第51話 淫獣女たち

 ど、どうしよう……


「じゃあ、先輩……明日から……学校行くから……」

「……おう」

「な、なぁに、その反応は! この私が学校に行くって言ってんのに嬉しくないの?」

「……ちょーうれしい」

「なら、嬉しそうにしなさいよ! この私が、先輩みたいな超変態エロ野郎にこうして……あんなスケベなことまでしてあげて……しかも最後は―――」


 チオが……


「んふふふ~、せやなぁ~、はよう本番の日が来るのが楽しみやんなぁ~♥」


 インビさんが……


「お、おぉ~」


 一線は越えてないのに、それでも越えてはならないラインを越えてしまった。

 あの露天風呂で俺は……



「ちょっとママ! その変態先輩から離れなさいよ! ママにはパパがいるでしょ! その変態クソ野郎の気持ち悪い体なんて私が相手してあげるんだから、ママはパパの中年ボディでも相手してなさいよ!」


「ははぁ~ん、未経験の小娘が何か言うとるなぁ~あないな凶暴な体を最後までやなんて、あんた壊れてまうでぇ? それに、うまそうな肉を前にしたら、母も娘も関係なく戦争やえ?」



 えっと……人様の家庭をとんでもないことしてしまったような……いや、割とマジでドン引きするような……


「じゃ、じゃあ……明日な……チオ」


 不幸中の幸いは、チオと仲直りできたことか? 一応。

 それに学校にも来てくれるみたいだから、最悪の最悪は回避できたと思う。

 ただ、それはそれとして俺の身の回りのドロドロな状況が……

 

「ぼっちゃまぁ~?」

「ごしゅじんさまぁ~?」

「は~~び~~り~?」

「せ~ん~ぱ~い~?」


――――ッッ!!??


 次の瞬間、俺は心臓に冷たいナイフを直接突き付けられたかのような感覚に襲われた。

 振り返るとそこには、四人の女たちがニッコリと、しかし目を細めて俺の背後に……


「おやおや坊ちゃま、チオの家で何を? くんくん、石鹸の匂いの中にほんのりと……生臭い匂いも……」

「うふふふふふ、おやおや、つい先ほどまで溜まりに溜まったご主人様の精力が著しく減っているように感じますねぇ?」

「今日は頑張ったハビリとお祝いエッチなパーティーを私とイチクノでしてあげようと思ってたのに~、どういうこと~?」

「せんぱい……どうして? 僕の方が早く出会ったのに、どうしてあの子と?」


 しかも、もう逃がさないと言わんばかりに左右からがっちりホールドされ、前も後ろも塞がれて……


「ま、待っ――――――ッ、炎上回避!!」

「「「「あっ!!??」」」」


 話し合いは無理。

 喰われる。

 そう本能で感じた俺は、肉体を炎化して、スルリと四人の手から逃れ、そしてダッシュだ。

 


「キシャああああああああ! 坊ちゃまぁあ、もう逃がしませんよ!? 他の女に坊ちゃまの遺伝子を無駄撃ちされるぐらいなら、小生はもう我慢しませぬぅ! 喰いつくしてくれますぞぉ!」


「坊ちゃま、もう言質は取っているのですよ? ご褒美……ご褒美! もう魔王軍の将がどうのこうのなどと言っていられませんねぇ、今すぐ結合して孕みます!」


「ハビリィ~、私が妻なのに……イチャイチャはしても一線だけは我慢してたけど、もう無理だよ、するね!」


「修行した僕は逃がしませんよ、先輩! 僕より遅くに出会ったチオさんが先輩と……なら、僕はぁ! 僕はぁ!」



 しかし、四人は逃がさないとばかりに獣のごとき勢いで……ヤバい……怖い……本当に喰われ、搾り取られ、枯渇するまで出されそうな……さすがにそれはまずい!

 とにかく四人が正気を取り戻すまで……


「ちょ、騒がしいと思ったら……あんたたち! 私の変態先輩に何してんのよぉ!」

「おやおや、先輩はんはモテモテやなぁ♥ これはもう乱交するのも楽しみやえ♥」


 ぎゃああああああああ、チオとインビさんまで俺の前にぇぇえええ!?


「だぁぁああああ、くそおおおおお、せめて……せめて魔王軍を撃退できるぐらいの偉業を果たしてからじゃなかったのかよぉ! もう、それぐらいのことができたら、流石に俺も何でもいくらでもしてやるのにィィィィィィィィ!!!!」


 そう、だからまだこんなフシダラなことは――――

 


「ドロン! お館様、こちらへ」


「「「「「「え?!」」」」」」



 だが、その時だった。


「え、おま、なん……」

「姫様も正気を失っておりますが、流石に姫様の処女喪失の初体験がその他大勢と一緒の乱交というのは流石に……ゆえに、皆が落ち着くまで拙者が匿わせてもらうでござる。御免!」


 突如、トワレの側近であるイチクノが俺の目の前に現れ、俺の手を掴み、そのまま俺たちの姿を煙に包んで……おお?


「あー--、イチクノー! どういうことぉ! うぅ~~~~、裏切りいい、許さないよぉ! 出てきなさいーい!」

「おのれ、あの忍び女め……小生の坊ちゃまセンサーを甘く見るな! クンクン、クンクン」

「私の魔力感知ですぐに捕えて見せますよ?」

「うう、先輩……もう僕も遠慮しません」

「な、なによぉ、あんたたち! あ、あの変態エロエロ先輩は私の……」

「なんや面白そうやなぁ♥」


 遠くから皆の怒りの声が聞こえてくる。

 どこまでも追いかけてくるという意思を感じる。

 ただ、イチクノは俺の手を引っ張りながら、帝都の街の屋根伝いに走り……


「マギナの結界から逃れるため、少々帝都から離れましょう」

「お、おお、イチクノ……」

「帝都のはずれに、現在使われていない修道院の元・寮がありますので、そこで少し隠れて、時間を潰すでござる」


 まさかのイチクノに救われた俺。

 っというか、イチクノとこうやって二人でいるのも、会話するのも初めてだ。

 トワレの言うことなら何でも聞くと思っていたが、こういう勝手な行動もするんだな。


「念のためとりあえず匂い消しの香水を、お館様。あと、お館様を抱えて逃げるのは難しいので、ここにマギナの薬が! 幼児化で軽くなってほしいでござる」

「え?! なんで幼児化する必要が!? 自分の足で――――」

「お館様もそうとう鍛えられたとはいえ、まだまだ身体能力はソードよりも下。捕まるでござる。しかし、拙者ならば、逃げるだけならばソードを撒けるでござる」

「ぬぅ……」

「お館様は拙者が抱きかかえて、必ずや逃げ切ってみせるでござる」


 とりあえず助かった……












「シスター・ヴァブミィ……」


「………………………………」


「だめね、まだショックが……気分転換になればと思って、修道院の元・寮の倉庫の整理に誘ったけれど……心ここにあらずね」




 わけがなかった。








――あとがき――


さて、どうなるかしら?


『ループした悪役かませ炎使いが真面目に生きたら女勇者パーティー全員が痴女になってしまい世界はピンチ!?』

https://novel18.syosetu.com/n0125ia/



あい、こっちもよろしくお願いしますぅ~~~

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る