第65話 【閑話】ロリコン木崎くん 二人目のパートナー
「お前『悪魔の子』の頭目ユウナだな。賞金が掛かっているから殺(やら)して貰う」
やっぱり、こういう事になるよね。
前のユウナだったら、これでもう詰んでいたよ。
良かった。
竹丸お兄ちゃんの奴隷になっていて。
私は胸の少し上に彫られた奴隷紋を相手に見せた。
「ユウナはね『犯罪奴隷』になったんだよ? だからもう罪は償っているの、ギルドに届も出されたから賞金も貰えないよ~だ!」
「何だよ、このクソガキ…あームカつく、ボコって」
もうこんな脅しもユウナには通じないんだから。
「殴りたければ殴れば~。だけどユウナの所有者は『異世界転移者』のお兄ちゃんなんだけど…死ぬ覚悟はあるのかな?」
「そんな…止めてくれよ!」
そう言ってガラの悪い冒険者は逃げていった。
ふぅ~良かったよ。
もし、竹丸お兄ちゃんの『犯罪奴隷』になってなければ、ユウナは今殺されて首だけになっていたよ。
そして冒険者ギルドにそのクビは届けられていたよ。
しかし、幸せ過ぎて怖いなぁ~
竹丸お兄ちゃんは今、オーガを狩りに行っている。
私には「ユウナ~お小遣い上げるから、服とか好きな物買って遊んで来て良いよ」と出掛けてしまったの。
貰ったお小遣いは金貨2枚。
凄いよね~。
信じられないよね。
こんなお金があるなら、真面な奴隷が余裕で買えるのに…なぜユウナなのかな。
本当に解らないよ。
それに、今は普通の服を着て歩いているけど…部屋の中はドレスがあって、お菓子もいっぱいある。
貴金属迄あるの。
まるでお姫様みたい…
緑の髪に赤い目、こんな醜いユウナに…本当に解らないよ。
好きだと言うのは凄く解るの。
愛されているのも良く解るの。
だけど、ユウナはどうしてあげたら良いのかわからないの…
折角、勇気を出して、裸で待っていて抱きついたのに、更に頑張って押し倒したのに。
真っ赤になって手を出してこないの。
女として魅力が無いのかな…そう思ったけど違うみたいだし。
「ユウナはそんな事しなくても良いんだよ。傍に居てくれるだけで僕は幸せなんだからね」
そんな事ばかり言って、困るよ。
だったら、そのまま最後まで行っていいのに…
大体『異世界転移者』はやって良しなんだから、普通の男と違って、性交その物がご褒美みたいなもんなんだから。
むしろ最後までしたいのはユウナの方なんだからね。
凄く素敵な竹丸お兄ちゃんだけど…初心なのかな、此処だけがユウナ不満。
正直、こんなお金貰っても、どうして良いか解らないんだよね。
宝石も興味ないし…精々美味しい物を食べる位しか思いつかない。
仕方ないよね!本来はこういうお店って魅力が無いババアが来るお店なんだけど…
「ユウナ様、いらっしゃいませ」
「うん、今日も何か良さそうなのある?」
「そうですね、貴族様が良く買われる。この紫のスケスケのベビードルなんかどうでしょうか? 下着もセットで身に着けるとよりセクシーですよ」
「それ頂戴…あとピンクで子供っぽい感じだけど、セクシーな感じのあるかな」
「ピンクなら、これ如何ですか?」
「それも頂戴」
「はい」
ハァ~子供なのにランジェリーショップの常連になるなんて思わなかったよ。
だけど…してくれない癖に、こういうの見るとお兄ちゃん喜ぶんだもん。
喜んでくれるお兄ちゃん見るのは嬉しいから…思わず通っちゃう。
◆◆竹丸SIDE◆◆
手に入れた奴隷が可愛すぎて困る。
見た瞬間から一目惚れだ。
僕の親はヤンキーだった。
そのせいで美人は駄目。
虐めにあったせいで同い年の女の子は駄目。
そんな僕が、異世界のスラムで出会った少女。
