■■■先生②

 スティック状のシナモンをある程度まで『粉砕』スキルで砕いた後で、すり鉢とすりこぎ棒を使って、さらにすり潰す。


 ゴリゴリ。ゴリゴリ。


 なかなか大変だ。飛び散るし。


 ウサギ先生は、飛び散ったシナモンパウダーが鼻の中に入ったのか、しきりに可愛いクシャミをしている。めげずに数分間作業を続けると、どうにか粉状になった。


〔 『取得条件:粉状になるまで、すり潰す』をクリア。調理製造スキル『磨砕』が解放されました 〕


 よし! クリア報告っと。じゃあ、カカオマスよろしくお願いします!


〔 承知しました。『カカオマス』取得条件:素材スキル『カカオニブ』及び調理製造スキル『磨砕』の取得。現在、素材スキル『カカオマス』の作成が可能ため、作成を開始します。……。素材スキル『カカオマス』の取得に成功しました 〕


「ウサギ先生! カカオマスできました!」


 元気よく報告すると、ウサギ先生は「よし」と頷く。


「次は、カカオマスを遠心分離して、ココアバターとココアケーキに分けよう」


 Menuメニューさん、この二つの取得条件どうですか?


〔 『ココアバター』及び『ココアケーキ』取得条件:素材スキル『カカオマス』及び調理製造スキル『遠心分離』の取得。現在、素材スキル『ココアバター』及び『ココアケーキ』の作成が可能ため、作成を開始します。……。素材スキル『ココアバター』及び『ココアケーキ』の取得に成功しました 〕


 わぁ! 本当にすごいなぁ。僕一人だったら、絶対にこんなサクサク進まなかったよ!


「ココアバターとココアケーキも解放されました!」


「順調だな。次は、ココアケーキを磨砕して、ココアパウダーにしてくれ」


 Menuメニューさん、お願いします!


〔 承知しました。『ココアパウダー』取得条件:素材スキル『ココアケーキ』及び調理製造スキル『磨砕』の取得。現在、素材スキル『ココアパウダー』の作成が可能ため、作成を開始します。……。素材スキル『ココアパウダー』の取得に成功しました〕


「ココアパウダー解放されましたぁ!」


「うん。そろそろブラウニーやココアクッキー作れると思うけど、レシピスキルはどうだ?」


 あ、さっきまだ『グラニュー糖』がないって、ちゃんと説明できてなかったかも。


「えっと、『グラニュー糖』が解放されてないので、まだ、ウサギ先生のレシピスキルはほとんど使えなくて、いつも砂糖に変換して、材料をMenuメニューさんに出してもらって作ってるんです」


「……マジか。おっと言葉が乱れてしまった」


 コホンと、ウサギ先生は咳ばらいをする。ウサギ先生、ウサギさんって感じる部分と、くだけた現代人って部分があって面白いな。


 僕の世界では、どんな人だったのかな。


「じゃあ、グラニュー糖の解放条件を聞かせてくれるか?」


〔 素材スキル『グラニュー糖』の情報を更新。『グラニュー糖』取得条件:調理製造スキル『ろ過』『遠心分離』『■■■』『粉砕』の取得 〕


 視界の端に表示された取得条件を読み上げていく。


「『ろ過』、『遠心分離』でその次は不明で、あとは『粉砕』です」


「不明なもの以外は、解放済みだったな。あと一つ……」


 ウサギ先生は、また腕組みして足をパタパタさせている。名探偵が考え事している感じ!


「……原料の糖をろ過して不純物を取り除いたあとに、遠心分離して……それから……」


 ポンと思いついたように、ウサギ先生は手を打った。


「たぶん『乾燥』だ」


〔 素材スキル『グラニュー糖』の情報を全開示。『グラニュー糖』取得条件:調理製造スキル『ろ過』『遠心分離』『乾燥』『粉砕』の取得 〕


「ウサギ先生、すごいです! 正解でした」


 Menuメニューさん、『乾燥』の取得条件は?


〔 調理製造スキル『乾燥』の情報を一部開示。『乾燥』取得条件:『■■■』を作る〕


「うーん。なにかを作ると解放されるみたいです」


 ここにきて、また『■■■』かぁ。残念。


 僕はガッカリ気味に、ウサギ先生に報告したけど、ウサギ先生は、なぜか不敵にフッと笑った。


「それ、俺が調理製造スキル登録した時のこと覚えてるよ。ドライフルーツだ」


 マスター・オブ・スイーツ!! ウサギ先生、一生ついてきます!

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