第96話 終わる聖教国

私は教皇代理のマルボー二。


この国の上層部は全員が自殺してしまった。


その為司教の中の古株である私が選ばれたのだ。


だが、もうすぐこの国は終わる。


今迄祀っていた女神イシュタスが、帝国に置いて邪悪なる存在として扱われるようになった。


それが今全世界に広まりつつある。


そしてこの結果…この国は滅びつつある。


いや、もうすぐ滅びる。


青い空に突然、人間が現れた。


いや…空を飛んでいるから人で無いだろう。


何者なんだ…空を飛べる魔法はこの世界には無い。


それでも飛べる、そんな存在が居るとしたら、それは神だ。


大きな声が国中に響いてきた。


誰もがこの声を聞いているだろう。


「私は…神、理人之命である。邪悪な女神イシュタスはこの地を去った。今、此の世界は三人の神で治められている。テラス様に魔族の神である邪神様…そしてこの私だ。最早この世界にイシュタスは居ない…悔い改めよ! 今こそ邪教をすて我がテラス教に入るのだ」


誰もが、その存在感に恐れおののく。


空に浮かんだ人物が『神』である事を誰もが信じた。


人間としての本能が…人では無い存在なのだと信じさせられる。


私も同じだ。


「神、理人之命様…我々は、我々はどうすれば良いのでしょうか?」


「簡単な事です…イシュタスの女神像を壊し、この地に来る、テラス教の信者を受け入れるのです…この国において私とテラス様を祀るのであれば、この国を再び聖教国と認めましょう…そしてこの国において私やテラス様は悪しき神であるイシュタス以上の加護を与える事を約束しよう」



聖教国は今現在、一番貧しい。


司祭ですら食べるのに困り、民衆に到っては餓死者が出ている。


「私は、今この国の教皇をしているマルボー二と申します。本当に、貴方様を信じればこの国を救ってくださいますか?」


「神の名の元に約束しよう」


「ならば、このマルボー二にお任せください。3日間以内に神、理人之命様に全国民が恭順するようにさせてみせます」


言葉に嘘は無いようだ。


これでこの国は大丈夫だろう。


悪く言えばこの国は狂信者の国。


神の言うがままに逆らわずに生きて来た国だ。


女神イシュタスが存在しなくなり、機能が停止しかかっている。


そんな状態で新たに神が降臨すれば『神が欲しい彼らは新たな神に従うだろう』


神になったせいか、人が嘘をついたかどうか直ぐに解る。


この国は本当に恐ろしい…本当に狂信者しかいない。


ただし、嫌な話『ビッチ』だ。


俺が神だと解かったのか…まるで犬の様に尻尾を振る。


この国は放って置いても3日間で本当に恭順するだろう。


帝国に連絡をとり、食料や物資を持ってくる。


後は帝国の時と同じ様に入信させて、同じ様な待遇にすれば良い。


暫くは、帝国に余りある食料や物資を持ってくれば大丈夫だろう。


◆◆◆


これで三強国のうち二国は抑えた。


孤立している王国等…叩くのは簡単だ。





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