第28話 何が国だ!
「なかなかの熱風……坊ちゃま……炎化の力を既にかなり使いこなされているな(正直アレは無敵のようで危ないのだがな。小生のように魔力を纏って攻撃するタイプだったり、水や氷の魔法で攻撃されたら甚大なダメージを受ける……。それを分からずに無敵と勘違いして暴れぬよう坊ちゃまに目を光らせねばな……何だったら監禁して小生が坊ちゃまを……ん? 世界や人類の未来などどうでもいいと思えば……それもアリではないか? むしろ坊ちゃまが無駄に強くなられると、いざ小生が攫おうとしたり、我慢できずに襲おうとしたとき、無駄に抵抗されて厄介……ぬ? 今のうちに坊ちゃまを攫って誰もいない無人島でも購入して一生二人でドスケベライフも……アリか? いや、何を言っている……子が産まれたら二人だけの生活ではなくなるではないか! いやいや、何を言っている! そうではない! 小生は坊ちゃまの方から無理やり調教されて乱暴にされたいのだ! 小生から襲っては意味がないではないか!)」
強烈な突風と熱風の混ざった爆風。
「きゃあ、す、すごい風!?」
「わあああ、と、飛ばされるウ!?」
「ハビリ先輩、す、すご……あのチオという子も……」
周囲の観戦者たちも吹き飛ばされないように……おおおおお、パンチら天国……って、俺は真面目に生きるんだ! 煩悩よ燃え尽きろ!
「チオも本気の蹴りで坊ちゃまを炎ごと蹴り飛ばそうとしたようだな……(むぅ、それにしても……この学園の小娘ども……意外とエッチなパンティーを履いているものが多いな……赤、白、黄色……スケスケの黒……それに比べてネメス殿は猫……だが、坊ちゃまは小生の紐の食い込みパンティーにも貪りつかぬ精神力。まだ、パンチラごときでは大丈夫なはず……むむっ!?)」
さて、どうなった?
チオのケリを俺は正面から激しい炎を纏って受け止めたが、その中でチオは……
「へへ、ほんっと強いじゃないのよぉ、先輩。男の人相手にここまで熱くなったのはパパ以来かもね……もう、とことんやりたくなってきたわ!」
爆風が晴れその中にはまだまだ元気そうな…………ん?
「気に入ったわ、先輩! ねえ、もっとやりましょうよ! 熱くて興奮する情熱的な時間を!」
「ちょっ!?」
「「「「「おおわああああああああああ!!??」」」」」
そのとき、俺は……見てしまった……他の奴らも衝撃を受けている。
「なに、ボーっとしてんのよ、こっちからいっちゃうわよ? せいっ!」
チオの……制服の……スカートが消滅している……戦闘中にチラチラ見えていた縞々のパンツすらも……靴も……靴下も……
「そりゃぁああああ! 魔閃上段蹴りッ!!」
「ばっ!? お、おまっ!?」
下半身に何を身に着けていない状態で、足を大きく広げてハイキック!?
ば、おま、見え、る!? ってか、ネメスといい、最近の新入生は……って、そうじゃなくてぇ!
「ごばっ!?」
「え、あ、当たった? 体も炎化してない? 魔力切れ? いずれにせよ、チャンスッ!」
まさかこいつ気づいていない!?
尻も丸出しなのに!?
「水面蹴りイ!」
「ちょ、ま、まて、うげ!」
「待たないわよッ! 勝機は一気に攻めるわ!」
足払いをされ、俺が尻もちついて、その瞬間、チオはジャンプして俺に「馬乗り」になり……
「「「「「ぎゃああああああああああああああ!!!???」」」」」
「ふぉっ?! ちょ、待つのじゃあ、そ、それはあ!?」
「せ、先輩いがああああ!?」
「ぼ、坊ちゃまの顔面にッ!? ちょ、き、貴様ぁああああ!」
俺の顔面に……ああ……この素肌を通して感じるモノ……どこか懐かしさがある……この顔面に触れる感触は―――
「へへーん、どうよ――――――ひゃん!? え、な、なに、今の、ゾクって……え?」
その瞬間、チオの体が俺の顔面の上で硬直したのが分かった。
震えている。
熱くなっている。
ようやく今の自分の状況に気づいたんだろう。
「え、う、うそ、え? え? ぇ……うぇ? え? なん、で……」
おそらくさっきのぶつかり合いで、こいつのスカートもパンツも靴も靴下も燃え尽きたか消滅したか……いずれにせよ……
「う、う、そぉ……い、い……いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
チオの発狂が学園中に響き渡った。
「坊ちゃま!? (なんあなな、なんという羨しいことを!? 小生はループして奴隷になってから今日にいたるまで、い、いまだに坊ちゃまにしてなければ、されてもないというのに、そ、それなのに、い、いきなり坊ちゃまの!? 小生としたことが油断した! まさか、まさかよりにもよってチオが先に坊ちゃまに!?)」
そう、俺は今……ループ以来のこの懐かしいような……ってちが?!
