校一可愛いと騒がれていたから。でも、前よりもっと美少女になっている。

 彼女の欠点は何一つないんじゃないかと思える。


「皆様、初めまして。新入生代表の佐渡瑞葉です。今日は沢山の方にお集まり頂き、誠にありがとうございます――――わたくし自身も含め、生徒の皆様が楽しく学校生活を送れるよう、努めたいと思います。よろしくお願いします。以上になります」


 パチパチパチパチ


 拍手が送られる。


 そして、佐渡さんは壇上から降り、自分の場所へと戻る。


 間近で見ても遠くから見てもお美しい。


 そして、滞りなく入学式が行われたとこの時点では思えた。


(ふぅ。良かった)


 凛翔は安堵の溜め息を吐く。


 体育館から本館へと戻る途中、別のクラスの列とすれ違った。佐渡さんのクラスだ。


 まだ外は晴れている。

 桜が綺麗で天気も気持ちが良い。

 佐渡さんの顔が桜が散る事によって、より映える。


「また会えたね、凛翔くん。会えて嬉しいよ」


(何で名前覚えられているんだ?)


 そして、更に彼女は小声で耳打ちした。


「……許さない」


(何が?)


 佐渡さんの言う「許さない」の意味に心当たりがなかった。だけど、もやもやとした気持ちが心の中で渦巻いた。そして少しだけ彼女が怖いと思ってしまった。だって、ほんの一瞬なのにすごく睨んでいたから。




 *あとがき

 読んで頂き、ありがとうございます。今度こそは連載化します。私の書くヤンデレはいつも短編ばかりなので、ヤンデレに申し訳ないと思い、書こうと思いました。

 明日は忙しいので、書けないと思いますが、水曜日には更新したいと思います。

 一話1000文字程度で短めです。

 好評不評によっては作品取り下げたりしますので、ご容赦下さい。

 よろしくお願いいたします。

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