それがユウナだった。
同級生は『エルフ』や『ダークエルフ』狙いだけど…
僕から見たらユウナの方が百倍可愛い。
緑の髪に赤い目。
ユウナは僕が好きなアニメの主人公そっくりだった。
魔法少女物で変身するとセクシーな大人になる…そんなアニメ。
将来は解らないけど、ユウナなら大人の姿になっても愛せる。
そういう自信がある。
僕はロリコンから、ユウナコンに進化してしまったのかも知れないよ。
本来なら一緒に狩りや依頼をするのが普通だけど…そんな事は出来ない。
何故なら…
『あんな可愛いユウナにそんな事させられるかーー!』
そう思ってしまうからね。
ユウナに擦り傷1つ出来ただけで心配性の僕はきっと悲しくなる。
結局僕は1人で依頼をこなしている。
僕は『聖騎士』だから余裕なんだけどね。
「凄いですね、オークにオーガ…多分金貨30枚は行くと思います」
日給で約300万、流石に疲れるから週に1~2日位しか出来ないけど、2人で暮らすなら充分だな。
週休5日でユウナと楽しく暮らせる…幸せ過ぎるよ。
大金を手に入れたら、屋敷でも買って、楽しく遊んで暮らせば良いや。
今のところは溜まった金貨は400枚(4千万円位)。
あと、金貨1600枚溜まったら…もう働くのを止めて、小さい屋敷でも買ってユウナと遊んで暮らすのも良いかも知れないな。
◆◆ユウナSIDE◆◆
下着も買ったし、食材も買ったし…こんな物よね。
今日はどうやって頑張ろうかな、そうだ裸エプロンでも…試してみようかな?
「ユウナ…」
嘘、生き残りが居たの? 何でユウが此処に居るの?
どうしよう?
「ユウ、どうしたの?」
「どうしたのもなにも、『悪魔の子』が無くなってどうして生きて行こうか考えていたのよ!ユウナ、その分じゃ良い金づるでも見つけたのかな?」
「違うよ、ユウナは今、主? 恋人? あはははっ、そんな感じの人と暮らしているの」
「えーっ、ユウナって、いっちゃなんだけど不細工じゃん」
「そうかも知れないけど、竹丸お兄ちゃんはそんな事気にしないもん」
「お兄ちゃん? ユウナがお兄ちゃん!なんの冗談、きゃははははっ」
「何だよ、ユウ...悪いか?私がお兄ちゃんって呼んだら! 殺すぞ!」
「ユウナはそうじゃないとね。それで私行く所ないんだよね、このままじゃ、見つかったら殺されちゃうからさぁ…ユウナの所に匿ってくれないかな?」
「何で私が匿うんだよ!ふざけるな!」
「そりゃ、ユウナは頭目だったでしょう?ユウナだって匿って貰っているんだよね?…ユウが捕まって、ユウナの事ばらしたら困るでしょう」
「ユウナはもう、ほらこれだから困らないから…それじゃあね、ユウ」
私は奴隷紋をユウに見せた。私はもう関わらないよ…だって竹丸お兄ちゃんに迷惑かけたくないもん。
それにユウが可愛い子なら紹介しても良いけどさぁ…此奴、水色の髪に私と同じ赤目なんだよね。
私と同じで不細工なんだもん…竹丸お兄ちゃんも嫌がるよ。
「言ってやる…ユウナの大好きなお兄ちゃんにユウナが頭目時代どんなに悪人だったか、探して言ってやる、匿ってくれないなら…全部ばらしてやるから~」
不味い、折角竹丸お兄ちゃんとラブラブなのに邪魔されたら不味いよ。
こんな幸せなのに...殺そうかな?ユウを殺す…駄目だ、万が一バレたらご主人様のお竹丸兄ちゃんに迷惑が掛かちゃう…どうしよう。
仕方ない。
「ユウ、仕方ないから竹丸お兄ちゃんに会わせてあげる!ただ助けてくれるかどうかはお兄ちゃん任せだよ?駄目だったら諦めてね」
「解かった…ありがとうユウナ」
◆◆◆
「ユウナ、その子は一体誰? もしかして友達」
ユウナの友達なのかな?
