水上の未来都市~この素晴らしい都市を救ってやる
柚子桃しずく
第1話 水上の都市
今日おれは誕生日を迎える。
28歳になる。
2年付き合った彼女にプロポーズをしようと思っている。
そして、今レストランに向かっているところだ。
この日のためにレストランの店長さんと話を進めていた。
今日は、貸し切りにしてもらっているのだ。
レストランに着いた。
「いらっしゃいませ」
「今日はよろしくお願いします」
「はい、かしこまりました」
おれは、席に着いた。
そして、彼女を待った。
「いらっしゃいませ」
彼女が来たようだ。
緊張してきたー。
彼女が席に案内された。
「待った?」
「ううん、おれも今きたところ」
「そうなんだ」
ふぅ!
緊張がとまらない。
「なんかお客さんいないね」
「うん、今日は貸し切りにしたんだ」
「ええ~そうなの?」
料理が運ばれてきた。
ゆっくり食事をした。
そして、いよいよプロポーズのときがきた。
おれは指輪をだして、プロポーズした。
「まり! おれと結婚してくれ!」
「え? まじ?」
「うん」
「ごめん!」
「は?」
「わたし、まだ結婚したくない」
「えええええ!」
まさか、断られるとは思わなかった。
おれはあっけにとられた。
「ごめんね」
そういうと、まりは席を立って帰ってしまった。
おれはショックを隠し切れずレストランの店長にお礼をいって外にでた。
おれはなにをしているんだろう。
たかが2年付き合ったくらいで彼女のことをわかったように思っていたなんて。
情けない。
ボーっと歩いていた。
すると、突然足元に呪文らしき大きな円が現れた。
おれは、フワッと体が浮いた。
身動き取れない状態だった。
わぁ!
なんだこれ。
そしてやがてその円が、大きな穴になった。
おれは吸い込まれるようにその穴に落ちていった。
ああ~おれは穴におちて死ぬのだろう。
彼女に振られて死ぬのか。
まあ、いっか。
もう彼女に会いずらいしな。
でも、仕事で出世したかったのにできなかったな~
まあ、それもしょうがないかぁ~
意識が遠のいていった。
――――
はっくしょん!
う~寒っ。
おれは目が覚めた。
ん?
ここはどこだ?
うわぁ!
水の上じゃん!
冷たっ!
なんでこんなところにいるの?
はっくしょん!
おれは寒くて腕をさすった。
肌?
え?
なんだ?
おれは体をみた。
おれ裸じゃん!
え~なんで裸?
あたりを見回しても服はなかった。
ふと、大きな看板が目に入った。
あんな服があったらな。
すると、目の前に画面が現れた。
そしてそこには服と書いてあるところがチカチカ点滅していた。
これを押せってこと?
おれは押してみた。
すると、今度は服のデザインが描かれていた。
とりあえず、なんでもいいから押してみた。
今度はサイズの選択だ。
Lサイズを押した。
すると、段ボールが目の前に現れた。
おれは手にとった。
すると、急に重くなった。
ドスンッ!
わぁ!
おれは、その段ボールを開けてみた。
おお、服じゃん。
いまおれがポチポチした服が届いたのだ。
なんか不思議なところだな。
おれ死んだんだよな。
異世界かぁ?
でも異世界って冒険者とかいるところじゃないのか?
ダンジョンとかはいったりして。
おれはあたりを見渡した。
そんな感じではなかった。
それどころか、水の上に建物が立っている。
水上の都市?
建物も大きくて、ビルばかりだ。
とにかく、服を着よう。
おれは服をきた。
そして、少し歩いてまちの様子を見てみようと思った。
すごいな~
すべてのものが水の上に浮いている。
水の中をのぞいてみると、魚が泳いでいた。
そして、水の中にも建物があるようだ。
水の中に沈んだ都市があるのかもしれない。
少し歩くと螺旋階段があった。
おれは高いところからこの都市を見てみたくなった。
螺旋階段をのぼった。
わぁ!
すごい、綺麗な都市だ。
綺麗に整えられている。
すーっ。
なんだあれは?
バイク?
バイクに乗ったフードをかぶった人が横切った。
バイクが空を飛ぶの?
するとその人は戻ってきた。
「こちらにいたんですね」
「え?」
「探しましたよ」
「ええ?」
だれだこの人。
「ああ、申しおくれました」
そういうと、その人はフードを外した。
「わたくしはナターシャと申します」
可愛い、女の子だった。
「はぁ」
「あなたさまを召喚したのですが、途中であなたさまがくしゃみをされまして行方不明になってしまいました」
「え? さっきのくしゃみか」
「かなり探しましたよ」
「召喚って?」
「はい、わたくしどもはあなたさまのお力をお借りしたくて異世界から優れた人材を召喚いたしました」
「おれが優れた?」
「はい、説明も聞かずにさぞかし不安だったでしょう」
「まあ、裸だったので……」
「そうですよね、でももうすでに服は購入されたのですね」
「うん」
「さすがですね」
「そうかな~」
おれはさすがと言われて調子にのった。
「あなたさま、いえ、アオイさまですね」
「はい」
「アオイさま、今からこの都市を案内させていただきます」
「はい」
そういうと、ナターシャは自分のバイクの後ろにおれを乗せた。
「アオイさま、後ろにお乗りください」
「あ、うん」
怖いな。
左足からゆっくり乗ろう。
「アオイさま、大丈夫ですか?」
「あ、うん」
宙に浮いているバイクに乗るって怖いな~
おれは恐る恐るバイクの後ろに乗った。
一瞬沈んで、ゆらゆらしている。
おぅっと。
危ないっ!
乗れたー。
怖かった~
「では、しっかりつかまってください」
おれはナターシャの腰にしっかりとつかまった。
こんなに抱きついてもいいのかと思うくらいに抱きついた。
「じゃあ、行きますよ」
そういうと、バイクは急に走り出した。
ビューン!!
体が後ろにもっていかれた。
危ないっ!
わぁ!
早い!
しばらく走った。
「こちらの都市は、ブルーシティといいます」
「ブルーシティ」
すると大きな建物が見えた。
「ここは、ショッピングモールです」
「なるほど」
そして、また走り出した。
「ここは学校です」
「へえ~高校? 大学?」
「違います、システムエンジニア・プログラミング校です」
「え? そんな学校があるの?」
「はい、年齢に関係なくだれでも行けます」
「へぇ~そうなんだ~」
また、走り出した。
「そして、ここはこの都市一番のビル、そしてお金持ちしか住めないビルです」
おれの知っているマンション54階がふたつくっついたくらいあるだろうか。
いや、もっと高い気がする。
「そうだよね~高そうだよ」
「ちなみにアオイさまにはここに住んでいただきます」
「えええええ!?」
また、走り出す。
ここの辺は低いビルだ。
それでもマンション10階くらいはある。
「この辺はお金持ち以外が暮らす場所です」
「十分立派なところだけどね」
「まあ、そうですね」
「住宅街で家族とかで住んでるのかな?」
「この世界は、それぞれ個人主義ですのでお金も自分で稼がないといけません」
「へぇ~」
すごい、世界だな。
「5歳までは親が責任を持って育てます」
え?
5歳まで?
「そのあとは?」
「自分で稼ぎます」
ええええ!
6歳から自分で稼ぐということ?
「はい、そうです」
半端ない、世界だ!
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