第36話 女神SIDE 初めての試み




私はこの世界を管理する女神イシュタス。


多神教の世界もあるけど、此の世界の人類は一神教だから凄く楽で良いわ。


※あくまで人類のみで、他の種族には別の神がいます。


偶に他の世界の女神とサロンで話すのよね。


それが凄く為になるのよ。


特に最近知り合った女神ゴーゴランの話が凄く為になったわ。


神には大きく分けて二通りあるの。


『生まれながらの神』と『成りあがりの神』とね。


私は生まれながらの女神。


それに対してゴーゴランは成りあがりの神なのよ。


元はただの蛇だったらしいわ。


その蛇が盗賊を偶々毒で殺した事から、祀られる様になって『女神』になったそうなの。


凄いわね人ですら無い、ただの蛇が女神になるなんて。


それでね、この子の考え方が凄いのよ。


だって…『悪人を勇者にした方が効率が良い』なんて言うんだから驚きだわ。



「幾ら元が蛇とはいえ貴方も女神ですよね? そんな事して、大丈夫なの?」


「正解かどうかは自分で判断してね、私はこれで良いと思っているだけだから」


そう言ってゴーゴランが勇者に求めたのは



1.強い

弱くちゃ意味が無い


2.残酷な人間である事

敵に情けなんて掛けたら殺されてしまう、確実に人が殺せるような人間じゃなくちゃ駄目。


その2つなんだって。


そして選んだ勇者パーティーは


勇者 アモン (盗賊王と殺戮女の息子)

聖女 ララア (大量殺人者と快楽殺人者の娘)

賢者 ザンコック (大量毒殺犯罪者と頭の可笑しい魔術師の息子)

剣聖 ラーミア (暗殺者と残酷剣士の娘)


だって。


こんな人物を選んだ女神なんて前代未聞だと思うわ。


私はゴクリと唾をのんだ。


その結果がどうなったのか知りたかったの。


「それで、その結果はどうなったのかしら?」


「勝ったわ、魔王の娘を人質にして、逆らったら殺すって脅したからね、だけど人間側にも敵が多くて最後は人間の手で殺されたのよ」


「勝てたのね、参考になったわ、ありがとう」


これは極端すぎるわ。


実際に上位世界の神様から彼女は怒られたそうだ。


だけど…私が選んだ勇者の中で『とどめが刺せない』者も多くいました。


その甘さから、巻き返しが起きて殺されたり、遺恨を残したせいで、反撃を喰らい殺された存在も少なくありませんでした。


ゴーゴランの話迄いかなくても『残酷』な性格は必要かも知れない。


強さは『異世界から連れて来るから、元からある』


今回の召喚には…『残酷さ』も重視してみようかしら。


結局、私は彼女の様に思い切った事は出来なかった。


ただ、五大ジョブの人間だけは、その中で『残酷な人間』『手を汚す事に躊躇しない』そういう人間を混ぜてみました。


これは、初めての人選だわ。


一度送り出したら、もう手を出せないし神託位しかおろせない。


どうなったかは…勇者達が死ぬまで解らない。


後は…結果を待つだけね。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る