第72話 浸食 隔離
大国主命とは仏教でいう大黒様の事だ。
当然『打ちでの小槌』を持っている。
その加護をテラス様に頼んで、スキルにして貰った。
解りやすく言うと、アイテム収納の中で無限にお金や宝が増えていくようにして貰った。
普通では考えられない反則みたいなスキルだよな。
その増えたお金を信者になった者に金貨10枚(約100万円)を与えていく。
更に信者になった者は『勧誘』する資格を与える。
勧誘して信者になるとと1名につき金貨1枚(10万円)を勧誘した者に与えるようにした。
勧誘される側は信者になっただけで金貨10枚(100万円)貰えるのだから、貧しい者は断る可能性はまず無いし勧誘した者に感謝するだろう。
勧誘した側は金貨1枚(10万円)貰えて感謝までされるんだ。
気持ち良く勧誘が出来る。
信者になり(100万円)を手に入れ、そこから友人10名勧誘すれば(100万円)が手に入る。簡単にこんな大金が手に入る事になる。
知り合いや友人同士での取りあいだから、早ければ早いほど勧誘チャンスが増える、から早く信仰した者の方が有利だ。
これは日本でいう悪徳商法を参考にした物だ。
お金でなく『信仰を得る』という違いがあるが、ほぼ同じと言って良いだろう。
「この方法は凄くずるい方法ですわね」
「100万円あげるから信仰して下さい。簡単に信仰していきそうだけど、それで良いのかな?」
「綾子、これはそんな単純な物じゃない。これが進んでいった場合…次があるのよね?理人!」
「信者になった後も継続してお金が貰えるのがミソなんだ。氏子になって信者になり、話を聞いた者には毎回銀貨5枚を支給していく事も考えている。それに宮司になった事で塔子は祈祷師、綾子は陰陽師のジョブに変わったけど、対外的には塔子は『聖女』だ。その塔子が女神こそが悪神だというのだから、心も動く者も多く居ると思うよ」
「理人様、私や塔子は、それによっておこる事は解っておりますわ」
大宮司という立場からフルールには塔子や綾子に一切の敬語は使わないで良いと言ってある。
「流石フルールに塔子だな。これが進んでいったら、テラス教に入信しなければ、普通の人間は生活が出来なくなる」
「一部のお金持ち、権力者とテラス教信者以外はまず、生活出来ませんわね」
「私はこの話の恐ろしさを知っているわ。成功したら、本当にその通りになる」
「フルール様に塔子ちゃん。これそこ迄の事なの?」
「綾子…そろそろ、本性を見せようよ!知らない振りしていると理人に嫌われるかもよ」
「…そうですね」
薄々は知っていたけどね…まさか知らない振りまでしていたのか?
綾子にも2人と同じ様に黒い所がある。
一緒に生活していれば解ってくるよ。
◆◆◆
この世界、初めての神社の場所は直ぐに決まった。
なんて事は無い。
潰れた教会があったから、そこを改造し神社風にした。
御神体は勿論テラス様だ。
本当の神社と様式が異なるのは仕方が無いだろう。
「ここで毎朝1時間、テラス様にお祈りをして貰う。それに参加する者には銀貨5枚(約5万円)を無条件で払おうと思う。但し、その際に作業を頼む事もあるけどね。作業の殆どはボランティアだ」
つまり、1日5万円が支給され30日毎日来れば150万だ。
多分、毎日来ない人も居るかも知れない。
だが、来れば確実に銀貨5枚が貰える。
これで『嫌な仕事』『無職』から解放される。
スラムや貧しい人間がこんなチャンス見逃すわけが無い。
◆◆◆
「貴方はテラス様を信じますか?テラス様は邪神イシュタルと違います!今直ぐ貴方を救います!」
マネーイズストロング(お金は力だ)その力は絶大だった。
ルブランド帝国のスラムの人間から平民層までは、ほぼ信者になった。
月収金貨15枚、日本円にして約150万、これが休まなければ固定で貰える。
更に1名勧誘すれば金貨1枚。しかもこの勧誘は相手にとって良い事しかない。
中には強者で月収で金貨500枚(約5000万円)達成する者すら現れた。
今では街のあちこちで「テラス様を信じますかーーっ!」その声がこだまする。
途中役人に『賄賂』の要求があったが「入信したらお金になる」と伝えたら、悪徳役人が、入信し敬虔な信者になった。
役人の力を使い、どんどん入信者を増やし月に金貨120枚以上稼いでいる。
実質、フルールや塔子、綾子が布教したのは3日間位で、その後はひたすら事務仕事や配給の仕事をしている。
奴隷商にも顔を出し話をして、やる気のある人間は全員買った。
お金の支払いは『他の人間と同じ』、基本買った金額は無利子で貸して、自分で働いて買い戻ししていくシステムだ。
殆どの人間が1か月前後で自分を買い戻していく。
『ちなみに彼等は、まだ本当の意味で『テラス様の信者』とはテラス様も俺達も認めていない』
本当の信者と認めるのはまだまだ先の事だ。
此処からは次の段階だ。
『テラス教の信者は『テラス教信者以外の者との付き合いを一切禁ズ』』
これを俺は伝えた。
ここからが…本当の意味での勝負の始まりだ。
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