ユウナに負けず劣らずの美少女だ。
異世界っていっても、変わった種族がいるだけで、人間はほぼ地球と同じなのに。
この子もユウナみたいだ。
まるでアニメのヒロインにしか見えない。
水色の髪に赤い目。
某決戦兵器に乗っている女の子の少女時代にしか見えない。
この子も…駄目だ。
二兎を追う者は一兎をも得ず。
そんな事してユウナに嫌われたら僕は生きていけない。
「う~ん、竹丸お兄ちゃん正直に言うね『悪魔の子』の時の仲間なんだよ…匿って欲しいって頼まれたの、余りにしつこいから連れて来たんだけど、嫌だよね、直ぐに叩き出すから安心して良いよ」
「ユウナ、お願いだからそんな事言わないで、お兄さん、お願いだから助けてよ。助けてくれたら何でもするから…見捨てないで」
ユウナ次第だな。
俺からしたら『手元に置きたい』だけど、それでユウナがへそを曲げられるのが怖い。
まずは聞いてみよう。
「ユウナ、教えて欲しいんだけど、ユウナやそこの子みたいに目が赤かったり、髪の色が水色や緑色の子って見ないけど、珍しいの?」
「そうかお兄ちゃんは異世界人だから知らないんだ。私達みたいなのは『忌み子』なんだよ、本来の人間と少し違った子が生まれると不吉の元凶と言われてそのまま殺されちゃうんだよ。だから滅多にいないよ!悪魔の子の中にも私とユウしか居なかったよ」
そうか、だから居なかったのか。
「そうか、その子はユウって言うんだ…匿うってユウ、ユウナと同じにすれば良いって事かな?」
「えっ、ユウナと同じにしてくれるの? ならユウ頑張るよ、お兄ちゃんの為に何でもしてあげる」
「まぁ、ユウナ次第だな、ユウナが良いって言うなら僕は構わない」
「ユウナ~お願いだよ~助けてよ! 友達だよね?ユウまだ死にたく無いよ」
「仕方ないから良いよ」
「ありがとう、ユウナ」
「良いよ!別に…だけど」
『竹丸お兄ちゃんに色目使ったら...殺すからね(笑)』
『解かった…ユウナ』
「お兄ちゃん有難うございます、これから宜しくお願い致しますね」
「ああ、宜しくな、ユウ」
こうして僕のパーティにもう一人仲間が加わった。
戦力は変わらないけど…モチベーションアップにはもってこいだよな。
◆◆◆
「ユウ、竹丸お兄ちゃんに手を出すなって言ったよね?」
「ユウは手を出さないよ? だけどお兄ちゃんがユウを好きになったら仕方ないよね? ユウナちゃん」
「生意気、随分と大きな口を叩くようになったね…だったら」
「ごめんユウナ!いえユウナ様!そんなナイフなんて持たないで…だけど、こんな生活させて貰っているんだよ! お兄ちゃんに何かしてあげたい…そう思っただけだよ」
「そうよね…はぁ本当に、そこだけはメンドクサイよね」
「私もそう思う、好きなら、しても良いのにね」
「本当『異世界人』の子供なら普通に欲しいのに…」
「それで、また今日も買いに行く?」
「もうあのお店の常連になっちゃったよ!エッチな下着がもう20枚もあるのに…使っても嬉しそうに見ているだけだし」
「昨日なんて、二人して裸でお風呂に突撃したのにね…」
「言わないでよ、2人して髪と体を洗われて、少しはヤル気が出たと思ったら…綺麗に拭きあげられて『湯冷めするから早く寝ようか』だって、竹丸お兄ちゃん聖人すぎるよね…ユウも何か良いアイデアないかな?」
「そうだよね…そうだ、今日は精力剤とか買ってみない?ちょっと高いけど蛇と人参から作った奴なんかどうかな?」
「それ試してみようか?」
結局、精力剤を使っても、襲って来なかったせいで2人は余計にモヤモヤした。
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