「もがぁあああ!?」
「ひゃうあああ、あ、うああああああああ!?」
俺がハッとした瞬間、チオはそのまま痺れながら飛び退いて蹲った。
「う、うそ、うそでしょぉおおおおおお!? いやああ、なんでこんあああんやあああああ!?」
もはや何を言っているかも分からないぐらいの悲鳴。
俺は慌てて制服の上着を脱いでチオにかける。
「す、すまん、俺も無我夢中で……いや、なんというか、俺も何でここまでになったか分からないが、す、すまん!」
「すまんじゃないわよぉおおお! み、見られたぁあ! し、しかも、しかもぉおお、わ、私んおおおおおお!」
「お、落ち着け、お、おち、と、とにかく一旦冷静に! お前はこれから国を背負って―――」
「何がクニだよ、ク●●されたはおらぁああああ!」
し、していないはず……●●●はしていないはず……していないはずだが……一瞬、俺は無意識に体が……
「ハ、ハビリ先輩……わ、わわあ……」
「ぐぬぅ、何と羨ましい、小生はまだだというのに、おのれえええ!」
そして、周囲ももはや呆気に取られているというか、この大惨事に言葉を失っている様子。
そして……
「しかも、しかも……学園の連中に見られた……わ、私のぉ、パ●●●までぇえ! まだ生えてないお子様だって思われて……う、うう、ひっぐ……」
「チ、チオ……あ……あのよ……」
くそ、なんかないか? 土下座や謝罪以外でどうにかこいつに償い、こいつ対する励ましの言葉的な……何か、何か―――
「えっと……お、俺はツルツルの方が好きだぜ!」
「ッッッ!!??」
そう、俺はループ前でもソードとマギナのを剃っ……って、俺はなにをぉおおおお!?
(わあ、あう、先輩、そっちが好きなんだ……よかった……って、僕は何をぉお!?)
(うむうむ……って、そうではないであろう坊ちゃま! 坊ちゃまは剃る行為も好きであろう!)
俺も混乱しているからか言葉がうまく出てこず、そしてチオは……
「……やめてやる……」
「……え?」
「もう、学校来れないじゃないのよぉおお、このチ●カ●クソ野郎ッッッ!」
そのまま鬼のような形相で涙を流しながら立ち上がり……
「もうお嫁にいけないし、もうやめてやるうううううううううううううううううううううううううう!! もうこんな学園二度と来るもんかァあああああ!!」
「ちょ、お、おいーーーー!?」
そして、チオは学校をやめると叫びながら、下半身全裸ダッシュでその場から走り去ってしまった。
こうしてチオは翌日から学園に来なくなった。
あれ?
奇跡の黄金世代また一人減った?
ヤバい……
「うわああああん、見られたぁああ、口をおぉおおおお、ファーストキスもまだなのにぃ、なんでこっちにキキキキ、され……うきゃああああ! もう生きていけないわよぉ、お嫁に行けないわよぉ! 私は私より強くて逞しい人のお嫁さんになるって決めてたのに、もうお嫁にいけな――――――――――あれ? ……私より強くて……逞しい……あれ? ~~~ううん、ありえないわ! あんなクソエロ雑魚、……いや、雑魚じゃないけど……でもなしなしなしなし! あんなの無しなんだからぁ~~~、うわぁあああん!」
この世界はどうなっちまうんだ!?
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